谷 好通コラム

2004年10月25日(月曜日)

1047.ショートレビュー

今日は朝から事務所で仕事。
こんな日は必ず嵐のような一日になる。
次から次へと来客があり、本社スタッフも山ほどの懸案事項を持って、
私のところへやってくる。

 

午前中、ショートレビューの報告会があった。

 

監査法人が、私たちの会社の経営状況を
何人か掛かりで3日間にわたり調査をして、その結果を報告する会。

 

監査法人とは、
株式の公開を目指す会社を
公開申請の前3年に渡って会計監査を行って、
店頭公開に耐えうる会社になるように管理手法を指導し監査する。
公認会計士が主体となり、
3人位のチームで、商法に従って厳しく指導し、
監査基準に合致し、一般の投資家が安心して投資できるような
経営体制を作っていくのだ。

 

監査法人による審査で、認められなければ、
株式の店頭公開は出来ない。
それだけ権威を持った存在であり、
公認会計士とは、法律の世界で言えば弁護士。
商法、税務などに関わる最高の資格である。

 

ショートレビューとは、
監査法人が、この会社の正式な監査を引き受けるかどうかの
前調査に当たる。
言ってみれば入学試験のようなものだ。
担当してくれたのは「トーマツ」という、日本一大きな監査法人である。

 

 

その報告書は全56ページに渡り、
微にいり細にいり、くわしく、かつ大胆に
この会社の問題点について指摘してあった。
かつ、これから何を整備してどうしていけばいいのか、具体的に指摘してある。

 

ショートレビューとは、
会計監査を受ける会社にとっては入学試験のようなものでもあるが、
監査法人にとっては、会社に対する営業の性格も持っている。
このショートレビューによって、
店頭公開を目指す会社が、監査法人をどこにするのか選択することにもなる。

 

会社と監査法人との、これはお見合いのようなものでもあるのだそうだ。

 

 

今まで何度かコンサルティングに掛かったことがあるが、
その中には、契約までの営業だけが一生懸命で、
コンサルティング料を払ったが最後、形だけのコンサルティングでお茶を濁し、
時間だけがダラダラと過ぎて
とにかく仕事は早く済ませてしまおうという姿勢丸出しという場合もあった。
そんなエセコンサルティングと比べるまでもないが、
さすが、最高の資格を持った監査法人のチームは、
最高に仕事が速く、隙のない仕事をするようだ。

 

監査法人による会計監査の費用は、決して安くはない。
高いコストを必要とするが、
能書きだけではなく、具体的な仕事をしてくれ、
具体的に店頭公開に耐えうる会社を作り上げていく力をもった存在と感じた。

 

しかし、ショートレビューを受けたからといって、
株式の店頭公開が出来るかどうかとはまったく関係ない。
その可能性が少しでもあるというだけのことで、
いずれにしても、不確定な将来の話であり、
何か約束されたものでも何でもない。

 

 

しかし、それにしても
これからやらなくてはならない事が、はっきりと見えてきた以上、
のんびりと漠然として仕事をしていく訳には行かなくなる。
具体的に一つ一つ改革して行って、
頑強な会社を作り上げていかなければならない。

 

平穏な生活とはさらに縁遠くなっていくわけだ。

 

たくさんのすごい人達が、
この会社に関わってきて
私達が20年前に作ったこの会社も、
私の会社ではなくなって、いよいよみんなの会社になっていく。

 

今までになく勉強になり、覚悟を決めるに十分な一日であった。

 

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2004年10月25日(月曜日)

1046.ビジネスクラスだ。

※また書いている間に日付が変わってしまいました。
これを書いたのは25日ではなく、24日です。

 

昨晩、水差しに、飲用の湯ざましではなく
ただの水道、上海のそのままでは飲めない水道水が入っていて、
それをうっかり飲んでしまい、
お腹の調子がおかしくなったと書いた。

 

あれは間違いであった。

 

あれを書いてベットに入ったら、あっという間に寝てしまって、
朝までまったく気がつかず熟睡し、
起きた時にはお腹は何ともない。
寝る前にお腹が痛くなったのは、水のせいではなかったようだ。

