谷 好通コラム

2003年12月24日(水曜日)

858話 読めたらエライ!

849話で予告した神垣石油さんでの対談を
やっとまとめ上げました。

 

実は、この話はキーパータイムスの新年号に掲載する予定ですので
ここに、この時点で掲載してしまうのはフライングですが
インターネットを活用しているsensya.comの読者の特権として
よろしかったら読んじゃってください。

 

ただし、この内容
なるべく喋った言葉どおりに書いてありますので
読むのがすごく大変だと思います。
「全部読めたらエライ!」

 

また、実際の神垣さんとの対談は
情報通の神垣社長らしく、非常にきわどい発言が多く
かなりの部分は私の懐の中に入れたままにしました。
逆に、神垣社長からは
「一番面白いところが入っていない!」と怒られるかもしれません。

 

とりあえず、2時間あまりの長~い対談を
まとめ上げただけでもその苦労を察していただいて
ご勘弁ください。

 

さぁ

 

 

神垣石油 社長対談

 

神垣社長=k: 谷好通=t:

 

SS運営について
k:人件費以上に、はるかに油外を稼ぐか、私も馬場さんも同じ考えだと思うのだけど、ガソリンスタンドは石油会社なのだから、石油から上がるマージンが半分無いといけないんじゃないか、でないともうメンテナンス屋に看板を描き替えたほうがいいんじゃないかと。
油屋っていい商売じゃないですか。放っておいても来てくれる。そこそこ売り方を良くすれば、油外とのバランスを考えたとき、半分まで何とか油で稼ぎたい。皆さん店頭のガソリンだけをメインにしておられるから、儲からないとか不満がでるわけで、灯油も軽油も配達もあって、そうした中にそれとは別個に油外という位置づけができてくる。得意不得意もあるから、半分だったり4割だったりということであるべきでね、油という商売の中での油外、洗車という位置づけ。
3年前から試行錯誤しながら毎月チラシを撒いているというのは、ウチは洗車をメインにメンテナンスもやっていますよというのを、この街でお客様に意識してもらうかということなんです。バッテリーあがりでもできますよということから、そこからの縁をどうやって結び付けていくかと。
油屋は雨の日も、日曜でも開けておればお客さんが来てくれる、有難い商売です。経営的にはいいビジネスだなと思いますね。

 

社長が言ってみえたラーメンの例え、あれはいい話です。最近は勤まりにくい仕事のひとつかなと思い始めたのですが、いろんなことをやらせるからなんでしょうけど。いちいち教えるのも嫌だから、最近はよその店を辞めた人を入れることが多いのですが、その店その店に染まっている者が、ウチの店に染め替えさせるときにあのラーメンの例えが一番いい。

 

t:どういう意味なんですかね?

 

k:ラーメンの行列って安いから並んでるわけ?じゃなくて美味しいから並んでるんでしょって。一番に早いとか安いとかということではなく、美味しいラーメンを作るということ、いい洗車を仕上げるということを一番に考えなさいと。そういう中で時間も早くできて価格もリーズナブルでという問題は発生するけど、一番には安いから並ぶのではないと。ガソリンは安いから並ぶということはあるけど、洗車だけは仕上がり具合が違うから、腕を磨かないといけないと。ウチの店は誰がやってもここまでの仕上がりは出来る店だということを印象付けていかないといけない。

 

t:上手いと全部が上手くいくんですよね。上手ければ速くなる、上手いとコストも安くなる。そんなに高くしなくても利益が取れる。

t:油のほうの話に戻りますが。前提としていくらの口銭がいるのか。

 

k:10円では苦しい。12円がベター。ベストは13円、それ以上となると安売り店と差がつきすぎるし。ありすぎるのも不安で。緊張感のある値段。10円では赤字にはならなくても収支トントン。企業としてやるべきことをやってトントンなのか、全部切り詰めてトントンなのか、ここに幅がすごくある。それが私は10円を切る値段と12円というところに収斂されると思う。
一軒としてはガソリンスタンドの売上は年間3億円から4億円ですよね。今メーカーが言っておるように、ガソリンと軽油、自動車の燃料あわせて200キロあればいいと言うんですが、実際には150から200が多いんですが、それとお店の灯油、配達という状態で、3億円から4億円あれば少し利益がでているくらいなのですが、それを総資本に直すと、8千万から1億くらいじゃないかと。年間4~5%の利益を1SSで出したい。収支トントンでも上のレベルでトントンで400~500万の利益がでているお店と言うのは、まあこのまま残っていけると思います。
広島県で昨年一年間で5千万以上利益が出ていたのは1軒だけ。あとは全滅。今は悪い意味でのピークです。一昨年まではそれまでの蓄積だとか、土地を処分しただとかでそこそこの決算をだせていたのですが、去年だけは3割から5割、例年より申告所得が低くて、だから去年の決算は興味がありましたね。

