谷 好通コラム

2001年10月28日(日曜日)

262話 アウトバーンとドイツ車

ドイツはゲルマン民族
ドイツ、オーストリア、スイスの人々と同じ民族
と、聞いた

 

ノイブルグという田舎町と、郊外にしか、まだ行っていないが
ここまでで、ドイツについて感じたことを、少し

 

まずビックリしたのが
「アウトバーン」
速度制限なしの高速道路
通行料金は、どこまで走ってもゼロ
このアウトバーンが、ドイツ中に張り巡らされていて、ドイツの動脈となっている

 

アウトバーンは、路面がすごい!
とにかく、真っ平ら
コンクリートで出来ている
轍(わだち、タイヤが通ったへこみ)が、まったく出来ていない
そして、すばらしく“平ら”に仕上がっている
そのフラットなことは、いままで経験したことがない完璧なものだ
しかも“継ぎ目”を全く感じさせない
コンクリートの路面というと、継ぎ目があって
ゴッツン、ゴッツンと、周期的な振動があるものだ
(中国・北京で、市内から万里の長城へ向かう道路などは、その継ぎ目の段差が数センチあるのか、ドッカンドッカンと、それはひどい不快な振動であった)

 

その継ぎ目が全く感じられない
まるでサーキットを走っている感じだ

 

そこを200kmオーバーのスピードで走る
たくさんの車が、その超ハイスピードで突っ走っている
200kmオーバーのスピードは、日本人ならほとんどは経験していないが
私は、レースをやっているので
サーキットのストレートエンドで、わずかに経験している
告白すると
一般道でも、何度かは経験しているが(ナイショ!)
100kmオーバーのスピードとは、全く異次元のスピードだ

 

それが日常的に経験できるのは、世界中でもこのアウトバーンだけだろう
とにかく、路面のレベルがものすごく高い
もともとアウトバーンは
飛行機の滑走路にも使えるようにと、ヒットラーが作り始めたもの
だから、路面の精度の基準が、最初から違ったのだろう

 

 

そして、このアウトバーンを走る“ため”の車が、ドイツ車だと言える
最初から、200kmオーバーを想定して作られている車
良い・悪い、好き・嫌い、とは関係なく
ドイツ車とは、そういう車なのだ
だから、それはアウトバーンあっての話であって
日本の道路、ましてや路面の良くない国では
その性能は、あまり意味を成さないのではないか

 

ドイツで走っているのは、圧倒的にドイツ車
ワーゲン、アウディ、BMW、ベンツ
プジョー、ルノーのフランス車も割りと走っている
これは案外、ドイツ車と全く反対の味付けの車なので
ドイツ車嫌いの人が乗っているのかも?
他には
イタリアのアルファロメオ
スウェーデンのボルボ(サーブは、ほとんどいない)などもポツポツと

 

日本車は、ほとんど走っていない
100台に1台程度だろう
それでも日本車の中では、マツダが一番人気だそうだ
アメリカ車は皆無に近い

 

日本の高速道路で
ドイツ車によって200kmオーバーを出したときには
轍によって、微妙に右左に車が振られて、コントロールに非常に気を使った
100km制限が最高であって、なおかつ、あの路面の高速道路では
ドイツ車の持っている高いスタティビリティーは
かえって無用に思える
逆に、日本車でアウトバーンを走るのは、いささかつらい
日本車は、200km以上で走ることを考えて作られてはいない

 

道路事情が、その国の生産車の性格を決めている要素の
大きな一つであること
そんなことを思った

 

フランス車は、石畳の道路が多いので
シトロエンに代表される、小さなショックを拾いにくい味付けの足回り

 

アメリカの道路は、非常に大雑把な仕上がりで、凸凹が多い
だから、あくまでも柔らかい足回り
なおかつ、広大な国土を突っ走るための大排気量エンジン
日本メーカーの車でも
アメリカで生産されている車、カムリ、プロナード、ハリアーなどは
どちらかというと、アメリカ車に近い

 

イタリアは、その国民性からか、「目立ったが勝ち!」のデザイン

 

どの国の車が
車としての性能が
高い・低い
という問題ではなく
その国の道路と、ライフスタイルが車の性格を決めているように思えた

 

なぜ日本の高速道路は、路面が悪いのか、轍が多いのか
理由は簡単
大型トラックが、追い越し車線を走ることが、当たり前になっているから
どの高速道路も、追い越し車線を含めて路面が悪い

 

アウトバーンを走って、気がついたのだ
アウトバーンは、3車線が多い
そして車線ごとに、走る車が決まっている(法律で決まっているのか?)

 

まず一番外側の車線は、トラック
大型トラックは、必ずと言っていいほど一番外側の車線を走っている
100km~120kmぐらいか

 

真ん中の車線は、
そこそこのスピードで走る乗用車
それでも120km~150kmぐらいは出している

 

そして一番内側の車線を
力のある車が200kmオーバーで走り抜ける
それでも、抜かすべき車がなくなれば、スッと真ん中の車線に移動する

 

真ん中の車線が乗用車の走行車線であり
一番内側の車線はあくまでも追い越し車線である
内側の車線をダラダラと走っている車は、全くいない!
だから、200kmオーバーで抜いていっても、ほとんど危険を感じない

 

どの車も、それぞれの車線の意味を良く分かって走っている
そういう意味では、実にマナーがいい、最高だ

 

そしてトラックは、滅多に一番外側の車線から内側に入ってこない

 

だから、実際に200kmオーバーを出すのは一番内側の車線だけ
トラックが全く入ってこないので
道路のコンディションが保たれているのだろう

 

ドイツのドライバーは交通ルールを実に良く守っている
一般路での制限速度は
郊外で、民家のないところで
“時速100km”

 

 

民家のあるところは
“時速60km”
100kmと60kmの境目は黄色い標識があり
急ブレーキを掛けるぐらいの感じで
60kmまできっちりスピードを落とす

 

 

守ろうという気になるルールだから、守れる。と言うことか

 

日本では、高速道路は大型長距離トラックの“天下”
軸重が一桁も二桁も重い大型トラックが、追い越し車線をバンバン走っている
これでは、いくら道路の精度を上げても
ひとたまりもない

 

突然ですが、結論として
日本では、200kmを出すことが絶対にない、
あるいは路面がそれを許さない(もちろん警察も)
だから日本ではドイツ車は、無用の長物であり
(路面だけで言えば、北海道ではいいかも?)

 

凸凹道ばかりの日本では
むしろ、“アメリカ車の方が合っている” (日本車以外の輸入車ならば)
と、思えてしまったのでした
長々と書いた末の
よく分からん今日の結論でした

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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