 

考えて見れば、昨日の夜
上海のメンバーたちと晩御飯を食べた時、
ちょっと食べ過ぎたようである。
事務所の近くの小さなレストランは、メニューに安い値段が並んでおり、
たくさん頼みすぎ、食べ過ぎた。

 

今、これを書いているのは、上海から名古屋に帰る飛行機の中。
私は恥ずかしながら元・気・である。

 

上海のホテルの客室係の人に
とんだ濡れ衣を着せてしまったようだ。
昨晩お腹がおかしくなったのは、
水が悪かったのではなく、ただ単に私が食べ過ぎた。
だけのようであった。

 

今回の帰りの飛行機はビジネスクラスのシートに座っている。
上海に仕事に行くようになってから初めてのことである。

 

上海⇔名古屋は2時間ぐらい。
北京にしても、
香港、大連、広州にしても
だいたい2時間ぐらいのフライトなので、エコノミーで十分。
アメリカとかヨーロッパへの超長距離ではないので、何の苦痛もない。

 

しかし、今回は一度ビジネスシートに乗ってみたくなって、
そのようにオーダーするように荻野に言ったら、
“片道だけ”ビジネスを取ってくれた・・
片道だけである。(シビア~)

 

上海空港では、今回も苦労した。
ホテルを朝7時に出発して、
おとなしそうな顔をしていた運転手のタクシーに乗ったが、
やっぱり暴走族のような運転で、

 

 

空港には7時30分ごろ到着。(めちゃくちゃ早かった。)

 

余裕しゃくしゃくの筈であったのだが、
チェックインカウンターには、団体さんが無数群がっており、
いやな予感がした。

 

飛行機の便と目的地とチェックインカウンターが表示してある掲示板で、
カウンター番号を確認した後、
Fカウンターに向かう。

 

カウンターの前には、人はいない。
「オーッ、やったー」と喜んだが、
なんとカウンター前には、何十個というボストンバックが並べられているではないか。
これは団体さんが、添乗員さんにチェックインを任せて
みやげ物でも買いに行っている現象だ。
カウンターの係員のお姉さんが、のんびりボストンバックにタグを付けている。
人の並んでいないカウンターの前で、
私はひたすら荷物の受け入れ作業を待つだけ。

 

それでも4.5人個人客が私の後ろに並んだが、
私と同じようにただ待つだけ。

 

その内にもう一つ団体さんが大挙してカウンター前に現れた。
そして、私たちの横にずらっと並んで
その添乗員さんは、カウンターの係りの人に横まで行って、
大量のチケットを整理し始めた。
そして、馴れ馴れしくカウンターの係りの人に話しかけ始める。
いかにも図々しそうなオッサンであった。
20分ほどして、最初からあったボストンバックの受け入れ作業が終わって、
さぁ、次の人。となった時に、
やおら、後から来た団体さんの添乗員のオッサンが
大量のチケットを出そうとするではないか。
冗談ではない。

 

「おいっ、ちゃんと順番を守れよっ!」
そう怒鳴ったのは、私ではなく私の後ろの個人客であった。

 

そうしたら、
その添乗員のオッサンが、
「私は早くから来ていますよっ」と言うではないか。

 

カッチーンと来た。
「バカヤロー、お前、あとから来たじゃないかっ。ふざけんじゃねーぞ」
と声が飛ぶ。
このガラの悪い怒鳴り声の主は、私である。

 

そのあとのオッサンの言うことが憎たらしい。
「ハイ、ハイ、お先にっどうぞ」と来た。

 

くっそーと思いながらも、
こんなのいつまでも相手にしていてもしょうがないと思って、
私は、さっさとパスポートとクーポンチケットをカウンターに出した。
・・・・
そうしたら、クーポンを見て係員のお姉さんがけげんそうな顔をしている。
言うことには
「お客さん、これはビジネスクラスですから、向こうのカウンターに行って下さい。」

 

