谷 好通コラム

2001年02月18日(日曜日)

第28話 セルフスタンド

今、急速にセルフのガソリンスタンドが増えている。
そのいずれもが、ガソリンなどの販売量において、今までの普通のガソリンスタンドをはるかに凌駕する実績を上げている。

 

セルフスタンドの数は、まだ全国で数百箇所と少数なのであまり目立った存在にはなっていないが、今年は急激に増える事が予想される。ひょっとするとあと1・2年で数千ヶ所になる可能性すらある
それ程成功しているのだ。

 

何故これほどまでにセルフスタンドが世の中に受け入れられるようになったのだろう。

 

“安い”
もちろんこの要因はある

 

ガソリン・軽油など燃料は、車に取ってどうしても必要なものであって
入れないと走らないから仕方なく入れているもの
自分で作れないから、仕方なく買っている物である
しかもどこで買っても、どの店で買っても同じ物を買うことが出来る物
だから、どうせ買わなきゃならない物なら、
そしてどこで買ったって同じ物なら、安いほうがいい

 

ガソリンスタンドの運営に当たって一番大きなコストは“人件費”
セルフにするとそれがほとんど要らなくなるからコスト面での競争力がぐんと増す
だから普通のガソリンスタンドより安く売っても採算がとりやすい
だから確かにセルフの方が“安い傾向”にはある。

 

セルフが出た最初の頃、給油という慣れない作業に消費者はとまどった
しかし一回やってみれば、どうってない作業だということを学習してしまった
では、世の消費者は安けりゃ自分で入れた方が良いと思っている人ばかりなのか、そういう層も間違いなくいる
がしかし、そういう人ばかりなのだろうか?

 

今回のYK懇話会でセルフスタンドの実態を克明に発表してくれた?デナロの専務がおっしゃるには、セルフスタンドを好む消費者層は全体の30%~40%だそうだ。
この数字が多いかどうか
私は日本の風土からして、ぜったい「多すぎる数字」だと思う
安いと言ったってたかが2~5円
3%~6%ぐらい安いだけなのだ。
世間で激安と言っている店は、50%引きとか70%.80%引きで勝負している

 

いくら燃料が“仕方なく買うものであって”“どこで買っても同じ物が買える”という特殊な事情を持っている商品であったとしても
30~40%の人がセルフを好むとしているのは異常である

 

普通のガソリンスタンドの事を業界の人は“フルサービス型”と言う
“フルサービス”とは
計量機に誘導して、注文を聞いて、給油して、窓を拭いて、灰皿を捨てて、色々その他の商品を勧めて、お勘定をして、道路まで誘導する。
というもの

 

これを嫌いな人に言わせると
1.計量機に誘導
「要するに空いてる所に入ればいいんだろ」

 

2.注文を聞く
「金無ない時もあるんだからいちいち「満タンですか」って聞くなよ」
「無愛想に言われると気分悪くなっちゃうんだよな」
「急いでるんだから早く来てヨ」

 

3.給油する
「もう計量器止まったよ!どこ行っちゃった店の人」
「そんなにギリギリまで入れなくていいよ、あ~あ、またこぼした」

 

4.窓を拭く
「かえって窓が汚くなるんだよな」
「私の窓ガラス、コーティングしてるから拭いて欲しくないんだけど」
「いつまでもそんな事しなくていいから、とっととガソリン入れてよ」
「油まく取りしたのに、そのタオル油ついてるよ」
「窓拭く時、車にズボンが触るから傷つきそうだな」

 

5.灰皿捨てて
「灰皿洗ってくれるのはいいんだけど、水残っててイヤなんだな」

 

6.色々な物勧めて
「このあいだここで勧められて買ったもの主人に言ったら「そんな物買う馬鹿いるか!」って怒られちゃった」

 

7.お勘定して
「この店よくオツリ間違えるから気をつけなくっちゃ」

 

8.道路に誘導
「この若い子車の免許持って歳には見えない、自分で出たほうがかえって安心なんだけどな」

 

「ものすごく意地悪な言い方」を、あえてしてみた。

 

でも、絶対こんなことは無い、と言い切れるだろうか
多くの消費者が多くの店で、こんな事も経験していることは間違いない

 

“フルサービス”は一歩間違うと“不満足”の源泉となってしまう

 

売る側の論理での一方的な“フルサービス”は、それが質の悪いフルサービスならば
消費者にとっては
「ガソリンを買うため」に「我慢しなければならない負担」
である場合もあるのだ
負担、つまりマイナスの要素を我慢しながら買うぐらいなら
自分で入れたほうがよっぽどマシ
しかもその方が安い!

 

セルフスタンドの急伸は、実は質の悪いフルサービスに支えられ、加速していると言っても過言ではないと思う。

 

しかし、しかし、
そんな事情があってもセルフを支持している人はたかが30~40%、過半数ではなのだ
大多数の人がガソリンは「入れてもらいたい」のだ
今こそ「店の質」が問われている

 

セルフに勝つには
「客の立場に立った質の高い本当のサービス」
「人がいるからこそ出来る良質な商品作り」
これしかないと思う

 

前話のアイ・ビー石油、馬場さんが言っていた

 

マイナスのサービス(不満足を与える)をしている普通のスタンドと、
プラスのサービス(満足を与える)をしている私の店では、
そのプラスマイナスの格差で10~15円高くてもお客様は逃げない

 

だけどセルフスタンドのゼロサービスなのでマイナスが無いのだから
5円格差しか自信が無い

 

圧倒的な顧客満足を実現している彼の言葉だけに重みがある。

 

セルフSSのナンバーワンプロデューサーである?デナロさん
(株デナロはSSだけではなく広範囲な業種に貢献するすごい会社)
彼の言っている事は実に論理的で正しかったと思う。

 

 

この会社とはジックリとお付き合いしたいと強く思った。
明日、このデナロさんが携わった店を運営している福知山の村上商事さんのお店を訪問してこの目でいろいろ勉強してくる。

 

村上さんもすばらしい人でぜひそのお店と同時にご紹介したい。

 

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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