谷 好通コラム

2003年01月20日(月曜日)

620話 客は来るもの?

頭の中のチャンネルを変えて
上海行きの飛行機に乗った

 

空港に着くまで、頭のチャンネルが
WBCに残っていた

 

空港に入って、チョッといるものを買い物をしたら
いつもの頭に戻った
態度の悪い店員さんのおかげだ

 

いつもながら空港の売店とか食堂の接客は最低だ
空港という場所の特性から
接客に努力しても、しなくても
結局、原則的に飛行機に乗る人しか、店には来ないけだし
飛行機に乗る目的を持って空港に来た人は
設備としての食堂とか売店を利用せざるを得ない

 

空港の店にとって、「客は来るもの」なのだ

 

これは国際線、国内線に関わらず
たいてい空港の売店の接客は、ほとんど最低レベルだ

 

来る者は来るし、来ない者は来ない
自分の接客は関係ない
空港という立地の特殊性がなせる業だ

 

少し違った例で同じようなことがある
たとえば燃料
燃料は、車に入れなければ車が止まってしまうので
入れざるを得ない
だから
ガソリンスタンドは店を開けてさえすれば
とりあえず車は入ってくる
それが多いか、少ないかは色々な条件によるであろうが
とりあえず客は来る

 

目立った場所にあって、こぎれいな店で
しかも、値段がある程度安ければ
それなりに客は来てしまう
「車が止まらないために、燃料を入れる必要があるのだから
客は来るもの」なのである

 

だから残念ながら
概して、スタンドの接客のレベルはあまり高い方ではなかった

 

素晴らしい立地にあって
ハードもそれなりであって
しかし、接客のレベルがあまりにも低い店でも
ある程度の客は来てしまい
ある時期までは
その程度の客数・販売量でも経営が成り立つほど
口銭(リットル当たりの利益)が十分にあった

 

しかし、ある時
“特石法”という業界を保護する効果のあった法律が撤廃されて
自由化となり、価格競争がフリーになってから
口銭が激減し、競争力のない店が次々と閉鎖されている

 

今日、空港に来る道に
まあまあの繁盛店があった
その店はセルフスタンド
客が自分で給油をするタイプの店である

 

その店は私の記憶では、接客において、ひどい店であった
だから、もったいないぐらいのハードと立地の中で
客数は決して多くなかった
暇な店であったと言ってもいい

 

それが、セルフスタンドになったら
なかなか繁盛しているのだ

 

原因は明白である
セルフスタンドになって、あのひどい接客を受けなくてもよくなったから
客が増えたのであろう

 

あの店を暇にしていたのは
あの感じの悪い、汚いスタッフであって
セルフになり、それがいなくなって
人件費が減った分、値段が安くなった
便利な場所にあったその店は、がぜん繁盛し始めたと言うわけ
その店にとっては、セルフの自由化万々歳であった

 

高い人件費を生かすことなく
かえってマイナスにしていた経営者は、決して褒められないが
時代が味方したということかもしれない

 

燃料は必要なものであって
「客は来るもの」である商売、ガソリンスタンドは
概して接客が弱い
いることによって、かえってマイナスになっているスタッフを抱えているスタンドは
セルフがいいのだろう

 

しかし、みんながそちらに走り、今、価格が著しく落ち込んでいる
人件費を浮かしたぐらいでは
とても補いきれないほど価格が下がって
口銭もひどい状態になってきた
よほど立地が良くて
素晴らしいハードを用意するだけの資本があり
圧倒的な数量を販売しなければ
セルフ化が接客悪いスタンドを救う特効薬にはならない時代でもある

 

発想を変えて
高価格、高技術、高レベルの接客、そして、それを支える素晴らしいスタッフ
こういう路線で素晴らしい業績を上げている店舗もある

 

ガソリンスタンドという業界が
「客は来るもの」と
運命的に、あまり接客のレベルが高くない業界であるとするなら
その中での差別化は、素晴らしい接客
これに勝るものはない

 

「お客様は、来ていただくもの」
これがむしろ普通であり、最も強いものである

 

もう一つだけ「客は来るもの」の例

 

繁盛店が、ある時落とし穴にはまってしまってように
ずるずると業績を落とすことがある
「味がものすごくいい店、ラーメン屋、すし屋、うどん屋、などなど」
「有名なものを独占的に売っている店」
「テレビで紹介されて、すっかり名の売れてしまった店」

 

これらの店は例外なく繁盛している
「行列が出来る店」と呼ばれる店がそうである

 

店を開けたとたんに行列が出来て
店のスタッフは接客と、販売にてんてこ舞い
こういう店のスタッフにとって
ある時から
「客は来るもの」になってしまうことがある

 

接客がどうであろうと
その店の売り物である、「旨いもの」を求めて客は押し寄せてくる
それが当たり前になってくると
ある時、スタッフにとって「客は来るもの」になってしまう
これが、ものすごく危険な事であることに気が付かないと

 

接客が悪くなるのは当然のこと
肝心の“味”まで落ちてくる

 

それでも、客は来る
評判が残っているから、まだ行列は出来ている
しかし、行列を作ってまで食べてもらったものが
マズカッタとしたら

 

接客が悪いのはまだガマンできるが
行列を作った目的であるその旨いはずであったものが、不味かったとしたら
もう次は行かない
そして、「あそこの○○はまずくなった」と、喋る

 

行列が消えるのは時間の問題で
「客は来るもの」と思ってしまっているスタッフには
リカバリーする手立ては何もない

 

やがて客は去って
暇な、かつては行列が出来ていた店として
廃墟のような店が残るだけである

 

現在、快洗隊はおかげさまで繁盛している
今回は、テレビにも取り上げていただいた
調子に乗って、ダメな店になってしまわぬよう気を引き締めなくては

 

奢るなかれ
決して奢るなかれ

 

「客は来るもの」ではなくて
「お客様には来ていただくもの」
そのためには
わざわざ来ていただくだけの意味がある洗車・コーティングを
最良の状態で提供することが、絶対条件である

 

我、奢るなかれ
決して奢るなかれ

 

 

などと書いている間に上海に着いてしまい
まずは、合いたかった頼さんと晩飯を食べた

 

上海のレストランで写真を撮ろうとカメラを向けたら
2台のカメラに狙いかえされた
右の奥にに立っているのが頼さんです

 

 

明日から上海でのビジネスが始まる

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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