谷 好通コラム

2002年10月02日(水曜日)

536話 破るための法律

私達は、名古屋高速道路をよく使う

 

東京でも、大阪でも、名古屋でも、どこでも
都市に住んでいれば
今や、“都市高速”は、なくてはならない存在だ

 

私達の名古屋高速でも
東京、大阪のように常時大渋滞という訳ではないが
それでも、朝夕は
日常的に渋滞するようになってきた
それでも
都市高速のない生活は、もはや考えられなくなってきている

 

都市高速の制限速度はどこでも、たいてい時速60キロ

 

しかし、都市高速を時速60キロで走っている車は、ほとんどいない
大体、時速80~100キロぐらい
急いでいる車は
追越し車線を時速120キロぐらいで走っているのが日常的だ
(私は・・・?・・・言いたくない)

 

そんな都市高速を、必ず時速60キロで走っているトラックがいる
「Green hand」と、アルミボディに書いてあって
大宝運輸という会社のトラックである

 

ここの車は、都市高速だけでなく
一般道路でも、高速道路でも、どこでも
必ず、制限速度どおりのスピードで走っている

 

 

この大宝運輸という会社
その関連会社に友達がいて、色々聞いたことがあるのだが
日本で最初に、運送免許を取った会社だそうだ
(注: 運“転”免許ではなく、運“送”免許です。つまり運送業の認可です。)

 

だから
大宝運輸は、日本で一番古い運送屋さんである
この会社の方針で
道路交通法の100%遵守を、会社の大方針として
ず~~~っと
制限速度どおりで、走り続けている

 

名古屋高速を走っていて
渋滞とまでは行かないが、流れが妙に滞っているような時
“Green hand”が「走行車線」を時速60キロで
ジワ~~ッと走っていて
80キロぐらいで走行車線を走っていた車が、「追い越し車線」に出てきていて
“Green hand”を、トロトロと追い抜こうとしている

 

そのため、速い車の流れが一時的に滞って、ミニ渋滞のようになる
ちょっとした遅い車の集団を
全部追い抜いてみたら
一番前に“Green hand”がいて、ジワ~~~~ッと走っていた
というようなことが
名古屋高速を走っていると、ちょくちょくある

 

名古屋で車を運転する人ならば
このことを
大抵の人は知っている

 

実際に走っていると「邪魔だなぁ~」と感じる
しかし、みんな
文句は言えない
「速度制限」という法律を、守っているだけ、なのだから

 

この都市高速の制限速度
時速60キロは
「破られることを前提にした法律」

 

7~8年前のことだが
実際に現職の交通機動隊の人が言っていた事を、聞いたことがある

 

「時速100キロで、走行車線を、流れに沿って走っているなら
捕まえない。
100キロを越して走っていたり
無理な運転をして、車の流れを乱したり、
追い越し車線を連続して走っている車は、捕まえる。」

 

一見、そりゃ当然だ、と思えるような話だが
「時速100キロで、走行車線を、流れに沿って走っている」のは
間違いなく
立派な違反である

 

無人速度監視機、通称“オービス”も
制限速度から40キロを少しでも超えなければ、反応しない
これは日本全国共通のようだ

 

では、道路の速度制限、時速60キロは
何のためにあるのか

 

破るためにある

 

その破り方がひどければ捕まえ
ひどくなければ、見逃す
その度合いは、官憲の裁量による

 

また、その基準は
道路によってバラバラである
あるいは取り締まり方法によってもバラバラである
一般道、都市高速など専用道路、高速道路
いずれにしても、「ネズミ捕り」なら
20キロオーバーぐらいでも捕まえる場合が多い

 

官憲に、違反に対する度合いによる裁量権はないはずだ
破られることを前提にした法律、ルールなど
絶対におかしいと思っている

 

違反か、あるいは合法か
どちらか、デジタルの方がいい
そうあるべきだと思う

 

※私が考えたみんなが守る速度制限
都市高速は、時速100キロ
一般道は、時速60キロ
高速道路は、時速130キロ
これを超えれば、すべて違反で検挙する
トラックはそれぞれ時速20キロダウン
しかし、トラックは追越し車線に、入ってはならない

 

高速道路の、時速130キロは速すぎるか
いーえ、“路面の精度”さえあれば
130キロは全く安全な速度です
車の性能が追いつくならば、時速200キロでも本当に安全です

 

しかし、日本の道路は
日常的に、追い越し車線に大型トラックが入ってくるので
ボロボロになっていて
凸凹になっていて
雨の日など、時速100キロでも危険を感じることがある

 

だから、大型トラックの入ってこない車線を徹底すれば
時速130キロぐらいなら
全く問題ないのです

 

遵守できる法律、守ることが出来るルール
それが本来だ

 

守られないことを前提とした法律・ルールの存在が
「ごみの不法投棄」
「違法駐車」
「商品の不当表示」
「信号無視」
「車、バイクの不法改造」
「暴走行為」
などなど
罪の意識を感じさせない不法行為が
日常的になっている大きな要因に、なっているのではないだろうか

 

守られるわけがない「制限速度」は
実は、日本の文化に計り知れない悪影響を与えていると
思っているのです

 

私は、“Green hand”ではない
速度違反は日常的にやっている
そのルールそのものが、絶対におかしいと屁理屈をこじつけながら

 

 

しかし、そういう意味も含めて
“Green hand”は、エライと思う
私は、この車を見るたびに考え込んでしまうのです。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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