谷 好通コラム

2004年04月19日(月曜日)

936話 “漢字と写真”で

最初に、“頼さん”を尋ねて上海に来たのは、もう2年ぐらい前になるか、
それからしばらく間が空いて、1年半ぐらい前から、
具体的なビジネスの話も加わって
せっせと上海に通い始めた。
最近では1か月に1度の割合で必ず上海に来ている。

 

最初の訪問の時は
まだ頼さんが雇われの副総経理だった頃で、
あれからいろいろな事があって、
今では、頼さんは会社を買い取って総経理(社長)になっている。

 

洗車の店舗も増えて6軒となり、スタッフも随分沢山になっているのだろう。
その中で一軒、日本の快洗隊に近い形で作った店がある。
この店の後にも出来た店はあるのだが、
この快洗隊のような店を、みんな「新しい店」と呼んでいる。

 

 

昨日の夜は、
その店のスタッフが集まって一緒に食事をした。
昼間、ブースの設営を手伝いに来てくれたのだが、
そのまま、皆で「晩御飯を食べに行こう」となったわけだ。

 

集まってくれたのは
右から、6軒の店のリーダー的な存在「黄さん」
英語がペラペラのすてきな女性「陳さん」
リーダーの弟の副店長「黄さん」
背の高い「郭さん」
(記憶だけで書いているので、間違っていたらゴメンなさい。)

 

 

彼らが、
「洗車もそうだけど
特に、KeePreをやってくれたお客様は、
『この店は他の店と違う。本当に車がピカピカになる。』と、喜んでくれる。」と
言ってくれて、
みんなも「本当にそうだよ。」と、口をそろえて言ってくれた。

 

ジ~~~ン、である。
一瞬、驚きと感動で涙が出そうになってしまった。

 

実際に作業をして、お客様と直接接しているスタッフは、
お客様の言葉について決して嘘を言わない。

 

日本でも上海でもお客様がまったく同じ反応をしているならば、
これは、全世界どこに行っても
KeePreは通用するのかもしれないと
この瞬間、私は、全世界制覇の幻を見てしまった。(^_^;)
(私はすぐ調子に乗る天才なのだ。バカでいいのである。)

 

それからの彼らの口から出る洗車とかKeePreに関わる話、
車を綺麗にする話、
日本語と中国語の違いだけで、
日本で話していることとまったく同じような話が、
上海の洗車に従事しているスタッフ達の口から出てくることに、
私は、自分の耳を疑ってしまうほどであった。
そこには、日本の洗車シーンと同じ空気が流れていたのである。

 

そして、彼らが中国の新しい洗車文化を
作り上げていく原動力になる力であることを身を持って感じ取った。
これは、私たちがこれから、
KeePreを進めていくにあたって、かけがえのない大きな励みになることだ。

 

 

そして、さらに驚く事があった。

 

頼さんにはすてきなフィアンセがいる。
彼がまだ会社の勤め人であった頃、
その会社の経理を担当していた女性で、
2年前に私が上海の頼さんをはじめて尋ねて言った時に、
その知的な言葉と雰囲気に特に印象が深かった人である。
たしか名前は「范さん」であっただろうか(間違っていたらゴメンなさい)。

 

私が、一番素敵だと思った女性を
頼さんはしっかりゲットしていたのである。

 

 

その范さんが、この食事の会に来てくれていた。
そして、彼女の言った事にびっくりした。

 

「私は、皆さんの会社のホームページをよく見ます。
このホームページは面白い。
特に、社長のコラムはほとんど見ています。
私は、日本語はあまりよく分かりませんが、コラムの“漢字と写真”を見ていると
だいたい分かります。
読んで、すごくためになるし、面白いし、いつも読んでいます。
このホームページのおかげで、この会社が何を考えて、どんな価値観で、
何をしていて、何をしようとしているか、よく分かります。」

 

 

そう言われて、私は言葉が出なかった。
じっと、目に力を入れているのが精一杯で、
しばらくたって、やっとのことで「ありがとうございます」と、口から出ただけ。

 

そして、
「是非、中国語のホームページを作ってください。」と言われて、
口の中でモゴモゴと
「そんなむちゃなことを・・」

 

こんな信じられないような素敵な事があっていいものだろうか。

 

ホテルに帰って、
「書いててよかった」と、独り言を言い、
また、上海で勇気の素を貰った。と思った。

 

さぁ、明日から上海の展示会の本番である。
がんばらなくっゃ

 

※上海での定宿になりつつある“百楽大酒店”の13階の部屋より
上海の自動車ラッシュはいつもすごい。

 

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2004年04月19日(月曜日)

934話 増田貴志なる男

アイ・タック技研の開発部に所属する増田貴志(23歳)は、
この会社には珍しい新卒入社の社員である。
入社して丸1年になる。

 

去年の1月か2月頃、ハローワークから面接にやってきた。
聞くと、自分で求人票を勝手に見て、アイ・タック技研?を面白そうな会社だと思って、
自ら応募してきたのだと言う。
大学卒業間近の事である。

 

履歴書を見ると、
東京農大卒業予定、
そして、パワーリフティング部所属、とある。
大学では、“とうもろこし”のリンの吸収と発育の関係がどうたらこうたらと・・・
とりあえず、よく分からん事を研究していたらしい。
しかし、いずれしても「東京農大」
決してバカでは入れない、かっなり優秀な学校である。