 

t:12~13円のマージンとはこのあたりだとどういう値段だと言えるのですか?

 

k:この半年に限っていうと8~10円。ウチは皆さんより3円くらい高く売っているから。セルフは92円ですからマージン4円くらいです。セルフってのは面白いもので、年間の10ヶ月は赤字です。残りの2ヶ月だけでバカンと儲ける。12月は仕入れが下がっている。売値は少し上げる方向ですから12月から少しあがった。95円で売っておられたら、仕入れが安いからマージンが10円あるんです。正確に言えば8ヶ月赤字、2ヶ月トントン、2ヶ月黒字で一年間でみると、ちゃらか若干の黒字。8ヶ月の赤字が幅が小さければ、2ヶ月で随分取り戻せて、2ヶ月は利益になる。セルフは元売りのシェア争いにしかない。

 

t:フルサービスのSSがセルフのSSを気にすることは全く無いと思う。幅が5円くらいだったら平気ですよね。

 

k:お客さんが、窓拭きと灰皿清掃を望んでいるかどうか。お店の固定費を維持する以下のボリュームになっちゃうとセルフの思う壺になっちゃうから、そこをどうするかというと、もう1、2年その動向を見ないとわからない。

 

t:差が4~5円だと気にならない。

 

k:一番大切なのは、人員削減を見直してきたなかで、サービスの落ちないことをしていかないと。従業員は3人いないとダメ。12ヶ月稼ぐことを考えると3人必要。一人になっちゃうと、緊張感が持てた日はいいけども12ヶ月満遍なくコンスタントな成績をあげるというのは難しい。12ヶ月コンスタントな成績を上げるが為に、ウチはキャンペーンをしない。モチベーションをキープしていくためにも社員が3人はいる。

 

t:馬場さんところは、アルバイトあってもボーナスを出して、社会保険にも入っていらっしゃる。あれはほぼ社員ですよね。

 

k:ウチの優秀なマネジャーも、隣の閉鎖された店に4年前いた頃は、POSそのものに数量と売上しか出なくて、粗利というのは経営者に教えてもらって計算して手書きしていたんです。POSそのものに粗利がでない。この業界、売上は原油の値段によって違うのだから。

 

t:店も会社もやっていこうと思ったら、売上などどっちでもいいですもんね。粗利が大事。
k:現金が回転する業界ですから、売り上げの数字など見るところはないですよね。POSは粗利も出せるはずなんです。しかもそれでよかった時代があって、そのままでやっている経営者がいかに多いかということです。

 

t:部下に対する情報公開は本当に必要ですよね。今や決算書を社員にまで見せるかどうかの時代です。

 

k:お店のね。従業員には言うのですが、経費とか絞っているから、少々は波があっても出来るだけ平均化した待遇ができるんだとね。ストレートにね。決算書はまた別ですけどね。

 

t:当社はちょっと決算書まで見ないと動きが見えないしね。いずれにしても見せる、知る、ということが大切ですね。

 

k:去年の1月なんか油800万、油外が350万。灯油の配達まで入れて、このお店だいたい8400万から8800万くらいの年間粗利。油外が4400万だったり4700万くらい。だから油外もあがれば、油ももっと上がるやり方があるんじゃないかと思うんです。油屋なんだから。

 

t:そう、油屋さんは油できちんと儲けるということも考えなきゃいかんのだと。

 

k:なおかつ、どうやっても去年くらいから一段と厳しい状況になっているから、各お店で条件が違うから、最低ボリュームね、これだけはという部分を早く見つけて、それで対抗策は何があるか。