そうしたら、オッサンが言う。
「ビジネス!いいですねー、向こうのカウターに行けばすぐやってもらえますよっ
向こうの79番カウンターですよっ」

 

後のお客さんが言う。
「いいじゃないか、ここでやってあげればっ」

 

そうだそうだと思って、
係りのお姉さんの顔を見たら、困った顔をしている。
どうも、エコノミーのカウンターでは、
ビジネスクラスのボーディングチケットは出せないようだ。

 

情けないことに
私はビジネスクラスなんてほとんど乗ったことがないので、
いつもの調子で、エコノミーのカウンターに並んでしまい、
20分も並んだ上で
団体の添乗員の横暴ぶりに頭に来て、
怒鳴りつけたのに、
「ビジネスクラスはあっち・・・」とやられてしまったのだ。

 

スゴスゴと言われたビジネス専用のカウンターに行くしかない。
下を向いて、唇をかんで歩き始めた私の背中に、
「79番だよ~」と、あのオッサンの声が響く。
私は情けなくて、
涙が出そうになってしまった。

 

それでも“ビジネスクラス専用のカウンター”で、
とりあえずチェックインを済ませたのは、もう8時を大きく回っている。
入管の審査を受けるために、
イミグレーションの入り口に行く途中、あちこちで大きな団体さんの群れを見た。

 

 

いやな予感どおり、イミグレーションはあふれんばかりの人で埋まっていた。
「はぁ~~~~」
私はため息を着くしかなく、とりあえず一番短そうな列の一番後ろに並ぶ。

 

そして、毎度の割り込み。
イライラしながらも、ここでモメても仕方ない、じっと我慢して列に並ぶ。
やっとのことでイミグレーションを通過したのはその30分後。
8時半を回っている。
「中国当方航空のMU529便のお客様は○○番搭乗口から・・・・・・して下さい。」
という場内アナウンスを聞いたのは、
イミグレーションを通過する直前であった。

 

「これだけ混んでれば、時間通りに客が集まりっこない」
そう思って、ゆっくりと登場口に歩く、足が痛い。

 

搭乗はバスに乗ってであった。
バスはある程度客が集まらないと出発しないので、
やっぱり遅れている乗客を待ち、私はバスの中で立ったまま30分近く待った。

 

やっと飛行機に搭乗したのは定刻の9時を回るころであった。
やっとのことで座ることが出来る。

 

さすがにビジネスクラスのシートは大きく座り心地もいい。
客室乗務員が、
早速飲み物を持ってきてくれた。
“ウェルカムドリンク”って奴である。

 

何年か前に乗ったビジネスクラスでも、こうであった。
たしかあの時に出たのは“シャンパン”と“オレンジジュース”
そのどちらかを取るのだ。
今回も客室乗務員が持ってきたのは
「透明な液体が入ったコップ」と「オレンジジュースらしきコップ」
私は迷わず“シャンパン”であるはずの「透明な液体が入ったコップ」を取った。

 

2時間近く立ちっぱなしで、やっとゆったりと座ったのだ、
シャンパンぐらいのご褒美があってもいい。
私はため息をつきながら、“シャンパン”を飲んだ。
ゴクリ。
残念ながら・・・・・・・、
それは“水”であった。
それも、冷えていないヌルイ水であった。

 

情けない。

 

 

上海は、大晴天であった。
もう十回以上、ひょっとしたら二十回以上も上海にやってきて、
私は、上海の青空を見たことがなかった。
いつもねずみ色に濁った空しか、上海では見られないと思っていた。
ところが、今回は2日とも晴れ上がり、
見事な青空を見ることになったのだ。

 

※今日の(24日)の朝6時にホテルから撮ったもの。

 

 

なんか上海にあったのだろうか。
それとも非常に珍しいタマタマであったのだろうか?
上海の青空。
はじめて見たものである。

 

ホテルの下に見えた「静安寺」。
朝6時と言うのに、もう鐘が鳴って、太極拳をやりに来ていた。
朝早いのは、結構つらいのです。

 

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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