谷 好通コラム

2002年04月10日(水曜日)

392話 いつも黄砂の町

黄砂が、空を黄色に染めている
今日の空は、青空でもなければ、グレーの曇り空でもなかった
晴れているでもなく、暗~いねずみ色でもない
どんよりと黄土色をしていた

 

黄砂がやって来ているのだ
遠い風景がなんとなく黄色っぽい

 

こんな風景を2年ほど前に見たことがある
中国の西方
「西安」の町
シルクロードの出発の町
昔は「長安」と呼ばれた古都だ
西安とは、シーアンと発音する
西安で生まれ育って、今は日本の名古屋で働いている人に
連れて行ってもらった
李さんというこの物知りで博学な女性を含めて、4人連れの旅であった

 

西安は古都、シルクロードのはじめと言うと、ロマンチックで優雅な町に思えるが
そこは中国
やっぱり人間だらけ
何と、人口一千二百万人の大都市であるという
東京に負けず劣らずの、大過密都市

 

名古屋から上海に飛んで、飛行機を乗り換えて西安へ

 

李さんが言っていた
「私、名古屋に来て一番ビックリしたのは、空が青かったことです。
そして、日本国中どこへ行っても空が青かったことです。
西安は、いつも黄色いホコリが舞っていて、空がいつも黄色かった」

 

そんな話を聞いていた私は、飛行機が西安に到着する頃
一生懸命、窓から飛行機の行く手の方を見ていた
そうしたら、やっぱりあった
巨大な、黄色い、大気の土手、が
行く手、飛行機の巡航高度9000mぐらいの高さまであって
はっきりと分かる黄色い空気の土手があった

 

飛行機はその中に突入して着陸するのだ
「ジェットエンジンの消耗が早いのだろうなぁ~」などと思いながら
西安空港に到着
空港は、見渡す限りの畑の真ん中にあった
そこから、李さんの親戚の人が迎えに来てくれたマイクロバスに乗って
約1時間
道路に、突然車が増えてきて
あっという間に、車、車、人、人、車車、人人人人、車車車人車車って感じ
走っている車の
6割が「赤いアルト」、そして、1.5割が「黄色いアルト」
(アルトとは、当然スズキ・アルト。一番最初の四角いアルト)
2.5割が、絶対日本ではお目にかかれないシッカリぽんこつなトラックとバス
残りの1割が
きっと上流な人が乗っているのであろう、日本で普通に見る車

 

西安はたくましい町であった
どこへ行っても人人人人、車車車人車車
屋台で売っている食べ物は、全部、最高にうまそうであったし
みんな幸せそうであった
そして
どこもかしこも、黄色い砂埃がうっすらと被っていた

 

西安は城壁の町
高さ数十メートルもある石の城壁で、中心部は囲まれている
その城壁の切れ目、つまり門の所からしか車も行き来できないので
その周辺はいつも大混雑
赤と黄色のアルトが2/3の車の大集団が、狭い門をめがけてひしめき合う
鳴らしたってどうしようもないクラクションが、四周から鳴り響く
最初はうるさいと思ったが
慣れてくると、ドオってことない

 

活気があって
みんな幸せそうであって
私たちは、その町にいるだけで元気になれそうであった

 

李さんのお姉さんがすばらしく美人で、ビックリした
そのお姉さんの友達の家庭に招待されたのだ
敬虔なイスラム教の信者の家庭

 

西安は、中国でも西の方にあって
西方、つまりヨーロッパとの貿易の基点であった
だから人の交流も盛んで
この人たちは高い鼻を持ち、明らかに中近東の人であった
そして、外から見るとあばら家のようだが、すばらしく清潔で立派な住み家であった
その家のお母さんから
信じられないほど甘くみずみずしい西瓜をご馳走になり
驢馬のハムを食べ、羊のハムを食べ
よく分からないが、とにかく、おいしいものを腹いっぱいご馳走になって

 

 

後から帰ってきたお父さんと
子供と
よく分からない言葉でしゃべって、笑って
近所の人まで集まって写真を撮って
みんなでいっぱい写真を撮って

 

 

みんなで近くのイスラム教の寺院に行って
よく分からない露天のガラクタを見て、買って

 

 

笑って、笑って
みんな、言葉は通じないのに、しゃべって、笑って

 

夢のような数時間であった

 

始皇帝の兵馬俑も見に行った
何とかという観光地も連れて行ってもらった

 

でも、イスラム街のあの家庭での数時間が、何にもましてすばらしかった

 

西安の空のように、黄色くドヨ~ンとした黄砂の空を見て
また、西安に行きたいなぁ~
と思い、ジ~ンとしてしまったのでした

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    谷 好通

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