谷 好通コラム

2017年06月15日(木曜日)

6.15.明るい林業の村、花粉症の元凶? かわいい蟻地獄

今日私は、ちょっとした所用で岐阜県加茂郡白川村に行きました。
白川村と言っても
世界遺産合掌造りの白川郷とはまったく違います。
白川村は中央道を恵那インターで降りてから山道を30分ほど走った所にあり、
白川郷は東海北陸道の白川インターから行くので、方向違いです。

 

白川村は、そんな風に説明しなければならないほど無名です。
しかし、周りの山はよく植林されていて、
よく手入れもされているようで、きれいな杉や檜の森が続きます。
そして驚くのが、
山地の村によくある「廃屋」が少なく、
小学校にも小さい子がいっぱいいて、
村全体に活気があるのです。

 

林業は外国からの安い外材に押されて、
日本では壊滅状態だと思っていました。
だから、杉や檜は、花粉が何千万の人々を苦しめる花粉症の元凶でもあるので、
林業がどのみち衰退産業ならば、
日本国中の杉や檜を切り倒してしまい、
花粉症から多くの人を救った方がよっぽど経済効果があると思っていました。

 

私は花粉症ではないので、
花粉症の人の苦しみは全く分かりませんが、
そんな人を見ているだけでも苦しそうで、気の毒でしょうがないので、
衰退している林業ならば、
いっそのこと息の根を止めた方がいい。なんて思っていたものです。

 

でも、こんな活気のある村と、
人々と、よく手入れされた植林の森を見ると、
林業なんて無くなってしまえばいいなんて思うのは
間違っているような気がしました。

 

 

花粉症は、アレルギーの一種であって、
大気の汚れと人の食生活の変化と花粉の相乗効果で発症すると聞きました。
だとするならば、花粉症の苦しみから
林業だけを悪者のように考えるのは間違っているのでしょう。

 

純粋に木材で出来た家は、
コンクリートや金属、化学建材で出来た家よりずっと長持ちするそうです。
燃えやすい弱点を除いては
法隆寺の五重塔などは何千年の歴史を持っていて、
手入れさえよければ、ものすごく長く持って、日本の歴史を造ってきました。
昔からの純木造でも耐震構造を持たせることはできます。

 

 

緑豊かな森林を見るにつれて、
花粉症ではない私だから思うのかもしれませんが、
日本の林業の復活を心より願いました。

 

森の中にあるお店で食事をしたら、
建物に通ずる通路が枕木で出来ていて、
そこに「蟻地獄(アリジゴク)」の巣がありました。
円錐形にえぐれた穴の壁は滑りやすく浮いた砂で出来ていて、
その縁に蟻が足をかけると、砂粒が崩れて底にまで滑り落ち、
底に潜んでいる「蟻地獄」の牙が、素早く蟻に食らいついて食べてしまいます。

 

 

蟻地獄は蟻が罠にかかるのを、ただずっと待ち続けるのです。
滑りやすい縁の壁に時々砂を吐きかけるだけで、
ただ、ただ、蟻地獄は、蟻が落ちてくるのを待ちます。

 

 

ただ、ただ、待ちます。
じっと待っている蟻地獄の姿を思い浮かべると
けなげに思え、かわいくも思いますが、

 

私は、待つだけの蟻地獄にはなりたくないなと思いました。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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