谷 好通コラム

2003年10月14日(火曜日)

817話 上海オムニバス

?上海の運転

 

北京でもそうだったし、西安でも、台湾でも、香港でもそうだった
中国人の運転は、なぜあんなに荒っぽいのか

 

割り込みをしないと大損をするかのように
ムチャクチャな割り込みを繰り返す
割り込みは、「どけっ」という意味のウィンカーを出せば
すき間が有ろうと無かろうと
「どけっ」という意味の幅寄せを強引にしていく

 

「どけっ」という意味のクラクションもひんぱんに鳴らす

 

運転手の人間性によって、運転に差があるかといえば
少しはあるが、ほとんど変わらない
話をしていると温厚であった人が
車に乗っている時は
みんな同じように、「どけっ」とやる

 

車間距離も極端に狭い
前の車にくっついていって、「どけっ」という意味のパッシング
右から左から強引に抜いていく
急ブレーキもしょっちゅうだ

 

上海行きは去年からだけでも6回目
ずいぶん慣れたが、隣に乗っているとやはり足が突っ張る
ぶつかる!と、ビックリすることもたびたびだ

 

事故も多い
前々回来た時は、4日間で12回の事故を見た
大きな事故でない
割り込もうとする車と、割り込ませまいとする車が接触
あるいは
あまりにも狭い車間と、急ブレーキで追突
2台の車の相対的な速度が変わらないので、大きな事故にはあまりならない
車がへこむ程度

 

上海の街を走っていると
日常茶飯事のように、事故の後の怒鳴り合いを見ることが出来る
みんな怒鳴り合っている
警察を呼ぶことはめったに無いそうだ
とにかく事故の現場に5分以上、車を止めていると罰金なのだ
事故をしてその場でガタガタやっていたのでは
すぐに道が渋滞になってしまう
だから
5分で決着をつけなければ罰金なのだ
とにかく怒鳴って、声が大きい方が勝ちという意味なのか
それとも
たった5分で示談が済むわけがない
どっちにしても割り込むか割り込まれるかの事故
どっちもどっち
結局、自分の車を自分で直すになるので
うっぷん晴らしに怒鳴った方が怒鳴ったが勝ちということか
とにかく怒鳴り合っている

 

今回の上海でも何回か事故を見た
5回ぐらいは見た

 

その中の2回は
昨日、頼さんの店での洗車のトレーニングの時だ

 

スタンドから出て行く車が
歩道を歩いている歩行者に「どけっ」とクラクションを鳴らしながら出て行く
(中国は車優先なのだ!)
その時、車道を走っていた自転車が強引に出てきて
車より先に行こうとする
車も譲らずクラクションを鳴らすが
自転車も譲らず・・・
ぶつかった
ぶつかったが、車はなお前に進んで、自転車の前輪を踏んで、少しつぶした
という事故である

 

 

これが昨日の午前中の事故
午後には
まったく同じような事故でいきさつは午前中とまったく同じ
ただ、スタンドからがバイクで、道から来たのが車と、逆のパターンであっただけ
お互いがまったく譲らず、ゴッツンコというか、コッツンとぶつかった

 

 

こと車の運転マナーについては、中国はとんでもなく恐ろしい国である

 

 

?中国のマンション

 

上海に駐在事務所を置き、李さんに活躍してもらうことになっている
そのための拠点を探さなければならない
李さんの住居と事務所を兼ねて
マンションを一つ借りようということになった
物件を具体的に見ていかねばならないのだが
今回は、見れる物件を用意できなかった

 

それを頼さんに話したら
自分の会社がスタッフのための寮として借りているマンションがあるので
見てもいいよ
と言ってくれたので
畠中と荻野がトレーニングをやっている間に見に行った

 

思ったより立派なマンションで
超高層に部類するもの
100?の広さがあるという
坪に直せば、約33坪、66枚の畳が敷ける広さだ

 

 

