谷 好通コラム

2022年02月19日(土曜日)

02.19.それでも勝ちたいのか。何故?

昨日の女子フィギアスケートで、日本の坂本選手が銅メダルを取ったが

それは前日のショートプログラムでトップであったワリエワ選手が、

自らにかけられたドーピング疑惑の重圧に負け、

動揺した精神状態でフリーの演技が大失敗の連続で、

悲惨な得点に終わったので、

坂本選手が繰り上がるように銅メダルを取ったものだった。

 

ワリエワ選手はわずか15歳。

違法薬物を服用したとしても、

自分の意志でその薬を飲んだとは考えにくい。

コーチなどの取り巻きの大人が、大丈夫だからと言って与えたものだろう。

 

15歳の子供は、自分は大人の言われるがままにしていたのに、

自分がドーピング疑惑で疑われ、非難されるのは心外であろう。

そんな乱れた精神状態で、

高度に集中が必要なフィギュアの演技は、非常に困難な事だったろう。

一度ジャンプに失敗したら、もう集中が続く訳もなく、

ジャンプを何度も失敗し、何度も転倒した。

しかし、途中で棄権してしまってもおかしくないのに、

ボロボロになりながら最後まで演技したのは、本当に見ていて可哀そうだった。

 

泣きながら帰ってきたボックスでは、

大きな女性コーチが待ち構え、

「なぜ、力を抜かずに演技をしなかったのか。説明しなさい。」と、

泣くワリエワ選手を執拗に追及する姿がテレビの画面に映っていた。

ワリエワ選手は泣きながら、指で耳をふさぎ、

とうとう泣き崩れてしまったが、

それでも、その女性コーチは怒った表情で怒鳴り続けていた。

背筋が凍るような光景であった。

 

15歳の少女がどんなにボロボロになっていても、

慰める訳でもなく、励ます訳でもなく、

傷つき泣き崩れる少女に

その女性コーチの怒りは収まる様子もなく、非難し続けているように見えた。

こんな冷酷な大人なら、

選手の健康がどうなろうと構わず、

勝たせる為に禁止薬剤を、だまして飲ませるなんてのは平気なんだろう。

 

そんなことを思いながら、

ロシアがドーピングの常習国として、

国としてのオリンピック出場を認められずに、

「ロシアオリンビック委員会」なんて

訳の分からない団体名で出ている意味が解ったような気がした。

 

あの様子を映し出した画面は

ロシアは世界中の目の前で、

そのイメージをひどく落としたことは間違いない。

 

それでも勝ちたいのか。何の為に?

 

こんな国に攻めてこられる国の人々は、

なんて気の毒なのかと、気が重くなる。

 

と同時に

私は平和な国に生まれて、平和に暮らせている事に本当にありがたいと思った。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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