谷 好通コラム

2004年09月16日(木曜日)

1020.なぜ洗車屋がない

海外によく出るようになって、最近思うことがある。
「なぜ、日本には洗車屋という商売がないのか。」

 

たくさんの国を見たわけではないが、
中国にも、フィリピンにも、韓国にも、台湾にも、話によるとアメリカにも、
洗車とかコーティングを専門でやっている商売が、
当たり前のように街角にあって、
よく利用されている。

 

日本のように、ガソリンスタンドの中で洗車をやっているところもあるが、
たとえば中国では、
ガソリンスタンドとは別の業者が、テナントのような形で入り、
洗車は洗車として商売をやっている。
韓国でも、台湾でもそういう形態が多いと聞いた。
そういう意味で言えば、
ガソリンスタンドの中に洗車屋が入っているということになって、
やはり洗車屋なのだ。

 

日本ではそういう形態はまず見られない。
まず、街角に洗車屋という存在はないし、
ガソリンスタンドの中の洗車は、
多くの場合、ガソリンスタンドが燃料販売の片手間として洗車をやっている。
しかも、ほとんど100%のスタンドで洗車をやっている。
しかし、それでも、
日本人の過半数以上の人は、自宅で、自分で洗車をしていて、
あるいは、コイン洗車場という場所と機械を借りて、やはり自分で洗っている。
あまりよくは知らないが、ヨーロッパもこんな感じのようだ。

 

日本には「“洗車屋”という商売がない」

 

洗車という商品は、
外国においては(この場合東アジア)
一つの業界を形成するだけのマーケットがあって、
日本には、一つの業界を形成するだけのマーケットがないのか。

 

乱暴なシミュレーションを作って見る。(数字的な根拠はほとんどない。m(__)m)

 

たとえば、
一般的なドライバーが一年間に10,000km走るとして、
その燃費が10km/?だとする。
とすると、年間に1,000?の燃料を使う。

 

今のガソリンの利益は自由競争の結果、1リットルあたりの利益は、
下手をすると5円前後の場合があり、
良くても10円/?前後、均すと8円/?あたりと考えたほうがいい。

 

とすると、一人のドライバーから
1,000?×8円=8,000円/年間の利益を、
ガソリンなど燃料からの収入として、ガソリンスタンドは得られるわけだ。

 

今、全国の車保有台数が約5,400万台。
その中には営業者がたくさん含まれているので、
自家用乗用車よりもたくさん走り、燃料もたくさん使用するだろうが、
ここは乱暴に、全部自家用車と考えてしまうと、
8,000円×54,000,000台=432,000,000,000円(4千3百2十億円)
これに、全国約4万件のガソリンスタンドで割ると、
432,000,000,000円÷40,000軒=10,800,000円/年間となる。
営業車がこれにプラスアルファの値を乗せ、
産業用、家庭用の暖房用の燃料が加わり、
もう二回り大きな数字になるが、
小売店レベルでの燃料のマーケットサイズは、せいぜい年間1兆円止まりであろう。

 

車の燃費が上がってきて、10km/?が当たり前となり、
ガソリンスタンド業界の販売の自由化で、
低い口銭レベルで考えざるを得ない今の状況を考えると、
こんな感じになるのではないだろうか。

 

それに対して洗車はどうだろうか、
洗車の場合はちょっと複雑である。
洗車に対する欲求が、ユーザーそれぞれによって大きな幅があり、
単純に計算できない。

 

しかし、
すでにガソリンスタンドなどで売られている洗車だけでも、
燃料油から収益に対して、それなり規模の収益が存在することは、
一つの事実としてある。
燃料油収益の半分と考えても良いぐらいあるのだろう。
しかし、
ここの部分については、
すでに“スタンドでの洗車”として、
昔からある今まで通りのスタンド洗車の範疇の中では
開発が十分にされているわけで、
これからまた飛躍的に伸びていくマーケットとは思えない。

 

洗車には、“好みの多様性”があって、
洗車の欲求のすべてが解発されているわけではない。
ガソリンスタンドが昔からの洗車として開発した客層の持っているマーケットの他に
じつは、
注目すべきマーケットがある。
○スタンドの洗車には満足していず、もっと綺麗にしていたいので
○自分の車は、自分で洗ってはいるが、
○洗車をすることが好きなわけではない。
○自分を満足させくれる綺麗さを実現してくれる店があるのなら
○そういう店で洗って欲しい。あるいは磨いて綺麗にして欲しい。

 