 

t:こういう厳しい時だから、掛売りやろうと思っても相手が見えてしまいますね。バブル時代は皆がお金を持っているから、見せ金か本当の金かわからなかったけどね。だから今のほうが引っかかること少ないね。

 

k:セルフの給油や洗車が一方で流行っているけど、フルサービス、ちょっと昔と同じこととか、お客さんが喜んでくれることを考えたアクションを起こすと、それがいい洗車であったり車をちょっとメンテナンスで見てあげるとか、困ったときにバッテリー上がりだけでもいいし、板金だけでもいいけど、そういうちょっと出来ること、それなりに料金をいただかないといかんけど。

 

t:ガソリンスタンドで「アルバイトだけだからパンクの修理できない」と言われると、がっくりするよね。

 

k:だからね、難しく考えないで、昔やってたことをやってあげようよと。お客さんが喜ぶ一言を加えようよと。洗車があがったときも、『お客さんキレイになりましたよ』とかね。自分でやって自分で言ってりゃ世話ないけど。ウチの店では、『いらっしゃいませ!』とか『ありがとうございました!』なんて鯱張ったところから入らない。『おはようございます』であり『いってらっしゃい』にしているんです。お客さんにアットホームなところをどう感じてもらうかですね。
アットホームなんだから、お客さんが困ったおったら行ってあげる。で、何してもいつでも行きますよって言っておくと、社員は必ず3人以上はいるということになる。とにかく困ったことがあったら、街中のあのシェルのお店に行けばよかったんだ、ということだけ覚えておいてもらうためにもチラシを配布している。

 

t:そういう店って本当は望まれているのかもしれない。頼れる店、当てになる店。

 

k:油屋としての生き方ってお尋ねですが、ウチがちょっと中途半端なくらいで、馬場さんのようなやりかたがあって、かたや徹底的に割り切って、オンボロのスタンドを安い家賃20万~30万で借りてきて、一切燃料しかやらない、ボリュームも80キロくらいでいいと、小さく手堅くやっていくか、両方になるのかなと。でもそれは家賃、リース料が安いと言う大前提がいりますよね。一番大切なのは家賃等の人件費以外の固定費が最低いくらいるか、それまでも油外で賄えるとしたらたいしたもの。そうじゃなければ、やっぱりガソリンであがってくるマージンがいくらあるかということになる。

 

t:その先を聞きたいんですけどね。

 

k:どっかか潰れると信じて、そりゃあ生き残り合戦しているんだから。

 

t:でも周辺の店が潰れてもあまり影響が出なくなっているんじゃないですか?

 

k:そうだね、隣が潰れても5キロしか増えなかった。客層が違うんだね。

 

t:お客さんに対して便利であるとか、頼れるという店つくりをしていけば、確保できるじゃないですか。

 

k:馬場さんはすごく効率がいい。ミニローリーもなければ軽トラもない。それで売上がある。でも普通の店はそれをやってどう伸ばしていくかです。

 

t:いや、馬場さんもいつかはそういうところもやり始めるんじゃないですか?

 

k:私からすれば、一生懸命油外もしながら経営も頑張っている人からすればのほほんと田舎でやっている人もいて、どうかなと思うと、油からあがる収益ってのはほっといてもあるわけですから、それを安売りするとかね、それは愚の骨頂かなと。

 

t:あれはどういう心境なんですかね。結果的に自分の首を絞めるじゃないですか。

 

k:安売りでずっとやっている例は聞かないです。今は、元売り以外で安売り生き残りはあり得ない。自己資本の安売りはあり得ない。30何通りの仕入れがあると言われますよね。その中の値幅はいくらあるかというと、7~8円。以前は9円あった。今でも95円で仕入れているところはいくらでもありますから。そのかわりそれ以上高く売るからいいんです。それで面白いのがマークを降ろしたからといって今までの業転価格で仕入れできるかと言うとそうじゃない。

 

t:どういうところが情報源なんだろう(笑)

 

k:だからオフラインミーティング。リムも今がピーク。今からは先物が指標になる。取引が増えると言うのも事実だけど、取引するのにはリスクがあるから、そうでなくて価格の指標にする。リムは情報会社だから、リムは元売りや商社から集まったもので統計を出していく会社だから。僕が掲示板に書くことはリムに基づいている。それに見ている人が反応する。キャッチボールの集計している。リムがピッチャーで僕がキャッチャー。キャッチャーは他の野手にも球を送る。

