谷 好通コラム

2002年08月15日(木曜日)

495話 洗車屋は、新しい文化になり得るか?

今日と明日
どうしても書きたい事が出来たので
2話に分けて書きます。

 

テーマは
「洗車屋という商売が日本の新しい文化になりうるかどうか」ということ。

 

文化などと言うと大げさなようだが、簡単に言えば、「洗車屋」という商売が、まるで「床屋さん」「美容室」のように、町の中で当たり前のように見かける商売になる可能性が有るだろうか、ということだ。
私はあり得ると考えている。
刈谷快洗隊をオープンしてから約4年、快洗隊はこの地域において完全に市民権を得ている。
だからこそ、8月も15日までで300万円近い洗車売り上げが出ているのであろう。
地域のほとんどの人が快洗隊の存在を知っており、当たり前の存在になっている。

 

※刈谷駅から車で10~15分の位置に快洗隊は位置しているのだが、駅前のタクシーに乗って「快洗隊へお願いします。洗車をやっているところです。」と、言ってもらえれば、必ず分かってもらえる。

 

※快洗隊の隣の公衆電話で中学生が友達に電話をしていて「今、快洗隊の隣にいるの、ほらクジラが書いてあって車洗っている所よ」と、言っていた。たまたま公衆電話の隣に置いてあるタバコの自販機でタバコを買っていてはいたのだが、なんともうれしかった。

 

頭・顔をキレイにする時には「床屋」「美容院」に行く。

 

車をキレイにする時には「洗車屋」に行く。
消費者の立場になって考えれば、このような感覚に何の破綻も無く、「洗車屋」が生活の中の一部になることがむしろ自然の流れ、とすら感じている。

 

 

[散髪も、昔は自分たちの家庭でやっていたが]

 

私達が小さい頃、つまり数十年前(私は50歳になった)までは、散髪はお袋がやってくれるものと決まっていた。丸坊主か、坊ちゃん刈りかのどちらか(ちなみに私は坊ちゃん刈りであった)。床屋に行くのは「入学式」とか「親戚の結婚式」の前ぐらいで、床屋に行くのは贅沢なことであったのだ。
そして今、生活が豊かになり、自分の家庭で散髪をすることはなくなった。
洗車もそうだ。自家用車自体が贅沢品でもあったが、自分で車を洗うのが当たり前であったのが、今では、洗車機の普及もあり、多くの人が洗ってもらうようになっている。

 

 

[今は男でも美容室に行く。好みが多種多様に]

 

今の若い男性は平気で美容室に行くと言う。(私達の年代では考えられないことだ。)
私が若い時のヘアースタイルといえば、「七・三分け」「オールバック」「スポーツ刈り」「丸刈り」「パンチパーマ」ぐらいのもので、選択肢はあまり多くなかった。あるいは、たまに、ロングヘアーにして反骨者のポーズを作っていた者がいたぐらい。
(実は私は20歳過ぎまで肩まで髪を伸ばしていた。そして汚かった。)
今の男性は、床屋つまり理容室でのありきたりのヘアースタイルメニューでは物足りず、男が美容室に行くようになったのだ。髪の変色にいたっては、先回のワールドカップの日本人選手の髪の色を見てあきらめた。
先日、新入社員、広島担当の山本に「お前のヘアースタイル、“ベッカムヘアー”って言うんだろ」と言ったら、彼いわく「私と同じようなヘアースタイルの奴が、イギリスから来て、そいつが“ベッカム”というだけですよ」と、オリジナルであることを主張する。
どちらでもいいことであるが、私にはとても理解できない。

 

 

[床屋も、美容室に負けない技術とメニューを持つようになった]

 

美容室に客を取られつつあった現代の床屋・理容室は、2代目の若い理容師が中心となり、新しい技術を見につけ変わって来ている。そこには男用のヘアースタイルブックがおいてあって、何十ページもの中から自分のヘアースタイルを決めてさせ、アドバイスまでしている。今までの少ないメニューしか出来ない床屋には、私のようなオジサンだけしか、もう来ない。

 

 

[いつまでも、決まりきった洗車だけでいいのだろうか]

 

洗車はどうだろうか。
水洗い洗車、ワックス洗車、撥水洗車ぐらいの品揃えで、多様化している多くのユーザーの欲求を満足させられるわけがない。
理容室が、決まりきった少ない理容コースから、わがままな客の欲求を満たすために新しいヘアースタイルが出来るようにどんどん変わってきているのと同じように、洗車においても、いつまでも決まりきったスタンド洗車だけに留まらず、多様なメニューを揃えることが絶対的に必要になってくる。

 

 

[地域に床屋と美容室がくまなく存在している。狭い商圏]

 

町内に必ず1件は床屋・美容室がある。そのほとんどが個人営業で、全国に理容室が約14万軒、美容室が約20軒もあるのだ。合計約34万軒。全国のガソリンスタンドの実に8倍!ぐらいの店舗が存在しているのだ。(グリットコラムより引用)
そして、この業界では巨大なFCチェーンが幅を効かしていることもない。いまだに個人営業者がほとんどであるという業界も珍しい。
床屋とか美容室には、行くなら自宅の近くの店に行く。ほとんどの人がそうだ。
何故そうなのかは、きちんとした分析をして見なければならないが、私もそうだし、誰に聞いてもそうだ。
だから、客の住んでいる場所の近くに店舗が網の目のように存在している。つまり商圏が非常に狭い業種であることが言える。大型店化も一部では徐々に進みつつあるが、巨大店舗は出来そうにない。

 

 

[洗車の商圏も意外と狭い]

 

刈谷快洗隊は、現在400万円前後の洗車売り上げを出しているが、来店客にアンケート調査をしてみると意外なことが分かった。来店客の実に85%が、店を中心に半径2kmの範囲の中に住んでいる人なのだ。
床屋とか美容室と非常によく似た傾向を持っている。
ここに洗車屋という店舗が、非常に多数存在できる可能性の根拠が出てくる。

 

このあとは、明日また書きます。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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