谷 好通コラム

2002年01月03日(木曜日)

324話 やめた方が楽か

名古屋空港15時45分発の、ANA福岡便に乗る
大変だった
空港は一面の雪
除雪しながら離発着で遅れ気味なのと、
飛行機繰りをつけながらの間引き運行をしている
だから、この福岡行きの便も、“チェックイン一時中止”のままで
案内板も「未定」のまま
飛ぶか飛ばないか、決めかねている状態であった
そのうちに、1本前の14時25分発の福岡便が欠航となったと案内があった
払い戻し窓口は大混雑
その後、14時半過ぎ、午前11時45分発の便がやっと搭乗開始と言う
約3時間遅れ

 

「これはダメかも知れんな?」と思った
しかも、チェックインが済まないと、荷物を預けられない
パソコンなどが入ったけっこう重いカバンと
ヘルメット、レーシングスーツ、靴などが入った重いバックを
2つとも肩にかけたまま
案内板の前で、じっと立って待つ
しかしその場所は、ビッシリの人の熱気で暑かったので
屋上の展望台の方に行く事にした

 

展望台に出てビックリ
空港は、まさに真っ白であった
滑走路と誘導路だけが、除雪されてかろうじて黒い
除雪車も一生懸命走っている
飛行機もいっぱい留まっていた
除雪を待ちながらの順番待ちで、なかなか飛べないのであろう

 

 

上の写真は
たまたま見つけた
カナダ製、ボンバルディア(正確ではない)のC-RJ
ビジネスジェットにも良く使われている小型のジェット機
J・Airという日本航空系の、ローカル路線で使われ始めた最新鋭機
私が大好きな、ジェットストリームという操縦席丸見えの機体と
入れ替わっていく
名古屋―新潟、高知などの路線に就航している
いつかきっと乗りたい、ちょっと得した気分

 

話がそれてしまった、元に戻す

 

それでも、2時間ほど待って、何とか「搭乗手続き」が始まった
この便は飛ぶことになったようだ
早速チェックイン
席は毎度の一番前の窓側
満席だが、私はこの席に座れる、VIPのようだ
(ホントは身障手帳を持っているだけ、これは実に便利だ)
そのあと、や重い方のバックを1つ預けて身が楽になった

 

そしていま、搭乗待合室に入って、これを書き始めた
多分、時間はたっぷりある

 

実は、さっき
まだチェックインの見通しがつかなかった時
「いっそのこと、欠航になった方が、楽だな」
「飛行機が欠航したと言えば、誰でもしょうがない、と言ってくれるに違いない」
「約束をすっぽかした事にはならない、その方が楽でいいなぁ」
と思った
真剣に、その方が楽でいいな、と思った

 

私は、ちょっとやそっとのことでは諦めない方だ
何につけ、“やらない方が楽だ”、と思うことを、ものすごく嫌っていた
やらない理由がちゃんと有りさえすれば、「やらない」ことを選ぶ
そんなことを、私は嫌っている
しかし、私はあの時、はっきりと思った
「行かない方が楽でいいなぁ、飛行機、欠航しないかなぁ」

 

加えて
朝起きたら、尾てい骨が痛くなっていたのだ
寝ただけで、特別に何かをした覚えはないのだが
何故か尾てい骨が痛くなっていて
座るのがしんどい、咳をしても響く
(いったい私は、夜、寝ているときに何をしていたのだろう)
とにかく痛い
レースカーのバケットシートは、まるっきりクッションがないのだ
こんな状態でレースカーに乗っても、尻が痛いのが気になって
練習にならないかもしれない
大丈夫だろうか
やっぱり今回は、中止した方がいいのではないか

 

などと、いろいろ言い訳を考える

 

仕事の事もそうだ
今日、明日とサーキットで練習しても
あと少し残っている仕事は、ホテルで片付けるつもりだったし
出来ると思った、だから、出てきた
でも
戻って、会社でやればうんと楽だし
などとグチャグチャ考える

 

・・・・・・
今、絶望的なアナウスが入った
私が乗る、15時45分発のANA229便・福岡行きは
19時以降の出発になるそうだ
3時間数十分の遅れか
今、17時つまり午後5時
あと、2時間待ち
いや、午後7時“以降”と言っていたので、もっと遅れるかもしれない
・・・・・・
少しめげてきた

 

雪が降っていたので、途中どうなるか分からなかったので
随分早く出たのだ
12時半に出て、電車と地下鉄とタクシーを乗り継いできた
そこから考えると、もう4時間半、そしてあと2時間
全部で6時間半か?

 

尾てい骨が痛い・・・
これを書いているうちに、パソコンのバッテリーまで、少なくなってきた

 

かなり、めげてきた

 

が、そこで、ひらめいたのだ!
一度、登場待合室の外に出ることにした

 

名古屋空港は、2階にラウンジ「翼」という広い部屋がある
他の空港なら
国際便のビジネスクラス、国内便ならスーパーシートに乗る人の為に用意された
VIPの部屋である
中は、立派なソファーが並んで
しかも、タバコが吸える!