 

t:そういうふうにして読まないといけないんだ。快洗隊のことも時々書いていただけるんで、いいコマーシャルになっているんですよ。

 

k:アクセス数を見ると判るんですけどね、仕入れ価格、値段のことを書くとね、反応が2割必ず多い。出てるよ~って。一番感心が低いのが閑話休題、私が思ったことを書いているとき、私が思ったことなど、どうでもいいんじゃろね。次に反応が多いのが快洗隊のこと、油外。油じゃ儲からないのでもう頼るのは自分で稼ぐことしかないよという話になると、アクセス数が伸びる。いくらそういう話が耳に染み付いておっても、頭の中はまだそうなっていない。

 

t:快洗隊を導入すると言うとき、必ずもめるのが、給油の導線を切ってしまうということで、ここの計量機を外しましょうと言うと、必ず抵抗に合う。ここには車を止めないと他が満員になってしまうとかね、言うんですね。じゃあ止めたって。

 

k:僕、去年の年末に書いたのですが、一日の売上が洗車だけで30万とかあがったと、快洗隊を見れば、70万とかなってる。ガソリンは10キロ売ったところでリッター8円くらいのマージンで8万円。そうであれば、30日、31日のガソリンの販売を止めたら?ということ。止めるわけには実際はいかないけど、それくらいの発想転換が必要だと。
実際、この12月の最後の4日間は、ウチの店はレイアウトが決まっているんです。去年もちょっとやったんですが、今年はもっと徹底してやります。洗車優先。灯油はビジネスとして外せませんが、洗車に6台分スペースをとろうと。結局、燃料を注ぐスペースは右左給油口があるから、真ん中のレーンだけは取っておく。洗車を30日31日は、本来なら35万くらいのところを、2日間で50万というレイアウトを考えたら、こうしかない。ウチで年末は油が6キロとか7キロしかないのだから、これにしちゃおうよと。これくらい発想を変えているんです。
人員体制は、15人と2人。検定の2人が手伝ってくれる。これはもとウチの所長ですから。高校生のバイトが3人。主婦パートが2人。で、事務員が2人。私含めて、配達バイトが2人で、えっと、12人で28日から29日まで洗車でやって、21万と22万くらい洗車でやって、30日31日は30万と31万。それでまあ、他の油外があるから+10万くらい。ですからこの4日間くらいで150万くらいはいきたいなあと。ひとつはこれ、でもうひとつは去年はキーパーと鉄粉とりで7千円のコースだったのを、今年はグレードを上げて、9千円をやってもらおうと。
最近は水洗い洗車とかがほとんどなくなって、今年は最後の4日間くらいは水洗い洗車は中止させていただきますという張り紙くらいはしようかなと。でも不思議ですね、洗車が1800円だった室内清掃と水洗いとかのものがウチではスペシャル洗車と呼んでいたんですが、もうほとんどない。逆にこのチラシをずっと打っていたら、お客さんのほうから『あの5千円のセットして』と、特に手洗いセットの5千円というのを言われる。
ひとつは値段を上げる。ひとつは導線を変える。

 

t:今800円のものをどうやって千円にするかということより、いっぺんに5千円だ8千円だと上げてしまったほうがいいんですよね。

 

k:社長のコラムにあったけど、120%の目標なんかじゃなく、200%という目標にするという、システムまで変えてしまうようなね。

 

t:時代の流れ方が速すぎるから、そういうやり方にして丁度いいくらいになっちゃっている。

 

k:掛売りのスタンドだったら一本、あるいは1レーンだけでいいでしょ。もう後全部を洗車スペースに変えてしまう。ほんでもう年末の3日間か4日間は、メニューは限定する。レストラン行ってもそうでしょ。日本人はよくコミコミの値段ね。

 

t:時期にもよりますがね、ウチも12月はフルコースがすごく出るんです。

 

k:26日に入れるチラシのことでね、実は洗車担当の子と相談したの。年末のこの時期に9千円のフルコースをチラシに入れるかなと。白黒で印刷したら10万円ちょっとで済みそうだから、どうかなと。

