谷 好通コラム

2003年07月11日(金曜日)

750話 120%西表島

西表島(いりおもてじま)は、石垣島の西方に位置している
石垣島は平野部分が多いが、西表島は島自体が山のようになっていて険しく
島の一周約120km余りのうち
海岸線の5分の3ほどしか道が通っていない

 

面積は石垣島よりむしろ大きいぐらいだが
20分の1程度の人口で
自然がほとんどそのまま残っている島だ

 

昨日の10日
1日だけオフの時間を作って
田さん、平井君、私の3人で、その西表島に遊びに行った

 

朝8時、始発の高速艇に乗る

 

私たちが乗ったのは「安栄38号」、とにかくメチャクチャ早い
この高速艇、一体、時速何キロ出ているのだろうか
他の艇を何台か抜いた!
自分が乗っている艇は撮れなかったが、抜かれる艇を撮った
船尾から、けたたましい水柱を立てて突っ走る高速艇
同じような姿で私たちの艇は、写真の艇を抜いていったのであろう

 

 

私は、石垣島から西表島まで高速艇で約1時間掛かると思っていたが
実際には35分で着いてしまった
私の記憶違いか、艇が前より速くなったのか
多分私の記憶違いの方であろう

 

大原港に到着
早速レンタカーを借りる

 

ちょっと前まで西表島には「やまねこレンタカー」という
1軒のレンタカーしかなく、独占状態であった

 

3年ほど前
西表に来た時、その「やまねこレンタカー」で車を借りたが
その時
「お客さん、この車、“助手席のドアは外からしか開きません”から、注意して下さい」
と言われ
「はいっ」と言ったものの
「ホ~~~ッ、秘境やな~ここは」と、感心したものであった

 

ところが、今は3社か4社ほど入っているようだ
私たちは、今回の石垣島でのお客様“石垣エスエスグループ”が経営する
「ORIXレンタカー」で車を借りる
ちゃんとドアは全部外からも開いたし、リモコンキーまで着いていた
隔世の感がある
きっと「やまねこレンタカー」でも
今では「助手席側のドアは、外からしか・・・・」なんて、やっていないだろう
やはり、サービスの向上には、競争の原理が一番であるようだ

 

レンタカーに乗って
西表島南端の大原港から出発

 

まず、西表野生保護センターに行く
が、朝が早過ぎてまだ開館していなかったので、パス
そのまま、有名な「由布島」に行く
ここは、海岸の砂浜から牛車に乗って
海の浅瀬を渡り由布島に渡る南の島の優雅な情景として
余りにも有名である

 

私も一度だけ乗ったことがあるが
水牛(ほとんどメス)が叩かれながら牛車を引く姿は、見ていて可哀想な気がするし
由布島には、お土産やさんだけであったような気がしたので
今回も牛車に乗って渡ることはしなかった

 

しかし、ちょっと見るだけということで
牛車の乗り場所に行ったら
びっくりするものを見てしまった

 

“泥の池”に頭だけ出している水牛たち
その数七頭
泥池に七つの頭がジトーッと浮いているのだ
予期せぬ光景にびっくりしてしまった

 

水牛は、汗をかくことが出来ないので
働くとき以外、昼間はこうやって泥の池に沈んで体温を下げているのだそうだ
だから“水牛”なのだろう

 

早々に由布島を通り過ぎて、途中少しだけジャングルの中に
入って見たりしながら

 

今度は
島北部の「星砂の浜」へ
ここの砂浜は、ほとんど「星砂」と呼ばれる砂で出来ている
正確には、出来て“いた”が、正しいか

 

何年か前まで、この砂浜に来た時は
ザックザックと星砂が取れた
見渡す限り、星砂であったのだ
まさに“星砂の浜”

 

“星砂”とは、有孔虫が死んだ“殻”
0.5ミリほどの丸く白い殻に、短いトゲがいっぱい出ていて
その姿が、星のようだということで“星砂”
そして、星砂だけで出来た砂浜が、「星砂の浜」であるわけだ

 

しかし、星砂のトゲの部分は細くもろいので
上に砂が被ってきたりすると、下の砂はとげがなくなってしまう
だから、星砂は砂浜の表面だけにあるようだ
また、強くこすったり踏んだりすると
トゲなしのタダの丸い砂になってしまう