 

今ぐらいの季節になると、
来年卒業予定の学生が、頭を黒く染め、似合わないリクルートスーツを着て
街を歩いている姿を良く見るようになる。
いわゆる就職活動。

 

いまさら黒い髪にして、ダークスーツを着たって、
そのあまりにもの不釣合いな雰囲気が、何か惨めっぽささえ感じる。
堂々といつもの通りで、しかも正式な格好をすればいいのに、
その方がその人をよく判ってお互いにいいと思うのに。

 

増田貴志は、就職活動をしなかったようだ。
何故だか理由を聞いたことが無いが、あいつの価値観を想像すると
分かるような気がする。

 

就職は、自分がやって見たいと思った仕事で、
入りたいと思えるような会社を自分で選んで(情報はハローワークで十分)
会いに行って、つまり、面接に行って
不採用ならば、その会社が、そのままの自分を望んでいないということなのだから、
自分に合っていないということでもある。
そういう意味で、不採用は不採用で意味がある。
反対に、自分に合っている会社ならば、
そのままの自分を表現し見せれば、合っているのだから、
採用するはずなのだ。
それでいいのだ。
増田貴志はそう思っていたのでないだろうか。

 

他の学生たちが
就職用の服を作って、
面接用の笑顔の練習をして、
質問に対する模範解答を練習して、
明るく、素直で、行動的であるように見えるための練習もして、
自分の価値観に合っているか、
本当の自分を求めている会社であるかどうか
そんな事は関係無しに
せっせと、
労働条件が良く、
(つまり休みが多くて給料が高いこと)
将来性があって、
格好が良い会社を目指して、空々しく頑張っていると、
増田には思えたのかもしれない。

 

増田貴志は、
そんな刹那的な就職活動は無しで、
自分の価値観で、
天が示したかのように、一直線にアイ・タック技研に入ってきた。
そう思いたい。
運命とは有るものなのである。

 

 

こいつは、自分の価値観で自分の生き方を決めている。
これは凄いことなのだ。
大抵の場合、自分の価値観に“損得勘定”が多分に入って
その人の生き方が決まっていくものだ。

 

学生の頃、所属していた部活「パワーリフティング」は、
思いっきりマイナーなスポーツだ。
「全国大会に出たいと思ったから、みんながやっていないスポーツを選びました。」
と、増田貴志は言う。これは、損得勘定か?
いや違うだろう。

 

たぶん、彼は
“人数が少ないのに一生懸命やっている部活”として、
パワーリフティング部が
気に入ったのではないか。
そして、
あくまでも結果として、
増田貴志が、全国レベルのパワーリフティングの大会に出ることになって、
それに引っ掛けて、
あるいは照れ隠しに、
そんな風に言っているのだと
勝手に想像した。

 

全国大会レベルとは、
いかにマイナーなスポーツであったにしても、簡単に出られるものでない。
それなりの体力と才能があって、
その上で厳しい練習が行われ、はじめて出場出来るもので、
それなりに選ばれた人達である。

 

実にpureな人間で、
私はこういう考え方が大好きだ。
自分にとっての目先の損得勘定を、いちいち考えるような人は、
大物になる可能性は少ない。
能力は高くても、コソコソとした小物にしかならないものだ。

 

そういう意味で、増田貴志は大器晩成、必ず大物になる。
これは断言してもよい。

 

大器晩成型、大物確定の「増田貴志」の現況。

 

1.何でもやりたがり。でしゃばりと紙一重の積極性。
2.正義感丸出しで、自分の命を掛けても助けてくれるタイプ。かつ、けっこうスケベ。
3.アホかと思うほど、いつもニコニコ。
4.メチャクチャ勉強熱心ではあるが、けっこう物を知らない。
5.熱中型、周囲に対しては注意力散漫。
6.誰の言うこともすぐ信じてしまう方で、“カモ”タイプ。

 

ねっ!大物でしょう。

 

今、私は飛行機に乗って上海に向かって飛んでいて、
私の目の前のシートに増田が座っている。
今回の上海出張には、増田を連れてきているのである。

 

只今下降中、乱気流に突っ込んで、私でもビビルほど大きく揺れている。
グワ~ン、ガウ~ン、ドッス~ン、ドンドンドン、ゴゴゴッゴ、ドー~ン
明らかに尻が浮くほど大きく揺れている。

 

大物の増田は、すっかり熟睡中である。
ピクっともしない。
信じられない。

 

上海行きの飛行機を名古屋空港で待つ増田
若干、緊張気味か

 

 

上海に着いて、早速、展示会場に行く

 

 

我がKeePreのブースは信じられないくらい隅っこにあった。
ガックリしながらも、精一杯ブースを工夫する。

 

 

それでも、未来的大物の増田は元気であった。

 

 

今日、この後、私にとって信じられないようなことが有った。
その話は、出来たら明日書こう。
とても長い話になりそうである。

 

その話の主人公
ここに写っている人達は、皆一人残らず、
私達の、あるいは、私のものすごく身近な人達であった。
それは、信じられないほど身近な人達なのであったのです。

 

 

私も増田の明るさを見習わなくてはならないな。

 

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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