谷 好通コラム

2001年08月21日(火曜日)

203話 台風と飛行機 ?

台風と飛行機?の続き
本題に入る前にちょっとだけ

 

不謹慎とは思うが
私は、天災の類いを経験することが“好き”である

 

台風が来るとか
雷が鳴っているとき
私はもうウキウキである
怖いともなんともない

 

私は小学校2年の時に、「伊勢湾台風」に被った
それは、もっとも被害の大きかった災害で
私達が住んでいた名古屋市南区は、その中でも悲惨であった
私たち一家は、その時全滅していてもおかしくない災難にあったのだった
(はじめの一歩、第59話 台風の中の命)

 

あれだけ怖い目をしたら、ちょっとやそっとでは怖いと思わない
そんな風になってしまった
逆に、怖い目に会うと
かえって臆病になってしまうということも聞くが、私はそうではなかった

 

それに、伊勢湾台風は、もう40年以上前の話
あの頃の堤防などに比べれば、今の防災は完璧に近い
決してナメテいるつもりはないのだが
いずれにしても、怖くないものは怖くない

 

ということで
結構ウキウキで乗り込んだ、台風に向かっての飛行機
前話の続き
左側の窓で見た、美しいもの

 

「ブロッケンの環」

 

太陽 ⇒ 飛行機 ⇒ 雲
この順番で、一定の距離で、一直線に並んだときに出来る美しい現象
雲に映る、“輪になった虹”が見えるだろうか

 

 

しかし、これは不完全なブロッケンの環
本当ならば
虹がもっとハッキリしているのと同時に
虹の輪の真ん中に
飛行機の影がはっきり見えるのだ
太陽の光が薄い雲で、すこしポケていたのが原因
(今度はもっと完全なブロッケンの環を、ぜひ撮りたい)

 

そろそろガタガタと、飛行機が揺れてきた
イヨイヨである

 

今、名古屋空港への到着予定時刻の約25分前になったが
降下する様子がない
コックピットでは、パイロットと空港の管制官が
「着陸を強行するか、どうか」無線でしきりに、やり取りしているに違いない
想像しただけでもゾクゾクする
先ほどから、機体は不気味に揺れている
旋回して、様子を見るか?
しかし
旋回するそぶりはない
「はよ旋回を、せんかい」
などとクソ駄ジャレが、私の口をつく(サブ!)

 

おっと
「あと5分ほどで降下を開始します」との、アナウンス
パイロットは“やる気!”である

 

どんなアプローチをするか楽しみである
機体の揺れが、どんどん大きくなってきた

 

「まもなく大きく揺れることが、予想されますので、
シートベルトは腰の低い位置で、しっかりとお締めください」とアナウンス

 

と、すかさず
今度はパイロットからのインフォメーション

 

「皆さんご心配をおかけしましたが、名古屋空港の天候は
進入可能な状態であることが判明しました
今から降下を始めます。
しかし、台風の影響で、
強い雨雲!と
強風の中!を
進入していきますので
強く揺れる!ことが予想されます。
客室乗務員も座らせますので
お客様ご自身でしっかりとシートベルトをお締めください」

 

(ここからは自宅で書いた)

 

話が終わるや否や
ガンガン揺れ始めた
みんなシーンとしている

 

大きく揺れるだけでなく、変な振動まであった
ブルブルブルブルブルっ
と機体が身震いするように震えたのだ
こんな感じは、さすがに初めての経験であり
気持ち悪かった

 

大きく揺れながら、それでもかなり高度が下がってきた
山肌にへばりつくような雲が見えた

 

 

もうちょっとだ
左右に、上下にあおられながらアプローチを続ける
パイロットは必死であろう
窓を大粒の雨が叩き、ぐっしょりと濡らしながら後ろにすっ飛んでいく
下界が見る見る近くなってきて
「ドッドッドッッドッスン」
無事着陸

 

「ナンスランディング!」
と、客室乗務員の女性が、小さくガッツポーズをした

 

また、つかの間の冒険でした

 

※頑丈なベテラン飛行機、B-767

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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