 

このところの八重諸島の人気振りから
大量の人が入っている事を聞いていたので
もう星の砂のトゲは無いかなぁ、星砂は見られないかなぁ、と思っていたら
やはり、たくさんの人が入ったのであろう
表面の星砂をみんなが取っていってしまったのか
とげが取れたタダの丸い砂ばかりで
星砂を見つけることは難しくなっていた

 

残念であったが
有孔虫が生息している限り、また星砂は復活する
星砂は、有孔虫の死骸であって
それが無くなっても、自然が破壊されたわけではない
私の浅い知識ではそう認識している

 

私たちが訪れた時間
星砂の浜は“干潮”であった
海底に近いところまで潮が引いていて
潮溜まりがいっぱい出来ている

 

その潮溜まりには
何種類もの無数の魚が泳いでいて
特に“ルリスズメ”のコバルトブルーが美しく
かなり大きな魚や、ヤドカリや、ちいさな蟹などを見つけては
「ホォ~~~~っすっげえ」

 

特に田さんは、半ズボンの強みで海の中にジャブジャブ入っていって
「すっげえ、すっげえ」と、はしゃいでいる
いつまで見ていても飽きなかった

 

 

もっと見ていたい気持ちをふっきって
次に行く

 

西表島にきたら必ず寄る所「ギャラリー・イケイさん」
ここには、魚のレプリカがいっぱい展示してあって販売もしている

 

イケイさんには、池井おばちゃんがいて
島のフルーツを使った生ジュースなどで喫茶店にもなっているのだ
ご主人が漁師さん、自分で獲ってきた魚でここのレプリカを作る
取立ての新鮮な魚から型を取って
その型でFRPのレプリカを作るのだそうだ
そのレプリカは1つの芸術品であって
百貨店で展示会などをやったこともあると言う

 

私はここのレプリカを、会社に飾っている
イケイさんを出て、途中で昼ごはんを食べて

 

いよいよ
この日のメインイベント「カヌーでの自然探索」
今回は
「さわやか荘」という民宿がやっている「大自然クラブ」という
たいそうな名前のカヌーツアーに参加した

 

このツアーは
ピナイサーラの滝までのコースで
カヌーで進む距離は2kmあまりと比較的短いコースである

 

西表島でのカヌーツアーは、絶対のお勧めです
私は日本国中いろいろ行きましたが
西表島でのカヌーツアーが、一番濃く自然を満喫できます

 

汽水域(海水と真水が混じる河口域)に形成されている素晴らしい“マングローブ”の中を
カヌーを自分で漕いで進んでいく
カヌーを漕ぐのは、まったく難しくないし大変でもない
「自分のペースでゆっくりと水面を楽しむ」という感じ
ほとんど水面の目の高さで
自然そのままのマングローブを楽しむ

 

 

一つのチームに、必ずガイドの人が付いてくれて
色々なポイントでカヌーを留め
自然を解説してくれる
今回のガイドさんは「大山さん」
おだやかな感じのいい人であった

 

「マングローブというのは、汽水域の形成される一つの自然の形態の名前であって
生えている植物は、“ひるぎ”の類がほとんどです。
今、目の前に生えているのは“おひるぎ”で、呼吸根がいっぱい出ています。
呼吸根と言うのは・・・・・・、」

 

 

「これは、板根といって、泥の地面にしっかりと自分を支えるために・・・・・」

 

 

その説明を聞いているだけで
ものすごく自然を好きになれるような気がする

 

私は、このカヌーツアーが大好きで
今までも、西表島に来たときには必ず参加した

 

このツアーでは
カヌーの船着場から歩いて約30分
「ピナイサーラの滝」の見物に行く

 

滝まではかなりの坂が続いているというので
私は一人で
カヌーの船着場で待つことにした
残念ながら私は、足の都合でそういう山登りをすることが出来ない

 

一人で約1時間も待つことになった訳だが
それは前もって分かっていたので
その為の時間つぶしの本を持ってきていた

 

しかし、この本は結局役に立たなかった
読まなかったのだ

 

一人取り残された船着場
船着場といっても、人口の工作物は何も無い、岸が少しへこんだだけのところで
前も、後ろも、横も、上も、ジャングルそのもの

 

私は一人ジャングルの中

 

独りになって静かにしていると
色々な鳥がやってきて、急にバサバサとやったり
ギャーギャーと鳴いたり

 

水辺では、何度も何かが飛び跳ねた
バシャーン!

