谷 好通コラム

2002年02月07日(木曜日)

352話 まともな考え方

長崎の「ボスコ」さん
熊本の「T」社さん、「アイビーの馬場」さん
広島の「神垣」さん
この4社、いずれもガソリンスタンドであり、大繁盛店である

 

地域の人から圧倒的に支持されているから
繁盛している
当たり前のこと

 

もう一つの共通点
いずれもガソリンの値段が高い事
それも1円、2円ではない
10円とか、特に「馬場さん」の店ではナント20円以上も高いのだ

 

ガソリンという商品は、何処で買っても品質には変わりがなく
商品そのものとしては差別化のできない商品であるのに
それを、周辺の競合店よりも高く売る事は、一見、理にかなわないことだ
同じ商品ならば安い方が、消費者の利益となり
消費者から支持されるのが当然だ

 

確かにその通り

 

特にこの不景気の世の中
とにかく安い事を、みんなが望んでいる・・・・
と、思いがちだが
それが
そうとばかりも言えないのだ

 

「人それぞれ」
と言おうか
「人はそれぞれに好みがあり、好みが違う」と言う事

 

確かにガソリンそのものには、商品としての差別化はない(例外もあるが)
が、しかし
ガソリンを入れるのは、車が走るために必要だからであり
車が快適に走るためには
ガソリンを入れれば、それだけで良いのかと言うと、そうも行かず
タイヤの空気がきちんと入っており、山もキチンとあり
エンジンのオイルも、いい状態でなければならず
クーラーも利く状態でなければ、決して快適ではない
だから
そういうことを、チャンと面倒を見ていくことも必要なのだ
つまり「メンテナンス」も必要なのだ

 

それを、自分でやる人もいれば
ディーラーとか、ドライブショップに行って、やる人もいれば
ガソリンスタンドで、給油のついでにやった方が便利だと思っている人もいる

 

ガソリンがとにかく安いスタンドが、いいスタンドであるとする人もいれば
チャンと「車の面倒を見てくれる」スタンドが、いいスタンドだと思う人もいる
人それぞれである

 


そして燃料を入れること、そのものにも
「人それぞれ好みがある」

 

とにかくサッサと入れて欲しい、余計なことはイラナイ、そして安い方がいい
そういう人もいる
こんな人に、もっとも便利なガソリンスタンドが出来た
セルフサービスのスタンドだ
自分で入れた方が一番いい、早い、安い

 

こう思うようになったのは
ある種のガソリンスタンドの、劣悪な接客にも原因があると言える
たとえば、拭く前よりよけいに汚くなる「雑な窓拭き」
「私語ばかり」のばかな店員
とても技術なんかありそうに見えない「だらしない汚い格好」

 

こんな不愉快なだけのサービスのために
人件費として余分に金を払わされる事に、理不尽を感じていた人もいた
そんな人の中で
自分で給油に抵抗のない人は
嬉々としてセルフを歓迎した

 

しかし、「気持ちよく」「笑顔で迎えてくれる店」で給油が出来て
自分でメンテナンスの心配をしなくても
「いつも自分の車を心配してくれるスタッフがいて」
「いつも安心して」「キレイな車で」
車の面倒を見てくれる店
そんな店を、好む人がいても全く不思議ではない
そして
10%~20%高い
良い人材を置いているのだから、当たり前である
10%~20%
それぐらいの出費なら
車生活の一部、給油を、気分よく、
メンテナンスを安心できた方がよっぽど良い
そう考える人も、当然いる

 

ホテルでも、レストランでも、なんでも
良い所は、けっこう高い
倍まですると考えてしまうが、10%~20%高いだけなら、リッチなほうが良い
そう考える人の方が、少数派かと言うと
決してそうではないと思うのだ

 

安い事を、何ものよりも優先させる人の方が、むしろ少数派であろう
そう考える方が自然ではないだろうか

 

不景気な世の中
“みんなと同じくらいの安さ”、中途半端な安さは全く意味を持たない
安いなら、圧倒的に安くなければ「売れない」

 

もう一つの方法が
“良いもの”“良質なサービス”
不景気で、一般的に所得が減少しても
誰も、自分が“貧しくなったとは思っていない”
だから余計なものは買わず
安いものか、良いものだけを買おうとしているのでないか

 

安く売ろうと思うなら、徹底的なコスト削減しかない
コストで一番高いのが人件費
人はイナイほど、良いのだ

 

良いもの、良質のサービスは
良質な人材からしか生まれてこない

 

徹底的に安いものを売るなら
人は出来るだけいない方が良い
これは簡単だ、人を首にすればよい
しかし、簡単だから、みんながやることになる
みんながやると、相対的に自分のところだけが安い訳ではなくなり
だから、採算割れしてでも、もっと安くする
しかし、みんな安い事が取り柄なので、みんな安くして来る
そうすると、また誰も安くは無くなってしまう
誰も儲からない
儲からないどころか、潰れる
ある程度資金力があるところは、人が潰れるのを待っているのかも知れないが
競争相手が少なくなって、ある程度の価格が取れるようになると
「ニューカマー」が・・・
なかなか“灯り”が見えてこない

 


良いものを売るなら
良い人材を持つべきである
良い人材は、育てるしかない
簡単ではない
ものすごく難しいし、時間も大変かかる
だから、誰もが簡単に出来るわけではない
それに成功した会社・店が、どこでも一人勝ちしている

 

最初に出てきた4社
もう一つの共通項は、人が育っている事だ
その強さは、計り知れないものがある

 

まともに考えれば、どっちがいいか、自明に思えるのだが
T社を見学に来た「神垣さんOさん」と、T社のM専務とマネージャー

 

 

馬場さんの店においてあった、どっかで見たことのある洗車メニュー
よーく見ると、作業別の写真で車を洗っているのは、「馬場さん」なのである
パクリも、ここまで手が込むと「お見事!」で、大笑いしてしまった

 

 

「なぬ!快洗市場? なーにあれ?」と馬場さんに聞くと
馬場さんは、あくまでもアハ、アハッ、あハッと笑うばかりであった(*^_^*)

 

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