しかし、部屋の中に入ってみてびっくり
壁紙も床のカーペットも何もない
水道管までむき出しの部屋に、5つのベッドが置いてあって
そこで5人のスタッフが寝泊りしているという
広さがあるだけ余計に、なんとも殺風景な風景であった

 

 

これには訳があった
中国のマンションは、分譲であっても賃貸しであっても
まったく内装が無い状態で渡される
内装は、
マンションを買った本人、あるいは借りた本人が
内装を自分の好きなように、自分で作るのが中国式なのだそうだ
だから、この寮は
内装などどっちでもいいという若者が入っているので
ほとんど内装無しでコンクリートむき出しの状態で暮らしている

 

その姿を見て私はびっくりしたのだ
「中国のマンションって変わっているね~」と言ったら
頼さんは
「日本の方がおかしいよ。業者が勝手に作った内装で満足するなんて
その方がおかしいよ。」と言う

 

確かにそうだ
マンションを内装無しで買ったり借りたりすることは
欧米においても常識であって
日本のように作り付けの内装付きのマンションの方が、例外的であるという

 

なるほど、と思った

 

家賃は3,000元(日本円で約42,000円)
100?の広さにしては安いのかなぁと思ったが
中国の物価から考えれば、これはあまりにも高い
しかも、このマンション広すぎる
(内装は、このでかい部屋全部やっても30,000元≒42万円で十分だと言う)

 

これをいい参考にして、もっと小ぶりな適切なマンションを探すことにした。

 

 

?上海の家庭は温かかった

 

今回は、李さんの叔母さんの家を訪問することにしていた
李さんがアイ・タック技研に入社して
上海の駐在員として働く
会社の責任者として、上海の親戚である叔母さんに挨拶しないわけには行かない
直接の上司である“荻野”海外事業部部長としても、同じだ

 

李さんの叔母さんの家は上海市内の普通のマンションであった
挨拶が目的であって
簡単に済ませるつもりであったが
行って見てびっくり
叔母さんご夫婦と、叔母さんの子供たち夫婦3組と、お孫さんたち
なんと上海に住む親戚が全員集まって
大宴会の準備がされていた

 

私たちはひたすら恐縮するばかり
手土産には、名古屋空港の売店で買った
お城の形をした入れ物に入ったお酒だけ
かなりショボイ
しかも、運んでいるうちに、酒がどこかからか漏れたらしく、臭い

 

総勢10人以上の上海のご家庭での食事は
レストランで食べる中華料理とはまた違ったおいしさで
断然、こちらの方がウマいと、全員一致であった

 

叔母さんは李さんの母さんのお姉さんに当たる

 

 

そして存在感たっぷりの長男さん
私と同じ51歳
以前は不動産関係の仕事をしていて、かなりのものであったらしい

 

 

みんなで記念撮影
ここに写っているだけでも7人
この他にもあと4人もいて、全部で11人も集まってくれたのです。

 

 

叔母さんと、息子のお嫁さん2人
この日の山ほどの料理はこの人たちが作ってくれました。
とっても美味しかったです。最高でした。

 

 

このあと実は、上海蟹が出たのです。
昨日に引き続いて上海蟹、しかも、オスとメスの両方
私たちは幸せの絶頂でした。

 

 

?上海タワーが模様替え、派手になっていた

 

今回は2泊3日
予定がびっしり入っていて観光する機会はほとんどない
買い物もさせてやりたかったが
時間切れでそれもなかった
結局、李さんの叔母さんの家でご馳走になったあと
BANDOに寄っただけ

 

しかし、BANDOははじめて見た者には十分に衝撃的で
荻野も畠中も
「すごい、すごい」と興奮気味であった

 

私もBANDOはこれで5回目だが
いつ見てもホントにすごいと思う

 