 

そして、木の上の方から何かがしきりに落ちてくる
ガサガサッ、ボトッ

 

ジャングルは、決して静かではない
そのうちに何か訳の分からない音がしたりして
ちょっと怖くなったり

 

果てには、滝を見物のヘリコプターが飛来して
上空でホバリングをはじめる

 

ジャングルの上空にはヘリコプター
そして私はそのジャングルの中に潜む

 

その時、私はふいにベトコンの気分になった

 

思わず口ずさんだのが“ワーグナー”
私は、フランシスコッポラ監督の「地獄の黙示録」のなかの
ベトコンであったのだ

 

本なんか読んでいる閑なんかありゃしない
ドキドキワクワクの時間であった

 

あっという間に時間が過ぎて
しかし
私一人を残して滝に出かけた3人
田さん、平井君、ガイドの大山さんは
私のことが心配であったのか
1時間かかるコースを、わずか45分で帰ってきてくれた
心配してくれたのはありがたかったが
でも
あと15分だけ、私はベトコンでいたかったのに

 

 

帰りのカヌーは、自然を満喫しながら
ゆっくりゆっくりと川を下っていった

 

 

このカヌーツアー
田さんも「これは楽しい、最高!感動ものだよ!また来たいね~」
と言ってもらったのは、うれしかった

 

大満足のうちに、約4時間のカヌーツアーが終わった

 

ガイドの大山さんが
「さぁ、今度はパイナップルを食べに行きましょう。ご馳走します。
うちのパイナップル畑があるんです。」
て言い出した
「ほぉ、パイナップル?」

 

私たちのレンタカーは、大山さんが乗る軽トラのあとをついて行く
しばらく走って、パイナップル畑に着いた
着いたとたんに大山さん
パイナップル畑に走っていく

 

どうも、畑の中からパイナップルを選んでいるらしい

 

私たちはてっきり
「さわやか荘」に連れて行ってもらって
冷蔵庫でキューッと冷やされたパイナップルをご馳走になるのだとばかり思っていた
が、今ここでパイナップルを選んでいるとなると
冷蔵庫で冷やす時間は無い

 

「おい、おい、このクソ暑い畑の真ん中で、パイナップルの立ち食いさせる気か?」
「まさか~~っ」

 

直射日光がまともに差し、何の日陰も無い暑い畑の端で
畑を走り回りパイナップルを探す大山さんを
私たちは呆然と待った
いつの間にか、田さんまで一緒になって探している

 

そのうち、大山さんが一個のパイナップルを持って帰ってきた
茶色くよく熟れたパイナップルだ
早速、大山さんが軽トラの荷台の脇で、そのパイナップルを切り始める

 

やっぱり立ち食いのようだ
まいったな~

 

「とにかく食べて見てください。最高ですよ!」
ニコニコ笑い、食べ易く切ったパイナップルを差し出す
たじろいでいると
好奇心一番の田さんが手を出した
「うまい! こりゃっうまいよ~!
俺はパイン大ッ嫌いで、ほとんど食ったこと無いけど、これはぜんぜん違う
メチャクチャ甘い!うまいよ~~~」
と、絶賛する

 

ほぉ~と思いながら
おそるおそる手を出して食べて見る私と平井
「うまい!」
間違いなくパイナップルの香りと味なのだが
今まで食べていたのは何だったんだろうかと思うほど、甘くて、ものすごくいい香りだ
こんなうまいパイナップルは初めての経験である

 

冷えているかどうかなんて、ぶっ飛んでしまうほどの美味さ

 

大山さんは、最後の一切れまでパイナップルを切ってくれた

 

 

100%満足のカヌーツアーのあと
信じられないほど美味いパイナップルで
このツアーは、120%の大満足ツアーとなったのでした。

 

1日だけの西表島
強烈な日差しによって
私の腕と顔は、今、まっ赤ッか
2.3日で、今度は真っ黒になる

 

私は、また、恥ずかしいぐらい真っ黒の顔になるのだ

 

 

明日また、少しだけ石垣島のことを書く
書き残したことがあるからだ
一番肝心なことを書き残している

 

