谷 好通コラム

2002年06月18日(火曜日)

447話 暖かい太陽の力

たしかグリム童話だったと思うが
こんな話を小さい時に聞いたことがあった

 

 

ここは雲の上
“北風の神様”と“太陽の神様”が、下界を見ていた。

 

下界は、とっても寒い季節で、
旅人が荒野を歩いている。
旅人は、厚手のオーバーコートを着ていた。

 

“北風の神様”は、それを見て、いたずら心が起き、
こんなことを言い出した
「なあ、太陽の神様。
あの旅人が、大事そうに着込んでいるオーバーコートを脱がせてみようよ
ワシとアンタと、どっちが脱がせることが出来るか
“賭け”をしないか?」

 

太陽の神様は、ニコニコ笑いながら「ああ、いいよ」と、言った

 

「では、先ずワシからだ」
北風の神様は、
お得意の冷たい風を、びゅーびゅー吹き始めた

 

「そ~ら、そんなコート吹き飛ばしてやる。ひっぺがしてやる。
そ~ら、びゅーびゅーーーっ、
びゅーびゅーーーっ」

 

旅人はビックリした、
突然、冷たい北風がビュービュー吹き始めたのだ。
旅の途中で、突然冷たい風が吹いてきて
頼りになるのは
この“オーバーコート”だけ
旅人は、必死にオーバーコートの前を押さえた
このコートを吹き飛ばされたら、旅の途中で死んでしまうかもしれない
旅人は、座り込んで、必死でコートを押さえた

 

それを見た北風の神様は
「何をこしゃくな、お前の力なんて知れたもの
ワシの風で、吹き飛ばしてやる
びゅっーびゅーっびゅーーーーーーーっ
いい加減にあきらめろ!!
びゅーーーーーーーっ」

 

北風の神様は、顔を真っ赤にして
北風を、旅人に、殴りつけるように吹き付けた

 

「ひぇ~~~っ」
旅人は、必死になってもっと強くコートの前を押さえ
飛ばされないようにガンバッタ

 

それを見ていた太陽の神様が
ニコニコ笑いながら
「今度は、わしの番だ
ちょっと、どきなさい」

 

そう言って、今度は太陽の神様が
ポカポカっと太陽の光を送り始めた

 

旅人は空を見上げた
今まで冷たい風が吹き荒れていた空が、急に晴れ上がり
暖かい陽の光が差し始めたのだ

 

旅人は、死を覚悟していた
旅の途中で、急に冷たい風が吹き荒れ
頼りのオーバーコートも吹き飛ばされそうになって、もうだめか
そう思っていた

 

それが、なんと
突然晴れ上がって、日が差し始めたのだ
「助かったー」
旅人は、いつまでも空を見上げ、陽の光を全身で浴びた

 

「暖っかくなってきたなあー」
旅人は、ポカポカの陽の光の下で

 

自分が着ているオーバーコートを
“脱いだ”

 

 

“力ずく”で、相手を、自分の思うようにしようと思っても
力ずくでされた方は、必死に抵抗する
結果的にはうまくいかない

 

それよりも、相手が“そうしたい”と思うように
つまり、相手が“そうした方が幸せだ”と感じることをすると
何の抵抗も無く
むしろ、結果的にうまくいく

 

これはCS(顧客満足戦略)にも通ずることで
商品を販売したい、と考えたら
その商品によって、いかに顧客が幸せになれるのか
そう考えることが
売れる商品作りの、最短距離であり、それ以外に実は方法はない
これば商品開発の基本
私たちも、商品を作り上げるとき
いかに、それを使ってユーザーが、あるいは施工店が
「使って良かった」と、思っていただけるかどうか
真剣に考えて作り上げ
その使用方法の技術の普及に、膨大な人力と手間をかけている

 

 

また、接客業で言えば
会話の中でお客様より、
いかに好感を持ってもらえるか、心地良くなっていただけるか
信頼していただけるか
それによって、いかにリピーターになっていただけるか
それが、店舗の繁栄の大きな要素になる
快洗隊も、その洗車商品のクオリティーもさることながら
接客には大きな評価をいただいている
それが繁盛店である大きな要素になっていることを、身に滲みて分かっている

 

 

会社の運営についても、本当にそうなのだろう

 

「やれ~~っ」と、大きな声を出すより
「やらないと、ひどいことになる」そんなルールで縛り付けることより

 

「やりたくなる」
そんなモチベーションを、いかに作り上げるか
それを真剣に構築していった方が
はるかに大きな成果が上がることは、間違いない

 

よ~く、分かっているつもりだ
しかし
仕事の上での「幸せ」は、目の前には用意できない
努力を積み重ねての結果でしか、「幸せ」につながる成果を作ることは出来ない
「暖かくなったからコートを脱ぐ」
そんな、行動が即、ダイレクトな幸せにつながるような
それは出来ない
積み重ねた上にしか、作ることは出来ない

 

幸せは“先”にあるので
その前に立ちふさがる「やらないラク」の壁が、なかなか突き崩せない

 

つい、大きな声が出てしまう

 

そんな時
私は、北風の神様になってはいないだろうか

 

ふと、自分の足元を見る
どうしたら太陽の神様になれるのだろうか
こんな時、太陽の神様ならどうするのだろうか

 

怖い顔をしている自分に気がつき
無理して、ニコッニコッと顔を作ってみるが
顔の筋肉が引きつってくるだけ

 

 

いつも、ニコニコしていなくては、と思って
希望ナンバーを取れるようになって以来
私の車のナンバーは、歴代すべて2525である

 

でも、乗っている本人の顔は?

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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