谷 好通コラム

2003年01月24日(金曜日)

626話 恐怖・赤タクシー

上海の街にはタクシーがたくさん走っている
走っている車の内1/3あるいは1/4がタクシーであるような気がした

 

そして、乗車率も非常に高く
3/4以上は客を乗せて走っている

 

車種はほぼすべて「サンタナ」
フォルクスワーゲンのサンタナであるが
上海西部に工場を持つ「上海汽車(上海自動車)」で製造したものだ

 

タクシーは色分けされていて
その色によって一つ星、二つ星、・・・五つ星とランクが決まっている
何色が、どういうランクなのかは聞き忘れてしまったが
一番下のランクが赤色であることは判った

 

2日目の銀行からホテルに帰る時
その赤色タクシーに乗った
道路でタクシーを拾おうと待ったのだが、なかなか空車がなくて
たまたま止めたタクシーが赤色だったのだ
通訳の李さんは「このタクシーやめようよ」と言ったが
赤色タクシーの意味が判らなかった私は「なんで?いいじゃん」と言って
乗ってしまった

 

乗ったのは、私と荻野君と吉田君と李さんの4名
一番デブの私が前の助手席に乗る
狭いサンタナの後ろの席の3名は随分きつそうであった

 

私たちを乗せた赤タクシーは、猛然とスタートダッシュ
こまめに割り込みを繰り返す
クラクションは「どけ」の意味、絶え間なく鳴らす
急ブレーキと、全力ダッシュの繰り返し
運転手は、小刻みに体をゆすり
大きな声で「警察」の悪口を喋る
30分の間に運転手の携帯電話が何度も鳴り
その度に「ウェイ」と出て、大きな声で喋る
その間も、右に左にと割り込みを続け、急ブレーキ・急発進・急ハンドル
渋滞の中で車が止まると
ドアを開けて、痰を飛ばす

 

私は、助手席で足を踏ん張っているしかなかった
「怖い!」
恐怖も最高潮に達した時
途中から、無反応になっている自分に気が付いた

 

何があっても、ボォーッと無反応になることによって
恐怖から自分を守り、耐えているのだろう
一時的な“自閉症”みたいなものだろうか
初めての経験であった

 

上海の道路では、ある程度割り込みをしないと走れない
しかし、この赤タクシーは別物
すさまじい運転であった
ホテルに着いた時に、ひどい頭痛になっていたことを憶えている

 

事故もものすごく多い
2日間で、合計9回の事故を見た
それも、4台玉突きと、7台玉突き、5台玉突きが含まれている

 

とにかく、赤タクシーは恐怖である
皆さんも上海に行かれたとき、これは憶えていたほうがいい

 

中国のタクシーは庶民の足である

 

ここでは個人で車を持つことが事実上出来ない
バスは空調なしの車が、1回の乗車1元(15円)
空調有りのいいバスが1回乗車2元(30円)
しかし、やっぱり便利がいいのはタクシー

 

安い
私たちの感覚から言えばすごく安い

 

タクシーの料金は初乗り10元(150円)から始まる
何キロか走ってから、数百メートル1元(15円)ずつ上がっていく
1時間ほど渋滞交じりの街を走って40元(600円)ぐらい

 

最後の日、空港までタクシーに乗った
もちろん赤タクシーではなく、白いタクシーに乗った
白いタクシーがどのレベルかは知らないが、まあまあ丁寧な運転であった

 

 

(タクシー強盗から身を守るため、運転席がアクリル板でガードされている)

 

浦東空港は、上海の町から50数キロ離れていて
高速道路を使っても1時間ぐらいかかる

 

まずスタート

 

 

そして約1時間後空港に着いた

 

 

(恐怖の赤タクシーが止まっている)

 

払ったお金は155元(2,200円ぐらい)

 

 

4人乗って、50数キロ走って、一人550円
これは安い
上海では、恐怖の赤タクシーさえ乗らなければ
タクシーは非常に便利で安い乗り物なのだ

 

空港で飛行機に乗ったら、疲れがどっと出てきた

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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