谷 好通コラム

2004年07月24日(土曜日)

4日間のご報告その3

サーキットで
何とか速いタイムを出したいと思ったとき、
思わず腕に力が入るし、
足にも力が入る。おまけに歯を食いしばっているときもある。
そして、コーナー手前では出来るだけギリギリまでブレーキを我慢して、
速いスピードコーナーに進入しようとする。
しかし、そんな努力をして
一生懸命りきんで走っても、ちっともタイムは上がらない。

 

タイムは、がんばってもダメなのだ。

 

たとえば
一つのコーナーを、可能な限り速く抜けようと思ったら、
コーナー手前で
その時の路面コンディションと、タイヤのコンディションに合わせた
理想的なタイミングでブレーキを踏み、
理想的な荷重移動をしながら、
理想的なタイミングで、ハンドルを理想的な角度だけ、理想的なスピードで切って
理想的なラインを描いて、理想的なスピードでコーナーに進入する。
そして
理想的なクリップポイントに車を着け、
その路面とタイヤのコンディションにあった
理想的なタイミングで、理想的な量だけアクセルを踏み込み、
オーバーステアも、アンダーステアも呼ばない
理想的なスピードとラインを描いて、最高のスピードでコーナーを脱出する。

 

極端な言い方をすればこんなこと。

 

力ずくでしなければならない事は1つもないし、
頑張らなければならない事も何一つない。
前後のGと、コーナーリング中の横のGに平気な顔をして耐えなければならないが、
それ以外に頑張ることはない。

 

“腕”に無用な力を入れたり、
“体”に無用な力を入れても、
疲れるだけであり、
一つの理想に近づくこととは関係ない。

 

サーキット走行をしていると、ストレート以外は、
一瞬の絶え間もなく、前後左右いずれかの方向に、かなりのGを受ける。
そして、後にすっ飛んでいく景色は、これはただの速過ぎる景色であるが、
“G”は、体力のない者からは冷静な判断力を奪う。

 

あえてもう1ついうならば、暑さとの戦いには勝たないといけない。
これは前提条件だ。

 

ただ、それに勝てれば、理想がどこにあるのか、
多分簡単に見えてくるのであろう。
だから、一つの理想の近くまでには、そんなに難しくなく行けるような気がするのだ。

 

私には、まだとても出来ないが、
だけど、一流のプロドライバーであったり、田中選手であったり、石川選手であったり、
ひょっとしたら畠中あたりでも、
そんな理想を、結構冷静に見えてしまっているのかもしれない。
もっとも、見えただけで100%実行できるかどうかは別問題だが。
見えていないことには話にならない。

 

私のようにチョッと走っただけで、バテバテになっているのは
体力が無いというだけではない。
強いGを受けるという非日常的な興奮と、
速過ぎる景色の流れに
腕から足から、体全体から力んでしまい、力むことによる筋肉の疲労から
バテテしまうのであろう。
バテ具合とは、そういう意味では“慣れ”に反比例するものかもしれない。

 

今回の練習は、
車に慣れること。
コースの走り方を覚え、慣れること。
そして、このコースから受けるGに慣れること。
もう1つ、速く流れすぎるこのコースの景色を見慣れること。

 

で、今回の結果はどうだったのか。

 

全然ダメであることはない。それはそれで十分に納得できた。
走った後も、まだ24時間を走りたいと思っている事が何よりの証拠だ。

 

私の1分38.8秒と、畠中の1分36.9秒はどうなのか。
もちろんぜんぜんダメである。

 

私達が走った2日目、
地元のレース好きの車であろう同じ型のインテグラで、
N1クラスの車が35秒台で走っていた。
私たちの車は、その車よりもはるかに改造範囲の広いNプラスだ。
そんな車より遅いなんて、話にならない。
しかし、よく考えてみると、
私たちの車は、24時間耐久に備えて
N1クラスとほぼ同じノーマルエンジンを積んでいる。多分馬力的には同等であろう。
しかし、私達の車はS耐用のエアージャッキを積み、100リットルタンクを積んで、
かなり重くなっている。
しかも、足回りのセッティングも、ファイナルギヤの設定もまだ済んでいない。
あちらは地元のドライバーで、
このコースを知り尽くしているのだろう。
そう考えると、少なくとも36.9秒はそんなにおかしいタイムではない。
いやいや、
比較の対象がそんなんではイカン。
私たちはスーパー耐久シリーズの十勝24時間耐久レースに出にきたのだ。

 

去年の24耐の記録を見ると、
フリー走行でNプラスクラスの車はトップクラスで1分30秒台を出している。
そのタイムに比べたら、38.8秒なんざ“アホ”で、36.9秒なんて“屁”である。

 

どういうことか、
やはりエンジンがノーマルであることが大きいであろう。
ノーマルエンジンは基本的に220馬力、
Nプラスのいつものインテグラは、カリカリチューンで、270馬力ぐらいあるという。
1周2~3秒は違うであろう。
それから、色々セッティング、これで1.5~2秒は違う。
24耐用のこの?17インテグラは、去年、田中選手や石川選手が乗っても
シャーシの戦闘力で1~1.5秒はハンディがあった。
これだけで、合計4.5~6.5秒

 

このようにハンディを考えると、
36.9秒は、32.4~30.4秒となるわけで、
ドライバーがまるっきりヘボというわけではなくなる。
(いいように考えすぎであるが)

 

私の38.8秒だって、“体重”と“おっさんの老化ハンディ”まで考えれば
そんなにヘナチョコであるだけとも言えない。
(いいのだ。いいように考えるのだ!(^^)!)

