谷 好通コラム

2002年04月02日(火曜日)

387話 ハーフスロットル

私は、30歳になってから自動二輪の免許を取りに行った

 

独立して事業を始める少し前のこと

 

自動二輪の免許は16歳から取れる
だから、自動車学校に来ている生徒はそんな年代の子達ばかりであった
16歳~18歳ぐらいの若い子達に混じって
オジサンは、私一人だけ
教官も、20台中ごろの若い教官であった
若い教官は、子供のような生徒たちに向かって
「コラッ、ちゃんと前を見んかい!」
「佐藤!ニーグリップを忘れとるぞー!」
と、けっこう乱暴な口調で、檄を飛ばしている

 

練習用のバイクのハンドルの部分には、スピーカーが付いていて
教官のマイクを通しての怒鳴り声が、みんなに良く聞こえるようになっているのだ
私も、教官が若い子を叱り飛ばすのを、スピーカーで聞きながら
緊張して、一生懸命運転していた
教官は、明らかに体育系だ

 

体育系は、歳の上下に気を使う傾向が強い
若い子達に向かっては、「おい!こら!てめ~」と、平気で怒鳴り散らす
が、私には
「谷さーん、大丈夫ですかー」「もう少し背筋を伸ばしてくだサーイ」
と、やさしく呼びかける
そして、すぐ
「木村―!てめえ何度言ったら分かるんだ!ばっかやろー!!!」
と、怒鳴る

 

私は、教官に、やさしく言われれば言われるほど
恥ずかしくて
練習も大変だったけど、「谷さーん、大丈夫ですかー」が、一番つらかった

 

バイクの運転で、最も難しいのが
「低速で」
「ハーフスロットル」(アクセルを微妙に調整しながら、少し開ける)
「バランスをとって」
「安定しながら」
「しかも、体重移動をスパッと決めて」
「ピタッリ、思った通りのコースを自在に通る」

 

アクセル全開が一番簡単
前に進む力がかかっている時がバイクは一番安定している
これは四輪の場合も全く同じ

 

直線での加速は、何も考えなくてもいい
ただただアクセルを床まで踏んでいればいい
車は勝手に安定して加速していく

 

コーナリング中、スピードが限界に近いと
車は非常に不安定になる
Gがかかり、車は外に飛び出そうし、タイヤのグリップがそれに耐える
外へのGと、タイヤのグリップの限界がバランスした時
一番早く走れるわけだが
一瞬、車のケツが外に振ろうとしたとき
ビビって、アクセルをガバっと戻すと、一発でスピンしてしまう
“アクセルは、ほどほどに踏んだまま!”
主にハンドルでコントロールする
(アクセルを踏んだまま、というのがなかなか出来ない。こわい!)

 

 

32歳で、独立してから
私は、いつも全開で来た
事業において
床までアクセルを踏みつけて、いつも全速で走ろうとしてきた
スピードを出し過ぎて
ブレーキを踏んだことも何度かあった
でも、体勢を持ち直した時、すぐさま、またアクセルを全開にした
それが私の仕事に対するスタイルでもあった

自分のボディーにゆるみが出てきて、剛性が低下しているのも
はっきりと感じている

 

ハーフスロットルを身につけなくてはと思っている
その方が結果的に、すべてにおいて良いということも
分かってきている
絶妙なバランスを自分自身のものにしなくては

 

※私と同じように、ボディがガタガタになってきたキーパーレビン25番

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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