谷 好通コラム

2002年05月12日(日曜日)

415話 えびせんの里

愛知県、知多半島
その半島の先端に近いところに「美浜」という町がある
半島を縦断する知多半島道路に乗ると
名古屋から30分ほどで「美浜インターチェンジ」に行くことが出来る

 

美浜ICを降りると、インターの右側に「えびせんの里」という施設があって
せんべいを製造する工場と、せんべいの直売施設が一緒になっている
かなり昔からあったが、何年か前に施設を大幅に拡大した
総敷地面積は、3千坪ぐらいか
売り場面積と休憩室面積だけ6百坪もある(これは案内に書いてあった)

 

「えびせんの里」はものすごいのだ
何がすごいって、その来場者数が半端ではない
たかが「えびせん」の工場と直売だけの施設なのに
土日には、万の単位で客が来る
客用の駐車場が
大型バス用=40台
乗用車用=500台
それがビッシリになって、しかも道路に行列が出来る
ここで売っているのは「せんべい」だけなので
客の滞留時間は短い
せいぜい30分ぐらいであろう
つまり、客の回転率が異様に高いので
駐車場はビッシリで、しかも、車の出入りが恐ろしく激しい
営業時間8:00~17:00の9時間のうち、たぶんラッシュは5~7時間程度であろうが
客の回転は、10~15回ぐらいはあるであろう

 

低めに考えてバス7回転、乗用車10回転と考えてみると

 

大型観光バス1台に平均30人×40台=1200人×7回転=8400人
乗用車(1BOX車多し)1台に平均4人×500台=2千人×10回転=2万人

 

この「えびせんの里」に、土日には2万8400人の来場者がある計算になる
少なく考えても2万人以上は間違いなく来ていると思える

 

さらに驚くことは、みんな「えびせん」の袋をいっぱい買っている
一袋300円~1000円(かなり大きな袋なのだ、最高値は「えび姿せんべい」)
平均すると500円程度か
それを、みんないくつも買っていく
家族で来て、買って行くので、一人の平均にすると1.5~2袋ぐらいだろうが
(ちなみに私は今日、3人で行って8袋買ってきた)
それでも、平均単価5百~1千円/人ぐらいはあると思える

 

トータルで、この「えびせんの里」
1日の売り上げ、どんなに少なく見ても1千万円以上、ひょっとすると3千万円
この手の加工商品の原材料費は2~3割程度
土日の粗利、1日一千万~二千数百万円
平日の売り上げはその5分の1ぐらいしかないとしても
1ケ月の粗利、数億円はあるだろう
※人のフトコロ勘定は、無責任で楽しい (^^♪
まさに、まさに大繁盛店である

 

※これはチラシに載っている写真であって、駐車場はガラガラであるが
土日の実際は、通路までビッシリなのである

 

 

この店の大ヒットの要因は「試食」のし放題
まさにこれであろう
五十数種類のせんべいが
大きめのワゴンに一種類ずつ、袋詰めが山になって置いてある
そして必ず「試食」のためのせんべいが、大きめの容器に入れて置いてある
試食のせんべいの量が少なくなってくると
売っているせんべいを一袋ごと破って入れていく
(単価の高いせんべいは小さく砕いて入れる)

 

客は
あらゆるせんべいを、一種類ごとに試食していく
そして、気に入ったせんべいの袋を「買物カゴ」に、入れて行く
一袋だけなんて人は滅多にいない
みんな、いっぱいのせんべいの袋を買物カゴに入れている
そして、みんな口がモゴモゴ動いている
みんなせんべいを食べながら、せんべいを買っている
私も、少なくとも10枚は食べた
食べていると、そしてそれがおいしいと、ホンとにそれが欲しくなるのだ
別に、買う気がなく入ってきても、食べているうちに、きっと欲しくなってしまうのだろう
それは私自身、実感として、そう思ったのだ

 

私はいつも、セミナーでこう言っている
洗車のように一般の商品の販売方法は「告知」が重要であり
告知には、いろいろな種類がある
「言葉で聞かせる」
「文字で読ませる」
「写真などで姿を見せる」
「現物を見せる」
「体験させる」
これは、一番上の「言葉で聞かせる」がもっとも弱く
最後の「体験させる」が最も強い。と
(ただし、洗車の場合、体験させる告知にはいろいろ問題があって
私は、二番目の「現物を見せる」つまり作業を見せることを推奨している
このことについては、「ラーメンと洗車」でいずれまた)

 

「えびせんべいの里」は、まさに最強の告知「体験させる」を
見事に実践しているのだ

 

「好きなだけ、ただでえびせんを試食できる“えびせんの里”」
でも
「食べているうちに、いっぱい買いたくなってしまう“えびせんの里”」

 

値段は幾分安い程度

 

しかし
えびせん製造工場のまともに横で販売しているのだ
高いイメージがあるわけがない
「流通マージン、ゼロ!」(これはでかい! これは製造者の夢である)
「配送コスト、ゼロ!」
「ストックコスト、ほぼ無し」
だからといって大安売りしているわけではない
売っているものは唯のせんべいではない
なんとなく高そうな「えびせん」である
大安売りでは、安かろうになってしまい、かえってイメージダウンだ

 

客を製造現場に、試食し放題で、呼び寄せて
いっぱい食べさせて、欲しいと思わせて
高そうな「えびせん」を、そこそこの値段で、大量に売る!
私は「えびせんの里」に行くたびに
商売人として、ちょっとした感動をいつも受ける

 

 

この「えびせんの里」は
知多半島でもっとも有名な「観光地」にすらなっている

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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