ところが今回は新しい発見
BANDOから見る浦東の主役、上海タワーが模様替えしていたのである
今までは、どっしりとした感じで
権威を感じさせるものであったのだが
今回は、超巨大ネオンタワーのように
明るい照明に変わり、それが激しく動いて、とんでもなく派手になっていた

 

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2003年10月14日(火曜日)

816話 上海トレーニング

上海は今、大変貌を迎えるための過渡期である
人口が一千万人をはるかに超え、もう何人住んでいるのか分からない
公式には1,700万人とされているが
実は2,300万人だとも言われてる

 

中国では一人っ子政策が敷かれ
第2子以上の子には大きな税金が課せられる
そのため、親は、税金逃れのために二人目以降の子供を戸籍に入れないのだそうだ
だから、中国には戸籍の無い子供がいっぱいいて
今の人口が一体何人なのか分からなくなってしまっているのだ
公式には中国全体の人口は13億人
しかし実際は15億人以上なのでは、とも言われている
だから上海は
2,300万人という説の方が信憑性が高い
人の数においては
上海は世界一

 

たくさんの意味で上海はいびつなところが多い
金持ちと低所得者との賃金格差はすさまじいものがあり
田舎から出てきた若者が
住む所と昼ごはんが付いて、最初は月給5百元(≒7,000円)と聞いた

 

技術のある縫製工場の女の子が
寮と食事つきで月給1500元(≒21,000円)
これは意外と高い所得であるが
しかし、朝7時から夜9時までの労働であり、休暇が月に1~2度
かなりきつい労働量だ
やはり田舎の農村から出てきている子達であるという

 

そんな若い労働力を50~80人ぐらい使って
生産工場などを経営している公司(会社)の総経理(社長)この人たちで、月給2万~5万元(=280,000円~700,000円)ぐらい
よくあるパターンだ
その賃金格差は50倍から100倍近くにまでなる
こういう人たちが
マイカーを買い始めていて
中国の車社会の将来を作っていく

 

日本にたとえて見れば
新人の若い子が月給20万円取っているその中小企業の社長が
月給を1000万円(=50倍)から2000万円(=100倍)取っている
なんて例は
なかなか無い

 

それでも街の工場の総経理は金持ちではあるが、大金持ちではない
上海はけたたましいバブルの真っ最中で
不動産で儲けている人たちとか(いずれは大損をすると思うのだが)
利権を握っている人たち
そんな人たちには
日本のお金持ちなどぶっ飛んでしまうほどの大金持ちがいるという

 

上海の街そのものが、いびつな面を大きく持っている
未来都市のような超近代的なビル
超高層のマンションが激しい勢いで建てられている中
老朽化した建物がその下界に広がっている
あの豪華な超高層マンションはバブルの相場で2000万円以上だというし
あんなところに住める人間が
あんなに数多くどこにいるのか不思議でならない

 

 

上海の洗車事情
洗車は10元(=140円)である
もちろん手洗い洗車
ありとあらゆる所に洗車屋がある

 

空港の駐車場の中にも2件の洗車屋を見た
「洗車10元であった」

街角、特に未開発の古い町並みには必ずと言っていいほど
長屋の軒先で車を洗う洗車屋が露天風に店を開いている
磨き屋さんも同様で
「汽車美容」と書いてある
いずれもかなりの数
「洗車は10元である」

 

屋台形式の洗車屋もよく見る
大きな道路の端に、勝手に屋台のような車を止めて
即席の洗車屋が店を開いている
公園の駐車場の中で勝手に洗車屋をやっているものもいた
「洗車の料金は10元」

 

もう一つ、洗車屋のポピュラーな形
ガソリンスタンドの一角を借りて
洗車屋を開いている例
上海の同志“頼さん”も、その一人である

 

中国のガソリンスタンドは、そのほとんど(すべて?)が国営であって
ガソリンスタンドを運営しているものとしては
燃料だけを売っていて
洗車などは、外注のテナントの形で業者が“家賃を払って”入っている
ほとんどのスタンドに洗車屋が入っているといってもいい

