谷 好通コラム

2003年10月13日(月曜日)

815話 エキサイティング

・・・・・・・・
朝一番の上海行きの飛行機に乗っている
今回は、初めて「日本航空」で上海に行くことになった

 

いつもは、運賃の方が安いので「東方航空」に乗るのだか
(以前の西北航空が東方航空に吸収されたもの)
今回だけは日本航空、JALだ。

 

名古屋⇔上海
東方航空が、約6万円
日本航空が、約8万円
一人2万円の差は大きい

 

しかし今回は、連休がらみの出張であったので
「東方航空」の午前便が満席で、取れなかった
だから仕方なく東方航空をあきらめ、日本航空にしたのだった

 

なぜ中国の航空券に比べて日本航空が割高なのか

 

昔、私の家族の兄弟(義理の姉)が、台湾に家族で赴任した事がある
いいチャンスであると思って
その台湾に行ったその家族をたよって、こちらも家族で台湾を訪問することになった
その時、近くの旅行代理店に航空券などのお世話をお願いしたのだが

 

代理店の担当の人に、こう言われた
担当
「飛行機は、“日本航空”とアメリカの“ノースウェスト”が使えます。
日本航空はお一人様9万円、ノースウェストがお一人様6.5千円です。
どちらでも結構ですので、おっしゃって下さい。」

 


「日本航空とノースウェスト、何がどう違うのですか?」

 

担当
「基本的には同じです。何が違うということはありません。
しかし、やはり、皆さん日本航空のほうを選ばれる方が多いですね。
何かと安心ですので。」

 


「何かと安心って、どういうこと? ノースウェストは危ないって事?」

 

担当
「イエイエ、そんなことはありません。
ただ、日本の航空会社だとパイロットも日本人ですし
整備も日本で日本人がやりますので・・
それに、スチュワーデスも日本人ですから
何か困った事があったときには、やっぱり安心だとは思います。やはり旅ですので。」

 

何だか、よく分かったような、分からないような
しかしその時、私は
日本航空に乗って、安心して台湾に行くか
10万円を節約(9万円-6万5千円=2万5千円×4人=10万円)して
多少家族を危険にさらすか
真剣に悩んだのでした

 

担当者は、決して
ノースウェスト機が、整備不良であるとか操縦が危険であるなどとは
一言も言っていないし
また、機内で困った事があったら、英語でなければ助けてもらえないなどとも
一切言っていない

 

ただ、日本航空機は日本人クルーで運営され、整備もされていると言っただけだ

 

それでも
私の頭の中では
日本航空⇒安全⇒値段が高い
ノースウェスト⇒若干危険⇒運賃が安い
こんな図式がはっきりと出来上がってしまい

 

私としては
愛すべき家族を危険にさらしてまで、10万円を節約することは悪いことであり
情けないことであると、考えてしまったのだ

 

で、結局、当然のように、私は日本航空をチョイスした
あの時のことを、はっきりと憶えている

 

今では、飛行機にいやというほど乗るようになって
いろいろなことを知ってきて
航空会社によって、そんなに差があるものではないことを、もう知っている
どの航空会社の飛行機でも十分に安全であり
何の心配も要らない

 

逆に、世界で一番厳しく整備が行われ
いつも最新の機種を揃えていて
世界一安全と言われてきたシンガポール航空の飛行機が
一年ほど前に事故で墜落、多くの死傷者が出た
そんななものだと思っている

 

だから
安い航空会社と、高い航空会社があれば
躊躇せずに
今は、安い航空会社を選ぶ

 

機内でのサービスに若干の差があるとしても
安い航空会社の機内食は多少まずいぐらいで、どっちみち機内食はウマくないし
スチュワーデスさんの愛嬌が日本の航空会社の方が多少いいぐらい
気にしなければいいだけ

 

とここまで書いて
もう着陸態勢に入ってしまった
名古屋⇒上海は、たった2時間のフライト
おまけに機内食が出るので
パソコンをいじれる時間は、たった1時間ほどしかない
下手な国内便より短いのだ

 

 

と、ここからは
上海のホテルの中
上海に昼前に着いて、空港に迎えに来てくれた快洗Taoるの陶さんに会う

 

一ヶ月ほど前の不良品発生の事があるので
お互いに少しピリピリとしている
空港で軽い食事をしたが
私たちは機内食を食べた後なので、ほとんど食べられない

 

陶さんと一緒に、紡織の沈さんも来ていた
弁の立つの沈さんは、比較的無口な陶さんが心配で同伴してきたらしい
食事をしながら、少し仕事の話が出たが
早々に切り上げて、とりあえず工場に行くことにした

 

工場での話し合い
その内容は複雑であるので割愛するが
一触即発の厳しいものであった
不良品発生によって発生した私たちの経費の計算書に陶さんは絶句した
物価と人件費の高い日本での、事態収拾のための経費発生は
中国の人から見れば、とんでもない法外な金額になるのだろう
しかし、実際にかかった経費そのもの
一銭たりとも上乗せなどしていない

