谷 好通コラム

2018年04月08日(日曜日)

4.08.最高に面白いレースだった。SGT岡山戦

今日はスーパーGT2018年の初戦、岡山戦決勝であった。
我がチームは岡山戦にめっぽう強い。
過去4年間で4戦3勝、
つまり4戦での岡山国際サーキットでレースをやって、
3回が優勝し、残りの1回が2位であった。
スーパーGTには独特のウェイトハンディの制度があって、
レースで優勝或いは入賞すると、
その成績に応じた重さの「ウェイト」を次のレースで積む制度で、
例えば1レースに優勝すると40Kgのウェイトが課せられる。
しかし、初戦はすべての車両がウェイト”ゼロ”であり(ラストもゼロ)、
イコールの条件で戦うレースとなる。
我が#37(今年は#1)は、このイコール条件でのレースに滅法強いのです。
これは自慢しても良いことなのですが、
初戦に優勝すると、一番重いウェイトを一番長い間積むことになって、
条件的にはあまり得ではない。
しかし、レースは全戦をみんな全力で戦っていて、損も得もなく、闘う。

 

 

今回のレースも、もちろん、全力で勝つつもりで闘った。
しかし、決勝前日の「予選」では、
その日の異常なまでの低温が、帆がチームのタイヤにはマイナスに響いて、
16台中9位とあまりパッとしない結果であった。
9位からのスタートでは、まず優勝は難しいだろう。
と、私もみんなも思ってサーキットに行ったのだった。

 

朝8時にホテルを出て、約1時間後、まだ空いているサーキットに到着。
それから午後2時半のレース決勝スタートまでの5時間余りの長い時間、
前座レースとか、SGTのフリー走行、などいろいろな行事があって、
私達は、一緒にチームを応援するために集まってくれた
プロショップなどの皆さんにご挨拶したり、話をしたりして過ごします。

 

 

さぁいよいよ決勝レース。

 

スタート前のフォーメーションラップを、
セーフティーカ―を先頭にして回るのだが、
その中で9番手を走る#1のスタートドライバー「ニック・キャシディー」は、
いかにもタイヤに熱を入れようとするのか、
ゆっくりとした速度のフォーメーションラップなのに
急加速したり、ハードブレーキをかけたり、ハンドルを大きく振ったり、
危うくスピンしそうになるくらい激しくタイヤに熱を入れる動作をしていた。
とは、一緒に行った村藤君からの話だ。

 

 

その甲斐あってか、#1のニックは、
本番のスタート直後の1周走る間に、
前を行く予選上位の車を抜きに抜いて、
最終コーナーからストレートに戻ってきた時点で、
何と6位にまで上がっているではないか。

 

さすがにチャンピオンカーであり、チャンピオンドライバーである。
その後色んなドラマがありつつ、着々と順位を上げて、
15周目くらいには4番目に着け、
かなり速いペースで前を抜いていく。

 

今回のタイヤは温度が低い状態でグリップが出ず、
昨日の予選では苦戦したのだが、
決勝の当日、昼までは変わらずの低温だったが、
午後からは日向ぼっこが出来るくらいの日差しが出て、
短時間で路面温度が上がったのではないだろうか、
これをチャンスと見たニックが、
無理やりタイヤに熱を入れて、
上がったグリップを利して、強烈な追い上げを強行したように思えた。
とにかく速い、一周につき前を行く他車より2秒は速く、圧倒的だ。
今年のタイヤは熱さえ入れば、かなりの実力を持っているように思える。

 

その後、前を行く好敵手#23モチュールGT-Rが
ドライブスルーペナルティーを受けたりして、
色々なこともあって、
38周目に、とうとう、ニックはトップに躍り出ました。

 

 

トップ。1位。
予選9番手から38周でトップにまでなるなんて信じられません。
ピットの中は大騒ぎです。

 

しかし、それも45周目にピットインしてくるまで。

 

ピットインして手早く平川亮選手にバトンタッチするも、
ピットストップの時間が、
先にピットインした
この日の最大のライバル#100のレイブリックNSXなどより5秒は遅い。
燃費の問題で給油の燃料の量が多かったのだろうか。
何か作業にトラブルがあったのだろうか。
私たちには分からないが
ニックが激しくもぎ取ったトッブの座はあっけなく取られて、
すべての車がピットインした時点で4番にまで下がっていた。

 

ピットに帰って着替えてきたニックは、
最初、ちょっと怒ったような表情をしていたが、
しばらくして、冷静さを取り戻し、
トップまで上がったことに対するみんなからの祝福を素直に受けていた。
大したものです。

 

 

そこからもう一人のチャンピオンドライバーである平川亮選手(以下単に『亮』)は、
激しく追い上げ、とりあえず前を行く同じLC500の#6ワコーLC500を抜き、
亮はレクサス陣の中ではトップに戻り、
3位になって、今年は速いNSXの#100と#17を追う。
#100のレイブリックNSXには、
「元F1世界チャンピオンのジェンソン・バトン」が乗って話題になっている。
#17ケイヒンNSXは、昨日の予選トップの車だ。
そう簡単には亮といえども追いつけない。
あと25周残っている時点でトップに約12秒の遅れ。
1周0.5秒のペースで追い上げれば行ける差だ。

 

12秒とはピットストップで5秒の遅れと、
亮がピットアウトした時、
前線でも通過したのであろうか、急に温度が下がって、陽もかげり
テントの中にいてもヒヤッとして慌ててストーブに火をつけたぐらい。
熱が入らないと力が出ない今年のタイヤに、この冷えは効いたのだろうか。
亮のペースが思ったように上がらなかった。

 

それでも、あと15周ぐらい残りの時に、
先頭を行く#17ケイヒンNSXが、
他車から落ちたパーツを拾って、フロントの一部が壊れたかと思えたのだが、
ペースは全く落ちず、
しかし、NSXのタイヤが終盤でタレル特性があるようで、
あと残り10周くらいで、ペースが落ちて
最後の週には、#1と#17の差3.9秒まで追いついたのだが、そこまで。

 

 

あと3周あったら、
前を行く2台のNSXを抜いてトップになっていたに違いないが、
ピットアウト直後の急激な”冷え”がタイヤの熱を下げたのが最後まで響いて?
残念ながら、2018年SGT初戦を3位で終えたのでした。

 

走っているドライバーや、チームには大変なレースであり、
残念なレースでありましたが、
見ている私達には、めちゃくちゃ面白いレースでした。

 

今年のシリーズも面白くなりそうです。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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