 

しかし、レースではハンディがもらえるわけではない。
真っ向からの勝負なのだ。

 

足回りとか、ファイナルギヤの設定などセッティングは、
田中選手、石川選手によってウンといい状態になるであろう。
私だって、もう2.3回コースを走れば、今よりもうちっとはマシになる(はず)。

 

でも、やっぱりエンジンがノーマルであるのは大きなハンディだ。
田中選手、石川選手でも、このハンディは大きいはずだ。
とは言うものの、
私たちと彼らではレベルがまるっきり違うのだ。
私達がハンディだと言っていることなど何のその、
びっくりするようなタイムを出してくるような予感もする。

 

こういう考え方もある。

 

この24時間レース、全部で800周以上を走るはずだ。
そして、田中・石川両選手の神業をもってしても、1周2秒遅かったとすると
2秒×800周=1,600秒=26分40秒
24時間で26分40秒分遅れることとなるわけだ、
しかし、24時間レースではトラブルなしで完走は絶対に考えられない。
必ず何度かピットに貼り付け状態になるはずだ。
1回15分で済むトラブルもあれば、1回2時間以上かかる大トラブルもある。
そんなことを考えると、
とにかく馬力は出ないが、無理もないノーマルエンジンでトラブルを少なくし
1周2秒、24時間で26分40秒をハンデイではなくする作戦が当たるか、
これは、やってみなければ分からない。

 

ラップタイムが少々遅くても、トラブルが少ない方が勝つのが24時間耐久。

 

トラブルが起きないように万全の整備をしてくれ、
トラブルが起きてしまったら、神業のごとく直してしまうのが、
頼りになるメカニックの人達

 

チーフメカニックは岩永さん。
(今回はたまたま載せられる写真が一枚もなかった。ゴメンなさい)

 

凄腕のメカニック野口さん

 

 

頼りにしてます!

 

 

先週のGT戦に出て、たまたまテストに残っていた「フェラーリ550マラネロ」
GT500クラスで1分18秒で走っていた。(化け物である。)
その走行音はF1そのもので、ウルサイったらあらゃしなかったのだ。

 

 

私はこっちの方が好きなのだ。

 

 

今までのステッカーをかなり剥がしましたので、
新しいステッカーを貼る場所がいっぱい出来ました。
スポンサーさん大募集です。

 

 

出発と到着が19日。
整備と、半日雨で泣いた20日。
スカッと晴れ上がって、2人とも3本ずつ走った21日。
私的には収穫十分であった。

 

そして、最後の日、22日
私と畠中、そしてメカニックの池永さんと野口さん
4人で、地元帯広で今回のレースに協力していただける
「帝北自動車」さんと「帯広石油」さんに訪問する。

 

帝北自動車さんには、予備の部品を大量に提供していただき、
帝北さんのオリジナル高性能オイル「Ash」を提供していただけることになった。
さらに図々しくも、軽トラックとか、エンジンクレーンとか、
何だかんだと思いつく限りの物をお借りしようと、お願いしてしまった。
(ひょっとしたらキャンピングカーまで貸してもらえるかもしれない。(^。^))

 

Ashオイルのお世話をしていただいた帝北自動車の相川次長と加藤部長。

 

 

帯広石油(愛称おびせき)さんには、
ワゴン車1台とハイオクガソリン200リットル入りのドラムと
ハイパワーポンプをお借りする。

 

最後の最後にいっぱい地元の方におねだりをして、帯広を立つ事にした。

スタッフは日勝峠越えで千歳まで車で行き、飛行機で帰る。
(チョッと時間が余ったので、ちょいと室蘭の地球岬まで観光に行ったそうだ。)

 

※スタッフの一人、マネージーの林真弥(マミ)、
22日にみんなで飲みに行ったら、とってもいい写真が撮れました。保存版ですぞ。

 

 

そして、ただ一人野口メカニックが帯広に残り、
KeePreインテグラのライト周りの取り付けとか、オイルのチェックとか、
何だかんだと残った整備をやってくれる。
ついでに?野口メカは、そのまま決勝が終わる9日まで残って(のべ20日も)
北海道を探索するのだそうだ。
(面白い人である。)

 

私と三日間手伝ってくれた札幌の高所長は、
列車に乗って、札幌へ。
夕方から、東京からやってくる鶴見部長を交えてのミーティング。
その日、早めにミーティングが終わって、
やっぱりみんなで飲むことになってしまった。

 

そして、そのまま私は札幌に残り、
23日、朝一番で地元の大手の会社に一つの仕事をしに行き、
昼の飛行機で、東京に行った。
そこで大切なお客様とミーティングをして、
夕方から皆さんと、「暑気払い」という飲み会をやった。

 

結局
19日、20日、21日、22日、23日と五日間連続で飲んでしまった。
それまでのダイエットは、当然の如く、ぶっ飛んでしまったことは言うまでもない。
只今の計量、89.8kg
そういう意味では悲惨な4日間、いや5日間であった。

 

みなさ~~~ん
十勝は、でっかいですよ~~~。
ムッチャクチャ気持ちいいですよ~~~~。
時間のある人ぜひ見に来てください。
応援してくださいなんて言いません。
お願いだから手伝ってやってください。猫の手も借りたいのです。

 

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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