谷 好通コラム

2018年10月05日(金曜日)

10.05.組織が大きくなる過程でいつも困る事

私達の会社は、創業以来34年間、
何度も何度もつまずきながらも、なんとかここまでやってきました。

 

といっても高みの目標を目指してやってきた訳ではなく、
その時にあった問題とテーマを地味にこなし、
毎年、前年比120%を得ている間に、
いつの間にかここまで来ていたという感じで、
いつも言うことですが、達成感を持つことなくここまでやってきました。
だからここまで来ても、
組織全体にさしたる緊張感もなくやって来た気がします。

 

15年前に3人の組織の長、例えば班長だった人間が、
全体が増えたので
今は50人の組織の長、例えば部長をやっています。

 

しかし15年間にその人が、
班長から部長への器と能力を上げて成長したとは限らず
会社の成長と共に、担当した組織の大きさも自動的に成長して、
その増加した人数の長は自然に部長ということになった。

 

つまり、その人が班長職から部長職に成長しているかどうかは別にして、
会社が10倍に成長したので
担当している組織も10倍に成長したので、
5人の長=班長から、50人の長=部長に成った訳なので、
果たしてその人が
「班長の器と能力」から「部長の器と能力」になったのかは判らない。
組織が相当のスピートで成長して大きくなると、
その成長に追いついて、
組織の構成員の成熟度も成長しているとは限らない。
むしろ、まったく追いついていないのが普通だ。
しかし、それでも部長は部長なので、世間は彼を部長として扱い、
しかも大きく成長した会社の部長として扱います。

 

すると、彼はその気になって「部長らしくしていなければ・・。」と、
その言動から立ち振る舞いを部長らしくする。
しかし残念ながら
彼は「”らしく”している」だけであって、
その器と能力が部長にふさわしいレベルに成長する前に、
会社が成長したから部長になってしまったので、
“らしい”だけで、
部長として相応しい理解力、判断力、実行力、決断力は伴っていない。

 

部長は部長になったとたんに、
部長として持つべき力を持った訳ではないので、
まだ持っていないから、
まだ、持っていないという自覚から、
それを持つべく学ぶのです。
学ぶ以外方法は絶対にないのです。
学ぶには、自分がまだ出来ないということを知り、認める所から始まります。

 

出来ないということを認めず、
出来るふりをしたり、”らしく”だけしたり、あるいは錯覚なんかしていたら、

本人にとっては、もう出来るのだから、学ばなくていい。
学ばなくてもいいのだから、学ばないので、
いつまで経っても力を着けることは絶対に出来ません。

 

課長になったら、
突然、英語が出来るようになる訳がないのに、
課長になったとたんに英語でメールを書き始める人がいたり、
今まで全くしたこともない企画が、
部長になったに、突然、出来るようになる訳がないのに、
部長になったとたんに企画の中心になりたがったり、
みんな、その地位になったとたんに、
自分がその地位らしくなった錯覚を持ちます。
バカバカしいのですが、本当にみんなそうなります。

 

“らしく”しようとすると、すぐこんな罠にはまって、
学ぶべき事を学ばず、
部長づらして部長みたいな事をしたがるただのアホになるのです。

 

こんな場合は、まず、
その人がまだ「知らない」「出来ない」「判らない」ことを強く自覚させるか、
その人の本当の能力に見合った役職にとりあえず下げるしかない。
しかし、それは本人からすると他人からの「自己否定」につながる事であり、
受け入れられないこともある。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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