谷 好通コラム

2002年06月19日(水曜日)

448話 日本国中あ~あ

ワールドカップで日本が負けた
決勝リーグに進出できただけでも、大したものだったが
ここまで来たからには、一戦でもたくさん勝って欲しかった

 

日本国中から
あ~~~あっ、と
ため息が聞こえてきそうだ

 

今朝のテレビでやっていたが
先日の日本―チュニジア戦では、仕事中にちょっとサボって見た人もいっぱいいて
サッカーの試合をテレビ観戦した人が全体の87%
ほとんどの日本人が見たと同じだ

 

きのうの決勝トーナメントの一戦は、いったいどんな数字が出てくるのだろう
私は見たのか?
もちろん見た
営業のみんなも、どっかで見たようだ
試合中は誰も事務所にいなかった
試合が終わった頃、どこからともなく現れて、みんな無言であった
そして、なぜか
音もなく「ふぁ~~」と、ため息ともつかないため息をついていた

 

ところで
私は、自分の中に「ナショナリズム」があることを
今回のワールドカップサッカーで
見つけて、少し驚いた

 

私は、スポーツについて、ヒイキを持つことはなかったし
日本バンザイでもなかった
オリンピックの時でも
ひたすら日本選手だけを応援するわけではない
どっちかというと
可愛い子がいれば、それがどこの国であろうと
密かに応援してしまう方だ
(スポーツ選手には、ホントに可愛い子が多い)

 

それが、このワールドカップでは
完璧な日本至上主義なってしまっている自分に気が付いたのだ
(これで、女性チームの試合もあれば、分かったものではないが)
日っ本チャッチャッチャッである
日本以外は敵である!

 

日本は自分が所属している国だから応援する・・
ならば
これが、たとえば国体ならば
自分が住んでいる「県」を応援するだろう
高校野球などでも、やはり県が単位になってくる
自分が所属している県

 

所属の単位はいくらでも細かくなる

 

自分の住んでいる「市」、「町」、「町内」
自分が所属していた「学校」
自分が勤めている「会社」
会社の中でも、自分が所属している部署
「工場」、「支店」、「部」
同じ部の中でも、自分が所属している「課」
どの単位でも親近感を持ち、何か試合でもあれば応援する

 

反対に、単位を大きくすることも出来る
映画「サルの惑星」では、私たちは「人類」を応援した
宇宙戦争では、当然「地球」を応援する

 

属している単位で言えば
一番強固なのが「家族」「肉親」であろう
そして最後は「自分」自身、これが最小単位

 

単純で当たり前のようだが
これには大きな自己矛盾がある

 

それは
国単位で闘うときには、その国民はお互いが全部味方だが
地方単位で闘うときには、地方単位で敵になる

 

地方単位で闘うときには、その地方の人たちは、お互いが全部味方だが
学校単位で闘うときには、学校単位でお互い敵になる

 

学校単位で闘うときには、その学校の人たちは、お互いが全部味方だが
クラス単位で闘うときには、クラス単位でお互い敵になる

 

所属は、多重構造になっているので
自分の所属が、敵か味方かの要因であるならば
私たちの身の回りの人たちから、全世界の人まで
味方であると同時に
敵でもあるわけだ

 

これは自己矛盾である
この自己矛盾を押しつぶす形で

 

一番盛り上がるのが「国」あるいは「民族」であろう
ナショナリズムと言う
歴史において、権力者に利用されてしまった場合が多い

 

国・民族という単位で、民衆を強固にまとめるには
国として、我々は「被害者」であり
「加害者」という共通した敵を作ること
これが一番

 

約70年前
第一次大戦で負けたドイツの民衆は、貧窮の中にあった
ナチスのヒットラーは
「ユダヤ民族が世界の富を独り占めしている。
我々が貧しいのも、ユダヤ民族のせいだ。
我が誇り高きゲルマン民族のために、ユダヤ民族を殲滅せよ。」
と、民衆を扇動した
ドイツが被害者であり、ユダヤが加害者
そんな構図を作り、何千万人という人々を殺した

 

「我々は被害者である」とは扇動の常套手段だ

 

ワールドカップの共催国、韓国にとって
日本は加害者であり、韓国は被侵略の歴史を持った被害者である
これは、日本人の意識より、韓国人の意識の方が100倍強い

 

被害者意識は、加害者意識より
はるかに強く、人の感情の中に入り込みやすく
根深いものになる

 

ナショナリズムは
扇動者によって、ある目的を持って、利用されると
悲劇を作る

 

話がとんでもない方に、来てしまった

 

何はともあれ
ワールドカップも
単純にスポーツのヒイキを応援するつもりで
日本を応援した方がいいなぁ
ワールドカップの日本戦は、私を、一時的に国粋オジサンにした

 

もっと気軽に見よう
と言っても
もう、日本チームはいないか

 

のどかな昼休みのひと時でした

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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