また明日

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2003年07月11日(金曜日)

749話 暑い?いいなぁ

私は、2件の直営快洗隊にほとんど毎日電話をする
特に用事があるわけではないが、そうすることに決めている
そして、マネージャーに代わってくれと言うのではなく
たまたま、その電話に出た人間と、話しをする
色々な意味があって、そんな風にしている

 

石垣島に来て3日目が終わって
もう4日目の日付になってしまったが
こちらに来てからも同じように、毎日、快洗隊に電話をしている

 

「天気はどう?」
「今は曇ってますが、さっきまでパラパラと雨が降ってました。」
「そう、こちら石垣島は強烈な日差しで、ものすごく暑いよ」
「へえ~ッ、うらやましいな~」

 

こんな会話が毎度繰り返される

 

快洗隊のスタッフにとっては
雨が一番つらい
みんな、いい実績を出したいと思っている
なのに、雨が降っていると、お客様がなかなか来ないので、つらい

石垣島は連日快晴が続き、猛暑である
これが名古屋であったら、洗車のお客様がいっぱい来る

?「うらやましい」

 

これが、“働かされている者”ならば、どうであろうか
雨の日は楽だ
同じ給料ならば、楽な方が得だ
だから、雨が降っていると、お客様がなかなか来ないので、楽で得だ

石垣島は快晴が名古屋であったら
洗車のお客様がいっぱい来て、いっぱい洗車をしなくてはいけない
しかも、くそ暑いという

?「名古屋が石垣島のようでなくって、よかった」

 

?店が繁盛して、お客様がいっぱい来てくれる事がうれしい
?店が暇で、自分が楽な方がうれしい
その人の姿勢によって、同じことについてまったく逆の反応になってしまう

 

私はどちらであろうか
あなたはどちらであろうか

 

「暑い?うらやましい」という人は
たくさんお客様が来たとき、そのお客様の一人一人を歓迎するだろう
うれしいと思うだろう

 

うれしいと思って、お客様の車を洗うとき、あるいは磨くとき
その車は、本当にきれいになると思う
お客様に喜んでもらえるようなきれいさを作ることが出来るだろう
お客様が喜んでくれるわけだ
だから、そのお客様は、きっとまた、その店に来てくれる

 

また来てくれるお客が多いということ、つまり、リピート客が多い店とは
繁盛している店に他ならず
その人の店は大繁盛する

 

大繁盛すれば、お客様から私たちへの報酬である“利益”が上がり
その利益によって事業は発展し
それを作り出したスタッフと経営者は、より大きな可能性を持つことになって
より大きな幸せを得る可能性も増えてくる

 

お客様も、スタッフも、経営者も
そのすべて、みんなが幸せになる構造でなければ
誰も幸せになることは出来ない

 

お客様、スタッフ、経営者
その誰かだけが自分の幸せだけを考えたら
その自分だけの幸せを考えた人も含めて
誰も幸せになることは出来ない

 

逆に、みんなが、みんなの幸せを考えれば
みんなが幸せになる
実は、簡単な方程式なのかもしれない

 

雨が降り続いている名古屋にいて
猛暑の石垣島を「うらやましい~」と言える我が快洗隊のスタッフのことを
思いながら、そんなことを考えてしまった

 

 

石垣島は暑い
そして、台風もいっぱいやってくる
冬は暖かいが、観光客がぐんと減ってしまう季節でもあるという
日本の最南端であり、もっとも西に位置する“市”
沖縄県石垣市石垣

 

その与えられたすべての条件を、プラスと考えることが出来るか
マイナスであると考えるか

 

「プラスの方向で何が出来るのか
私たちは、出来うる限りのお手伝いしてみたい」
暑い中、キーパーの研修を熱心に聞き入ってくれる
石垣島の人たちを見て、そう思ったのです

 

 

このアロハシャツがユニフォームなのです。
かっこいいですねー。快洗隊バージョンも考えてもいいなぁ

 

 

10日は、1日オフにして「西表島」(いりおもてじま)に行って来ました。
素晴らしく楽しい一日でした。
明日の午前中(日付ではもう今日ですが)
特別に追加の仕事、研修をやることにしたので
西表島のことは、帰りの飛行機の中で書きます。

 

ホントすごかったんですよ
たとえば、こんな風に

 

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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