 

t:23日までに磨きのお客様をいかにつかむかって。これに今賭けているかな。それ以降はじっとしていようかと。
アクアキーパーが快洗隊では馬鹿あたりしているんです。車全体のねコーティング。ただ、4回施工でワンセットだから、年末に集中すること決まってるんで。もう刈谷でも50台は施工しているから、これは大変なことになりそうだと。去年までは各地の営業マンが刈谷に集中してきたからこなせたけど、今回は神戸、知立、安城と4箇所。どうなるかとね。

 

k:ウチも快洗隊さんを知る前の6年前だと、12月でも120万円くらいで、一度だけ160万行ったことがあるだけで。要は機械洗車で水洗いとワックス掛けで年末どれだけ一生懸命やってもそんなくらいだった。でもコーティングにしたり、手洗いに変えたりして、さすがに水洗いのお客さんはこなくなっちゃった。ラッキーです。
去年も280万あがってますけど、油外全体からいったら4割ですもんね。630万くらい油外はあがってる。やっぱり油屋だから、油と油外のバランス、油外の中の洗車とのバランス。

 

t:お客さんの中には色々とガソリンスタンドに対するニーズとかがあるわけじゃないですか。そのバランスがどれくらいか、好みとか、それでこのハードでそのニーズをこなしていけばいいのかと。

 

k:そうですね、この23年その究極を求めているのかなって感じですね。

 

t:油が悪いんだって、そんなことを言うつもりは僕はないわけで、僕も20年油をやってきたので、2年前に計量器をとっぱらったでしょ、あのときでもやっぱり断腸の思いですからね。畠中がどうしても取ると言うものですから、仕方なく。快洗隊を新しい会社にするにあたって、この際だから計量器を取りましょうと。

 

k:今の話を聞いて思い出したのですが、燃料の話に戻ってみたら、自分の店の販売量が最低どれくらいいるのかとか、逆にここの店でこのままやっていたら早く自分で計量器を取っ払って、リフトを設けるのがいいのか洗車コーナーにする方がいいのかな、早く見極めるのもひとつかなと。それで、見極めたら今の人員でいいのかということになる。早く自分の油部門の絵を描くと言うのをね。

 

t:快洗隊を設計するときに、この計量器をどかしましょうと言うと、いやっここはね元売りの社有だから、それは元売りが絶対許さない。と言うんですね。でもそれは違うでしょうと。ここの店、今60キロでしょう、マルチの計量器が4つなんて必要ないじゃないですか。一つで充分ですよと。だって、あなたの商売でしょう?、買いに来るのはお客さんでしょうが、って。その買いに来たお客さんから食べさせてもらうんでしょう?ってね。そういうような話が非常に多い。だから、自分の店を、自分と客との関係で作り上げていくということが見えない。現場にいない感じがするんですね。見ていない。

 

t:そういうことを聞いてしまうと、快洗隊をやりたくない以前に仕事をやりたくないとしか思えない。

 

k:社有でも売れていない店だったら、例えば計量器一機で、だいたい100キロは大丈夫ですから、2機あったら200キロ。そういう考え方です。

 

t:いずれにしてもね、油の商売を大切にするということと、いかにも油屋はこうでなきゃいかんというスタイルを維持することとは別の事と思うのですが、そのあたりがすごく足かせになっていて、その店を変えていくという妨げになっている。

 

k:あのね、今からのガソリンスタンドはトータルは6割ほど減って、一割はセルフとかで増えて、結局は半分になると言われています。しかし残った人がすべてSS経営者かと言うと、そうでなくコンビにがあり、カーショップがある。そして一番のライバルはカーディーラー。コンビにも何もガソリンで儲ける必要はないんです。客寄せなんですね。カーディーラーはお客さんと接点が欲しいし。
ガソリンスタンドのライバルはカーディーラーなんです。ただ今のカーディーラーの既存の店は、ショールームが道路側にあるから、これを撤去してまではしないだろうけど、新規の店では、表はガソリン給油ができるようになり奥にディーラー機能があるということになってきたときに、じゃあガソリンスタンドは何をしなくてはいかんかと言うと、逆に車のことを気安く相談できる相談したいというところにならにゃいかん。
僕たちはガソリンスタンドの制服を着て接客することで、ここは本来何をしているところなのか、気軽に相談できるということを考えていかなきゃいかんと思うわけです。
お客さんからどれだけ声を掛けやすくするかということです。