 

陶さんにとって非常にショッキングであることは分かっていたが
私は一歩も引かないことに決めていた
その事がお互いにとって一番いいことであると考えていたから

 

最後まで一歩も引かなかった
陶さんは泣きそうになっている
応援の沈さんも、ここからは自分で考えなさいと、引き上げていった

 

結局、私はそれを陶さんに受け入れさせた
けじめはつけさせる
譲れないことである
着けるべきケジメを着けさせる事が、今後のために絶対にいいことだ

 

工場に行った
工場の中は快洗Taoるがそのほとんどを占領していた

 

 

日曜日というのに、何人かが仕事をしている
快洗Taoるの縫製と、検品の人たちであった

 

 

今後、絶対に不良品を出さないために実施している改善の説明を受けた
改善点は6点

 

1.4枚一組で織り上げていくタオルの境目をきつく織り上げる方法に変更した。
このことが、ホツレの根本的な解決策に繋がる。
2.長い時間を掛ける染色を、4枚一組でいっぺんに行う仕組みにして
染色時の繊維の緩みを防止する。
3.縫製時に、縫い代を出来るだけ奥にして、縫い目が外れてこないようにした。
4.検品の基準を数倍厳しくした。と同時に検品人数を増やした。
5.一枚一枚の検品が1度であったのを、梱包時にも実施し、回数を2度にした。
6.金属の混入を防ぐため、梱包時の検品に金属探知機を買い入れ使用している。

 

その結果出てきた合格品の仕上がりは、素人目にも美しく
完璧であった

 

 

みんな真剣であった
検品のおばちゃんの一人は
4時までの勤務時間が終わっても帰ろうとせず
(日曜日は全員4時までと法律で決められている)
私たちの話し合いをじっと聞き入っていた

 

 

長い話し合いと、現場での確認が終わったのは午後6時ごろ
外では、6度目の上海訪問で初めての雨が降っていた

 

 

その後、陶さんに送ってもらってホテルに
そして、そのまま頼さんの店に全員で行った
上海・快洗隊である
陶さんにもそれを見せたかった

 

私たちが上海で何をしたいと思っているのか、知っておいてほしかった

 

品質を追求する快洗隊の姿勢が
快洗Taoるの品質にもいい影響を与えることを期待した

 

上海快洗隊は
周りの洗車屋の2倍半の値段を付けながら
ドンドン売上が上がっているという
最高の品質を提供する事がいかに大切なのか
それが、如何に大きい意味を持っているのか

 

上海快洗隊を見て
その洗車作業を見て
元気の無かった陶さんの目が輝いてきたことを、私ははっきりと確認した
分かってもらえたか

 

 

予定外ではあったが
そのままみんなで食事に行くことになった
「上海蟹」を食べに行ったのだ
“憧れの上海蟹”

 

上海蟹は今が旬で
一番美味しいときであるらしい

 

上海蟹が食べたいと言い出したのはH.オサム

 

彼は明日、無謀にも
頼さんの持っている洗車の店の5件分のスタッフに対して
つまり、多分十数人に
洗車の訓練をやることになっている
中国語で訓練をやるのだ
彼は、飛行機の中で、必死に即席の中国語のレッスンを李さんに受けていた

 

そんなこともあったので
彼のわがままを聞いてやることにしたのだ

 

カニを食べたいといったごときでわがまま?と、皆さんは思われるかもしれない
そうではないのだ

 

旬のときの上海蟹に
上海の人は異常な執念を持って食べたがる
だから、恐ろしく高い
普通の労働者の月給、その半分ほどの値段が上海蟹にはついている
それほどに、とんでもなく高いのだ

 

7人で上海蟹を7匹
そしていく皿かの料理と、ビール何本か
それで、びっくり仰天の2740元
日本円で35,000円もの支払いであった

 

上海での食事は、考えられないほど安いのが常識
7人でカニ抜きならば
大宴会のような料理を並べても、多分、5,000円程度

 

上海蟹だけが異常に高いのだ
しかし、旬のときの上海蟹はさすがであった
独特のうまみは、全員を無口にさせるほどのものであった

 

たまたま私の横に座ったH.オサムのところに
なぜか一番大きな上海蟹が来た
私の蟹よりも1.5倍はある
常・識・的に考えれば、「私のと換えましょう」と、言うところなのに
奴は、嬉々として、そのでかい上海蟹を離そうとはしなかった
脅そうとも、すかそうとも
奴はそのでかい上海蟹を
笑ってごまかしながら、絶対に離そうとはしなかった

 

 

奴は、セコイか大物かどっちかである

 

みんなでワイワイ話しながら
蟹をムシャぶっていた頃には、陶さんもすっかり元気になっていた
頼さんも元気元気

 

 

今日も実にエキサイティングな一日であった
体の芯から疲れきるほどのエキサイティングな一日であった

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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