 

頼さんは、そんな形で現在5件の洗車屋を経営している

 

競争相手で、最近、すさまじい勢いで勢力を伸ばしている洗車屋の会社があると
頼さんは脅威に感じ、あせっていた

 

そんな洗車屋さんでの洗車は10元
「やっぱり10元である」

 

上海での洗車は“10元”と相場が決まってしまっているようだ

 

金持ちが乗っている車を
底辺の低所得層の人たちに、10元の小銭で車を洗わせている
そんなイメージだ

 

西安でもそうであった
台湾でも、香港でもそんな感じ

 

洗車
しかし私は、ついぞ自分の仕事を底辺の仕事などと思っても来なかった
洗車とは
車を愛する人に対して
その車を、その人以上の技術を持って
よりキレイにして差し上げることによって、幸せを提供するものである
そう考えてきた

 

つまり
洗車スタッフの技術が、プロとしての臨界点を超え
スタッフの姿勢がプロとしての姿勢を備えているものならば
そうであるならば
洗車が10元であることから抜け出し
誇りあるビジネスに昇華することになる
そう信じており
実践している

 

街中に10元の洗車が溢れ返る上海で
頼さんの経営する5軒のうち1軒を、上海・快洗隊とし
洗車=25元と打ち出した。
そして、汽宝(チーパオ)というコーティングが100元である
(汽宝(チーパオ)とは、KeePreの中国名。正式に登録を申請している)

 

25元とは、市中の相場の2.5倍
100元とは、若い労働者の給料の1/5にも当たる金額であって
上海の中では異例に高い値段である

 

総経理の頼さんいわく
「誰に聞いても、そんな高い洗車売れるわけが無いと、反対されたが
私は刈谷で快洗隊に入って、確信した。
洗車の品質さえ上げれば
上海でも、このやり方が絶対に通用する。と
そして、快洗隊のやり方でやった店が開店からたった2ヶ月で、
5件の店の中でトップになった。
しかも、まだドンドンお客さんが増えている。
私の考え方正しかった。」

 

今回の上海出張の一番大きな目的は
頼さんの会社の洗車スタッフたちの洗車技術を
快洗隊の代表である畠中に
実際にチェックさせ
海外事業部の責任者である荻野と共に
問題点を抽出すると共に、より高いレベルの技術にすべく
実際に再訓練すること

 

トレーニングの当日は雨であった
本当は、設備の揃った上海・快洗隊でやる予定であったが
朝からの雨で急遽、屋根が大きな店に設備を持っていって
そこでやることになった

 

そんなことをやっていたので
トレーニングのスタートは11時ぐらい、ずいぶん遅くなってしまった
しかし、そこからのトレーニングは
熱気に溢れ、すごいものであった

 

洗車スタッフは、ほとんどが田舎から出てきた若者
所得レベルは当然低い
しかし、技術を身に付けることで
自分の給料を上げることが出来ることを知っているので
トレーニングに対する集中力は半端ではないのだ
ハングリー精神丸出しで
食い入るように畠中・荻野の話を聞き
我先にと手を出してトレーニングに参加してくる

 

まず、打ち合わせ

 

 

今回はKeePreの大きなステッカーを持って行った

 

 

スタッフの作業をチェック後
改善点を指摘
なぜ改善すべきなのかをジックリと説明する

 

 

トレーニング

 

 

スタッフの熱気に意気を感じたのか
トレーニングの終盤
荻野部長が、突然KeePre(汽宝)のタイムトライアルをはじめる
彼にとっては立場的に普段はやっていないこと
ヒィヒィゼイゼイだったであろう
しかし、見事7分で終了して見せ、みんなからの拍手喝さいを受けていた

 

 

KeePreの中国語のリーフレット

 

 

同じく中国語のメニュー

 

 

頼さんの通訳で、洗車の考え方を述べる

 

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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