谷 好通コラム

2001年04月05日(木曜日)

第75話 看板に偽り?

どんなお店にも必ず、何らかの看板が掛っている
たとえば、ガソリンスタンドなら
石油メーカーの看板が掛っていると思われている

 

シェル、日石三菱
モービル、エッソ、ゼネラル(この3社は同じ会社)
コスモ、ジョモ、出光、キグナス、太陽、MC、忠ボーイ
などなど

 

実はこれはメーカーではなく
通称“元売り”といわれる、石油製品卸の元締めみたいなもの
アラブ諸国などから輸入された原油が
日本の石油精製会社の製油所で製品(ガソリン・軽油など)にされて
それぞれが契約している元売りを通じて
ガソリンスタンドに供給され
市場に流通している

 

元売りは色々な石油精製会社から供給を受けており
製油所と元売りはダイレクトの場合もあれば、そうでない場合もある
また元売りどおしでも、日常的に製品を融通したり(バーター)もしている

 

つまりそのマーク(元売りの看板)と、そこで売っている製品と
直接関連しているとは限らない
しかし
日本のすべての製油所は、厳密な規格に基づいて精製しており
だからどのマークのガソリンスタンドで、ガソリン・軽油などを買っても
その品質に全く誤差はなく
“どのマークのガソリンスタンドででも、安心して給油していい”

 

 

だから、たとえば
「私はずっと、○○○のガソリンだけを、この車には入れるようにしている」
「ガソリンのメーカーは変えないほうが、車のために良い」
と言っている人がいるとすれば
「残念でした。」と言うしかない
同じ物を入れているつもりでも、実はアチラコチラのガソリンを入れていることになる
しかし、だからといって心配する事はない
同じ規格の製品だからである

 

では「看板に偽りあり」か?

 

そうではないだろう
看板つまりブランドとは、その製品の責任所在者というのが通常である
製造者とは必ずしも一致しないのが普通である

 

たとえば車で言えば
「マツダのAZワゴン」は「スズキのワゴンR」のOEM(他社ブランド製品)であり
「日産の商用バネット」は「マツダの商用ボンゴ」である
マークが違うだけでまったく同じ車だ
他にもけっこうある
他社が製造した車でも
マークをつけているメーカーの責任で販売されているのだから
別に騙している訳ではない

 

天下の高級時計ブランド「ローレックス」の機械部(ムーブメント)は
一部のモノを除いて、他社の物を使っているそうだ
(周知の事)
そのムーブメントの製造会社自身のブランドで出している時計は
同じ機械を使っていても
ローレックスブランドのものよりかなり値段が安いみたいだ
ローレックスは、そのデザイン代とブランド代で
かなり高い物になっているということか?

 

一部の高級ブランド物と呼ばれているものには、そういうような物が多い
ブランド代が高いのであって
逆に、高いから“価値”があるということか
“値段が高いことそのもの”に価値がある物
それらに価値を感じるかどうか、人それぞれであり
べつにそれはそれでいいと思っている

 

世の中色々で
「まっ、いいかっ」と思う

 

小郡で、晩飯を食べた居酒屋さん
「男の台所」
変わった名前に惹かれて入ったが
中にいたのは
ごく普通の“お・ば・さ・ん”
このおばさん一生懸命やっていて、親切で
決して感じは悪くなかった

 

 

出てきた料理も“ごく普通においしかった”
お決まりの油の乗った馬刺しとか、串カツとか
ごくごく普通においしく食べて、満足したのであった

 

決して、決して看板に偽りありとは思わなかった
よく見たら
台所の奥の方に
確かに“男”がいた。間違いなくいた

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    谷 好通

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