これは快洗隊を利用している客層である。

 

快洗隊に来ているユーザーは、
1回当たりの来店での平均洗車単価が5,000円~6,000円もある。
これは、車を洗うだけではなく、磨いてもらったり、掃除してもらう
車を綺麗にするすべてのサービスを受けた平均値である。

 

そして固定客の来店頻度は、1.2ヶ月に1回ぐらい。

 

こういう顧客が、全体のどれぐらいを占めているのだろうか。
意識調査においては約30%の人が、
このような高品位な車を綺麗を提供する店を望んでいるのだが、
なにせ、車の綺麗に1回平均5,000円を出せる人は、
その3分の1と考えたほうが妥当かもしれない。
しかし、かなり少なく考えても、ユーザー全体の10分の1以上はいる。
快洗隊での経験からして、これぐらいは絶対にいると実感している。

 

一人の年間綺麗料 5,000円×1/1,2×12ヶ月=50,000円/年
そういう人が、5,400万台×10%=540万台いて
5,400,000×50,000円=27,000,000,000円 (2千7百億円)

 

これは立派に一つの業界を形成しうるだけのマーケットである。

 

洗車屋の可能性について話をするときに必ず、
「日本国中のガソリンスタンドで、洗車はやっている。
いまさら洗車屋なんて、そんな洗車市場に入り込める隙間なんてないのではないか」
と言われる。

 

確かに、日本国中のスタンドに高価な設備である洗車機が導入され、
それなりに稼動している所を見ると、
そう思えるかもしれないが、
スタンドでの洗車機を使った洗車は、そういう種類の洗車であって、
その形態の洗車に満足している人もいれば、
満足していない人もいる。

 

現に自分で洗ったり、磨いている人が全体の半分以上であり、
その中には、好きで、自分で洗っている人もいるだろうが
好きではないが、仕方なく自分で洗っている人もあって、
そんな人は、
満足できるような洗車、車の綺麗を売っている店が存在しているのであれば、
是非やってもらいたいと思っている。

 

そんな人が、
多分、スタンドでの洗車に満足している人よりも多いと感じる。
だとするならば、
隙間がないどころか、
手付かずの大きなマーケットが、
野ざらしになっていると言った方が正しい。

 

そういう意味で、
日本に洗車屋が存在していないことの方が、
むしろ不自然だと思わざるを得ない。

 

 

高価な自家用車を買えるだけの豊かさが、
一部の特殊な人にだけでなく、一般の普通の人たちにあって、
何よりも綺麗好きである日本人の国に、
技術に裏付けられ、
高付加価値な洗車とか磨きによる“車の綺麗”を売る商売
つまり“プロの洗車屋”が日本にこそ存在することのほうが自然である。

 

?快洗隊の代表・畠中が言っている。
「日本において、昔は、洗濯は自分でするものだった。
それが今では、洗濯屋さんに洗濯を頼む。
特に良いものは洗濯のプロである洗濯屋さんに任せるのが当たり前になっている。
車だって、プロの洗車屋さんに頼む。
特に大切な車は洗車屋さんに頼むのが当たり前。そんな時代が来る。
そう信じて、プロの洗車屋のさきがけになりたいと思っているのです。」

 

そして、これは洗車屋がない日本において言えるだけでなく、
中国のように、
無数の洗車屋が存在はしているが、
技術的にまだ未熟で、
経済の発展に伴って車が高級化しているのに、
洗車屋がそれに着いて行けていない国においても、
プロの技術を持った「プロの洗車屋」の存在が、
今、大きな可能性を発揮し始めている。

 

上海でオープンした車聖快洗隊。
何やらすさまじいことになっていると、酒部部長から聞いた。
22日からまた中国に行ってくるので、
その時にその実態を是非見てきたい。

 

そして、プロの洗車屋をガソリンスタンドの中に実現できたら、
どんなに素晴らしい結果になるだろうかとも思う。
整備屋さんもそうだし、鈑金屋さんもそうだ。
プロの洗車屋を自分の店舗の中に、自立させたら、どんなに大きなビジネスになるか
それを実証するような事例が次々と出ている。
洗車屋はいろいろな車に関する商売との相乗効果が大きい。

 

それを思うと、ぞくぞくとする。

 

今日は、朝7時過ぎの新幹線で東京に行き、
今は、夜9時半過ぎの終電一本手前の新幹線に乗って名古屋に向かっている。
遅すぎる駅弁での晩飯が腹にもたれている。
やっぱり「うなぎ弁当」は重すぎたか。

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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