 

t:オートバックスから独立された方がフロントシステムの重要性を話されるんですけど、本格的なことをしようとしたらフロントシステムのノウハウがあるかないかで、格段の差が出るとおっしゃるんですね。

 

k:先週の土曜日にね、バイトがフロントにいて、私が交代しろと言った『アルバイトじゃ注文とれんじゃろ』と。今月はどうしても逃したくないから、注文とれるものがやれと。アルバイトは作業すればいいじゃないかと。

 

t:能力のある人間がいてやることがフルサービスだと思うんだな。フルの体制はね、できるものがいるということ。その担当の人間に対しては、金も時間もたっぷり掛けた教育を受けさせるべきですね。

 

k:オペレーターが大切ですよね。そういうフロントマンを含めてコントロールできる。ウチは残業が付く人間はゼロです。労働基準局から調査が入ったら怒られるかもしれないけど、今は開き直って、能力ある人間ですから、全部残業なし。本人から聞いてみてくださいと。

 

t:もうひとつ。僕たちの年代あるいは僕たちの下くらいかな、油外と言えば、要らんモノを言葉巧みに売っていた世代ではないですか。そういう思いがあるなかで油外というと変なイメージがあるけれど。

 

k:明確な答えがあります。添加剤の時代でしたよね。それとキャンペーンの時代。ところが車も良くなって、本当に必要なものはバッテリーとタイヤくらいしかない。それとオイルくらいかな。それは何かと言うと、ボンネットを開けることも含めて、上から見る商品ばかりなんですよ。だからこれも限界があります。いくら現金の店で多くやっても。今、強いていい成績を出している店は、車検をやっている。これに加えて洗車を良いシステムを入れてやっているとかね。こうしてみると油外はいくらやっても200万円前後。僕からしたら150万円で下のレベルのトントン。200万円までやればトントンか少し黒字。燃料の落ち込みを爆発的に解消する油外にしようとすると、発想を変えて250万円以上の油外にしないと利益は生まない。で、それをしようと思ったら、洗車が100万円を超えること。もうひとつはリフトを上げて下から見る商品、ドライブシャフトだったり、そういうものをね、ブレーキパット、これは認証が無いとしてはいけないんだけど、皆やっている。そういう足回り商品をやってね。これのいいところは、普段お客さんが見ることのできないところですから、お客さんの信頼が得られる。きっかけは車検であったりするのですが、逆に下から見ると言う作業ができることで、車検も任せてくれるということになる。ここまでやれるのか、という認識を持ってもらえる。
カーディーラーとの区別はいずれなくなるけど、ここまで見せてくれて、やってくれるということで、お客さんは信頼を置いてくれる。
整備士は職人気質だから苦手なんですけど雇っています。何でかといえば、商品にお客さんの信頼を得たいから。これが僕の結論ですから。一時期ガソリンスタンドから整備士を排除した時代がありましたが、今またガソリンスタンドに整備士を雇う時代が来ている。

 

t:今カーディーラーとカーショップとホームセンター、ガソリンスタンドが車に対して同じような仕掛けをしようとしている。各々が切り口は違っても同じところへ向かっている。自分の弱みは結構皆さん知っている。油屋さんは来店頻度はずば抜けているが技術力がない。それぞれがそれぞれの商売で美味しい部分を食っちゃっている。それで、真ん中に残っている美味しい部分を皆で食い合おうと。どこが美味しいのかって。

 

k:洗車も僕自身がもっともっと取り入れていかないといけないと思ったのは、車が良くなって修理も減っている。洗車のニーズとかはお客様との接点がすごく多い。だからそう思うと洗車から入っていって、良い洗車をしてお客さんによくやってくれるねと、それでついでにこれも見てくれる?というきっかけを期待している。

 

t:今、鈑金が快洗隊でバカ売れしてるんですよ。でも洗いに来たついでにこちらが指摘して鈑金をお誘いするというケースではなく、鈑金は鈑金でやってくる。意外なところにこの商売の接点があるんだなって。
だから、洗車が入口のスタンドって、やってみたいですね。私としては。

 

※ここまで読んだ人。エライ!

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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