 

名古屋空港は、この広い立派な部屋を「210円」で有料開放している
実は、名古屋空港には、スーパーシートがついている飛行機が来ないのだ
名古屋は中途半端な位置にあるのか、大型機が来ない
ほとんど中型機ばかり
昔は中型機にもスーパーシートがついていたが、それも今は無い
だから、この部屋が浮いてしまったので、有料で開放するようになったのだ
たった「210円」で

 

この部屋は快適だし
入り口の横、一番端っこの席には「コンセント」があるのだ
このコンセント
「使ってイイですか」と、きれいなお姉さんに聞けば
「使えない事になっています」と、おっしゃるが
ごく自然に、勝手に使うと、ニコッと笑って知らん顔をしてくれる

 

そんな事を思い出したのだ

 

早速、210円払って、切符を買って
ラウンジを訪れた
当然のように入り口の横の席に座った
そして、コンセントを、自然に差して、また書き始めたのだ

 

何でも、考えれば、何とかなるものだ
そんな事をしながら
チョコチョコっと仕事もしながら
後1時間ぐらいで、飛行機が飛んでくれるかもしれない時間になってきた

 

※210円のラウンジ、いいでしょ

 

 

と、ここから、飛行機の中
結局、飛行機に搭乗できたのは、7時30分過ぎ
福岡への到着予定は9時
名古屋にとっては記録的な雪が降った、自然現象のせい
ここまでは、仕方ないなぁで、済むのだが

 

私が乗ったのがANA229便
遅れに遅れて約4時間遅れ

 

搭乗の時に、チョッともめた
その後の福岡便、ANA231便と、もう一つ後の福岡便ANA233便が、
私たちの229便より先に出てしまうようなのだ
229便は、その前の227便が欠航したので、満席状態
最初に3歳未満の子供を連れた乗客を乗せて
次に後方の席
そして前方の席と、満席時のセオリー通りに乗せていく
けっこう時間がかかる
その後の231便と233便は、それほどでもないのか
とっとと乗客を乗せてしまい
結局、搭乗口までの通路を譲る形になって
229便の客は、231便の乗客が目の前を通っていくのを、待つ状態

 

229便の客が怒り出した
怒るのも、もっともである
一番長く待った客が、後の便の客が通るのを待つとは
私も「勘弁してよ」と思った

 

でも、そうなってしまったのは
すべて機体繰りとか、色々な要素が重なり合ってそうなってしまったものだと思う
わざわざ、そうしている訳ではないだろう
中年の紳士が血相を変えて怒鳴っている姿は、見たくないものであった
その息子であろう若い子までもが
何の反論もせずに深々と頭を下げている係員に対して
口汚く、怒鳴っているのは
見苦しいものであった

 

飛行機に乗ってしばらく
機長から
今まで聞いたことも無いような、丁重なお詫びのアナウンスがあった
聞いている方が、恐縮してしまう

 

無事に福岡空港に着く事だけを祈る

 

大変な一日であった
空港での待ち時間が、あまりにも長く
かつ、コンセントが有ってしまったので
記録的な長文になってしまった

 

もちろん反省はしている
ゴメンナサイ

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2002年01月03日(木曜日)

323話 雪が降った朝に

午前3時ごろ目が覚めた
換気扇の風防がボゥーボゥーと鳴いている
風が強い
水滴ですっかり視界がなくなっている窓を開けて、外をのぞいて見た
雪が降っていて、道路が真っ白になっている
朝6時ごろ、また外を見たら
かなり積もっている

 

まだ暗い景色は真っ白
日が出てきたら、真っ白が輝くように見える
今日が1月3日でよかった
これが年末だったら大変なことだったなぁ、と思いつつ
しばらく眺めながら、色々なことを思った

 

名古屋はすっかり雪が降らなくなった
子供の頃の冬、必ず何度かは雪が降って、雪だるまを作ったような気がする
たまに降った雪、それもかなり積もった
こんな日には子供がみんな外に出てきて
手作りの不恰好なソリを引っ張り出し、キャアキャア騒ぎながら遊んだ
もちろん雪玉をぶつけながら

 

今日で正月3日目
とは言っても、きのう一日中仕事をしてしまったが
しかし、今日も正月だと思うと、随分休んでしまった気がする、とか何とか言って
あまりジッとしていられない性分
実は今日の昼から福岡まで行って
MINEサーキットでの初走りをしようという魂胆である
「飛行機飛ぶだろうか?」
テレビを見ると、昼からの便は大丈夫そう
ただでさえ不景気な航空業界
少々の雪なんかで簡単に欠航にしてたまるか、そんな声が聞こえてきそうだ

 

ここ一週間ぐらいの原稿漬けの頭を、オールクリアにして
今まで書いた原稿を見直してみよう

 

年末から正月中に考えた事を軸にして、その年が動く
もちろん次の年の事は、かなり前から組み立ては出来ているのだが
スケジュールに追われないこの1週間に
全体を見直しながらもう一度、組み立てなおす

 

雪の朝
真っ白になった街に
子供が遊び始めた

 

仕事はもう始まったが
私の遊び始めは明日から

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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