谷 好通コラム

2017年04月22日(土曜日)

4.22.拠点のてっぺんに就くと変わってしまう人たち

昨日、ある大きな会社の社長と食事をご一緒させていただきました。
その社長のお話に非常に興味深いものがありました。

 

この大会社はいくつもの子会社から成っているのですが
そのうちの一つの大きな子会社で
ある時期、社員の定着率がどの店舗でも良くなくなっていた
大量に新規採用しても、その数を上回る退職者が出てしまい
その子会社の運営、経営にも差し障りが出るようになっていたそうです。
そこで仕方なくこの会社の社長aを変えて、
その大会社の社長ご自身がその子会社の社長に就きました。

 

そして行ったことは、
毎日、その大社長自らがどこかの店舗に順番に行って
何百人もいる社員の一人ひとりと面談し、
彼らの悩みと、実態をじっくり聞いて回ったのだそぅです。
彼らの仕事や人間関係の不満や愚痴などを聞いて、
それを毎日繰り返していたら、
その社長は「気が滅入って自分がうつ病になったような気がした。」
とおっしゃいました。それほど深刻だったのでしょう。
しかし、
その面談をすべての社員に行って、
出てきた問題点を、ものすごく細かい事まで解決していったら、
それを境に、ピタッと退職者が出なくなって、
すでに退職届が出ていた社員もそれを撤回し、
それどころか、もう退職してしまった者までが何十人も戻ってきたそうです。
もちろんその会社は生き返って、今も素晴らしい業績を出しています。

 

そしておっしゃったのは、
「子会社の社長とか、店長とかでも、
ある拠点のてっぺんになって、
日常の仕事で自分の言った通りになる立場になると、
人は、半分の人が変わってしまうのは本当に不思議だ。」
と、おっしゃる。

 

拠点のてっぺんに据えると、
がぜん力を発揮して素晴らしい店長に変わる人、
まるで宝石の原石のような人が多くいます。
変わると言っても、むしろほとんどの人がプラスの方向に変わります。
そういう人を見つけるのが、社長の醍醐味です。
あるいはそれが社長の仕事なのかもしれません。

 

しかし、稀であったにせよ、
「ひどい変わり方では、
仕事の能力もあって部下の人望もあったのに、
拠点のてっぺんにすると、
まさかと思うような横暴を発揮し出して、いっぺんに部下の人望を失い、
最悪では次々と退職者を出してしまう。
この場合はそのてっぺんの人を変えるしかない。」

 

これには私はすっかり同感しました。
何らかの組織、拠点の”長”にすると、
自分が”最高権力者”や”独裁者”、”金日恩”になったかのように、威張り始め、
自分の好き勝手に振る舞い、喋り、自分だけはルールを無視して、
理不尽なことを部下に強要して、
あくまでも自分に甘く、
部下には横暴で、感情に任せて怒鳴り者がいます。

 

こんな風になると、
その拠点が社員数百人の大きな会社でも
あるいはたとえ従業員が数人の店舗でも、同じように、
職場と部下が暗くなって、
誰かが「やめたい」とつぶやき、退職者が出始めます。

 

私も何回か同じような経験をしました。
ある部署、ある地域の実績がじわっと悪くなって、
現場を訪ねて行っても、みんなの表情がなにか良くない。暗い。
しかしその原因となっている拠点長は、
部下には理不尽でも、
上司には調子が良く、
オベンチャラを言い、ヘラヘラして、
でも後ろを向いてペロッと舌を出すようなずるい奴が多く、
なかなか見破れないものですが、
暗くなっている部下たちの話をじっくり聞くと、
その勘違いの独裁者、独善者が浮かび出てきます。

 

それを見つけたら、
いずれにしても、その役職を解き、
何か違う仕事に就かせるしかないと思っています。

 

しかし今まで、その勘違いの馬鹿者を、
自覚させたことも、自省をさせることが出来たこともありません。
うっかり”てっぺん”にしたら、
バカな勘違いをして独裁者になった者は
ひょっとしたらもう使い物にならないのかもしれません。

 

西の空が赤く染まっていました。
明日も晴れです。忙しくなります。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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