谷 好通コラム

2002年03月03日(日曜日)

367話 洗車とラーメン?

今日はとんでもない長文です。
ちょっと真面目に洗車の事について書いてみました。
今日と明日の2回に分けて掲載します。

 

洗車はラーメンと同じか??

 

今日は「洗車」という商品について、その基礎の部分からじっくりと考えてみたい。
私達、アイ・タック技研は活動の当初から、「ワンデースクール」活動を軸に、洗車に対する考え方をしっかり持つ事を訴えてきた。その話の中に「“洗車”は “燃料”という商品よりも、むしろ“ラーメン”に大変よく似た商品としての性格を持っている。」というものがあった。この話は、以前のスクールでは必ずしていたが、最近は他に話さなければならない事が多くなってきていて、この話しをすることが無くなってきているので、原点に返り、今一度この話をまとめて見たい。

 

【“洗車”と“ガソリン”は、商品として正反対の性格を持っている。】

 

その?
※ガソリン
燃料という商品の代表であるガソリンは、ユーザーは自分で作る事は出来ない。製油所で原油から精製された商品をガソリンスタンドで買うしかない。
※洗車
ユーザーが自宅、あるいはコイン洗車場などで、自分で洗うことも出来るし、ガソリンスタンドで「洗車をしてもらう」ことも出来る。

 

その?
※ガソリン
製油所で厳密な“規格”の上で製造されていて、小売の段階での商品の品質の格差は、ほぼ無い。ガソリンは、車が走るために“必要”だから入れるのであって、“規格”より上の品質も、下の品質も必要ではなく、決まった性能を持った燃料としてのガソリンを、ユーザーは、“選択の余地無く”自分の車に入れる。つまり、商品を選ぶ自由無しに、決まった品質の商品を“買う”。
※洗車
泥を落とすだけでいいのか、水垢などを取り、綺麗に磨くのか、室内まで綺麗にするのか、下回りを特に綺麗にしたいのか、車をどのように、あるいは、どこまでキレイにするのか、ユーザーに色々選択肢がある。
そして、ユーザーによって好みのキレイさがあり、また、それが千差万別であり、好みに合わないものは「いらない」。好みに合うものだけが「欲しい」と思ってもらう事が出来、購買の対象になる。

 

つまり、ユーザーにとって燃料、その代表的な商品であるガソリンは車にとって必要なものであり、「買う」しかなく、しかも、決まったものを買うしかない。
それに対して洗車はやらないという選択肢もある。つまり“必要なもの”でなく、洗車したいという“欲求”を感じた時にやるものである。
ガソリンが「必要商品」であるのに対して、洗車は「欲求商品」であると言える。
そして、洗車するにしても、自分でやるか、やってもらうかの選択肢がユーザーにあり、しかも、どんな風に、どこまで綺麗にするか、その質についてもユーザーの自由な選択肢がある。そしてそれが千差万別であると言う事。

 

【SSは必要商品の販売が得意】
考えてみると、SSで販売しているものは、どちらかというと、ガソリンのように車にとって“必要”なものが多いようだ。「オイル交換」「クーランと交換」「車検」「タイヤ」など、車を安全に、かつ、快適に乗るために“必要”な商品をたくさん売っている。
このような商品を販売する時に「そろそろ○○を交換した方が良いですね」と言うような言葉が良く使われる。

 

【必要商品を売るには、接客と技術が決め手】
ユーザーからしてみれば、必要商品は買わなければならないものなのだから、「気持ち良く」買いたいし、「間違いのないもの」を買いたい。
勿論もう一つ、「安く」買いたいという要素もある。しかし、ここでキチンと考えておきたいのは、「安ければ、他の事はどうであっても安いほど良い」と考える客層はそれほど多くはないということである。
ましてや、車は安全が第一。大多数の方が、ガソリンは間違いのないものを買いたいと思っているのと同じように、オイル交換など車のメンテナンスに関わるものは、きちんとした技術を持った所で買いたいとユーザーは思っている。
そして、感じのよいところで買いたいと思っている人の方が多いことは間違いない。
現在デフレであり不景気であるとはいえ、ほとんどの人が「中流意識」を持っており、店員の感じが悪くても「安ければ買う」という人は多数派ではないと思う。
(商品をとにかく安くするためには、販売コストを下げる事が必須。コストで一番大きなものは“人件費”。人がいない事が一番コストを下げる事になる。それがセルフのポイントであろう。しかし、私たちが私たちの生活と職場を確保するためを考えると、全てのユーザーニーズは私達がいないことを望んでいるとは考えたくないものだ。また、安さだけを徹底的に追求し、安値の泥沼に陥ってしまうのは恐ろしい事である。)
しっかりとして技術と、信頼感を持ってユーザーが必要なものを買う事が出来る「きちんとした接客」が、「必要商品」を主に販売するSSにとって、一番重要なことであると強く考えるものです。

 

【しかし洗車は欲求商品、必要商品と全く同じ考え方では通用しにくい】
洗車のような欲求商品でも、「気持ちの良い接客」「信頼感を与える接客」は、必須。
しかし、洗車は欲求商品。どんなに接客が良くても、感じが良くても、そのユーザーの「好みに合う商品」でなければ買ってくれない。
どうしても必要なものでは“ない”のだから、欲しくなければ買わない。どんなに、接客をよくしても、要らないものは、要らない。むしろ、その商品がユーザーにとって欲しいものであれば、多少接客に問題があっても、買う事すらある。
そこが必要商品と、欲求商品の決定的な違い。
洗車は、必要商品がほとんどであるSSの商品群の中で、異質な商品であると言える。優秀なSSが、洗車だけはちょっと苦手であるという話をよく聞くが、そんな場合、洗車をガソリンとかオイル交換とか“必要商品”と同じ感覚で販売しようとしてしまっている。こんなところに原因があることが多い。

 

【「洗車」は「ラーメン」と同じ、と考えた方が簡単】
SSには、ガソリンと・オイル・タイヤとかの商品とともに洗車も売っているので、つい、洗車もその他の商品と同じように考えてしまいがちだ。だからいっそのこと、洗車を考える時、私たちが今まで全く経験したことのない他の商品に置き換えた方が、解りやすいと考えた。
それが「ラーメン」。
ラーメンは、考え方によっては、洗車という商品に驚くほど似ている。

 

その?
まず、ラーメンは、材料あるいはインスタントラーメンなどを自分で買ってきて、自宅で作る事が出来る。しかし、ラーメン屋に言って、ラーメン屋が作ったラーメンを、お金を払って食べる事も出来る。

 

その?
ラーメンには、規格があるわけではない。
100件のラーメン屋があれば100種類の味のラーメンがあるといっても良い。(FC店は例外か)そして客は、自分の好みの味のラーメンを食べる。
そして客の好みは千差万別であり、どんなに安かろうと、接客が良かろうと、きれいであろうと、近くにあろうと、好みに合わないラーメン屋には行かない。
つまり、好みに会わないとは、その人にとってはまずいラーメンであって、どんなに他の要素が気に入っても、まずい物は“いらない”。食べない。

 

どうでしょうか、洗車とラーメンは驚くほど似ている商品とは思えないでしょうか。
では、ラーメン屋さんの事を色々考えていく事にしましょう。
洗車の事について色々ヒントになることがありそうです。

 

続きは、また明日。

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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