谷 好通コラム

2018年10月17日(水曜日)

10.17.私は弱い人間ですが、強い人はいるものです。

親父がまだ生きていて若かった頃、
子供であった私におふくろは言った
「お父さんは、ちょっと熱が出ると、
今にも死にそうなことを言う。オーバーなんだから。お父さんは」と、

 

おふくろは辛抱強くて、
高熱が出ても、布団で辛いとも何とも言わずじっとしている。
そんな自分に比べると、痛い時には痛いと言って騒ぐ親父が、
情けなく思えたのだろうか。
親父が「頭が痛い、氷枕を入れてくれ。本当に痛い。」と泣き言を言うと、
おふくろは「はい、はい、はい、はい・・」とうんざりした様に返事していた。
それを見ていて、
私は大人になったら、何があっても、じっと我慢出来る人になろうと思った。
その方が、尊厳があるし、立派な人のように思えたのでした。
少なくとも、大したこともないのに痛い痛いと騒ぐのは
大人としてみっともないと思え、
おふくろにぼやかれる親父はカッコ悪いと思ったのです。

 

そんなことを憶えている私は大人になって、
時々、自分は昔の親父みたいだなと思う事があります。
痛さには決して強い方ではなく、泣き言も言います。
自分でカッコ悪いと思いますが、
我慢強い方ではない自分を情けなく思う事もたびたびです。

 

しかし、どんなにしんどい時でも、つらい時でも、
仕事をバリバリやっている時は、充実して忘れてしまいます。
誤解を恐れず言えば、
バリバリ仕事をしている時にうっかり死んでも気が付かない位でしょう。
仕事がうまく行っていて、すべてが進化して、
どんどん新しい展開が開けている時は、
どんなにしんどくても忘れてしまうことが出来ます。
それで余計に悪い症状が悪くなるかと言えば、それはむしろ稀で、
夢中になって頑張っている内に良くなってしまうことの方が多いものです。
少なくとも若いうちはそうでした。
そういう自分が好きでしたし、自慢でした。

 

イカンのは、病気で病院に入院なんかすると、
仕事もせずにじっと寝床に寝たまま、痛さとか苦しさをじわっと受け止め、
それを自覚し続ける地獄の時間がゆっくり過ぎて行くだけで、
たまらなくいやです。
そういう時こそオヤジの気持ちがよく解ります。
泣き言を並べて連れ合いを困らせます。
こんな時、連れ合いは私の事を「情けない‥。」と嘆いているのでしょう。

 

しかし、きっと年取ってくると入院の機会も多くなるでしょうし、
泣き言を言いながら弱っていく自分は、たまらなく情けないでしょうし、
嘆くことも多くなるのかもしれません。
弱い自分です。

 

しかし、強い人は、本当に強い人がいるものだと感嘆します。
私は、人の真似をよくしますが、
「強さ」だけは真似できません。
ただただ尊敬して、
驚嘆するばかりです。
それを思うとたまらなく涙が出てきます。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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