谷 好通コラム

2005年09月05日(月曜日)

1242.ちょっとレクサス

本来ならば、今日は10年後の「会社編」を書くはずであったが、
かなりエネルギーを要しそうであるので、
ちょっと寄り道をする。

 

今日の午前中、
事務所で三カ年計画の資金政策を完成させたあと、
(やっと出来たのだ!(^^)!)
たまたま向かいの?快洗隊事務所にいた畠中君と村藤君を誘って、
レクサス刈谷店に行った。

 

 

と、言っても、
「レクサス」に私が買うような車があるのだろうか。
というより、私はレクサスから車を買う気になるだろうか。

 

「レクサス」とは「LEXUS」
北米において、「トヨタ」とは一線を画したプレミアムブランドとして大成功をしている。
「LEXUS」とは、
「トヨタ・LEXUS」ではなくて、「LEXUS」なのだ。
トヨタより格上のブランドとして、
「ベンツ」「BMW」「アウディ」「ジャガー」などのプレミアムブランドと並び、
今では、それ以上の品質を誇るトップブランドとして、
世界に通用している。

 

ロス アンジェルスのトニーも、
自分の車を「これはレクサスです。」と言う。
「トヨタのLEXUSです。」とは言わないのだ。
どうも、トヨタとLEXUSは別のブランドのようだ。

 

日本の「セルシオ」が、「LEXUS LS430」であり、
「ウィンダム」が、「LEXUS ES300」
これが十数年前にアメリカでLEXUSブランドが立ち上がった時の車、
そのあと、「アリスト」が、「LEXUS GS350?」で、
「ソアラ」が、「LEXUS SC」
「アルテッツァ」が、「LEXUS IS」
「ハリアー」も、名称は忘れたがアメリカではLEXUSブランドになっている。

 

日本のLEXUSは、
「アリスト」がフルモデルチェンジをして、「LEXUS GS350&430」となり、
「ソアラ」は、マイナーチェンジで「LEXUS SC」となった。
そしてもうすぐ、
フルモデルチェンジを機に、「アルテッツァ」が「LEXUS IS」としてデビューする。
本命の「LEXUS LS430&500?」、
つまりセルシオは来年のデビューだ。
「ウィンダム」と「ハリアー」は、日本のLEXUSにはならないようだ。

 

日本のLEXUSと、北米のLEXUSは同じなのだろうか。

 

私の認識としては、
北米において、
トヨタのブランドで売られていたのは、
「カムリ」とか「アバロン(日本名プロナード)」「カローラ」「ヤリス(日本名ビッツ)」など、
エンジンの大きさなどに比べて室内容積が大きな、
元々のアメリカの嗜好の車種である。

 

特に「プロナード」は、私も乗ったことがあるが、
この車はいまだに大好きだ。
室内は「セルシオ」よりも大きく、特に後ろの席の広さには誰もが驚いた。
まさしくビックサルーンである。
エンジンは3000ccV6。
ボディの大きさの割に車重が軽く、
特に軽いエンジンで車の頭が軽く、軽快な走りであった。
FFであったが、それは荷重移動を自然に使えばまったくハンディではない。
オールレザーのベンチシートで6人乗り。
コラムシフトが慣れると非常に良かった。
VICS付きのNAVIが標準で付き、
これで定価が約320万円。
極めて不人気車であったので値引きも大きく、たしか50万円ぐらい引いてくれた。
だから、270万円ちょっとである。

 

セルシオの半分以下の値段で、
セルシオよりも軽快で広々とし、
充分な装備を持った車が買えたのだ。
私には、今でもこの車がベストであったと確信を持って言える。

 

ではLEXUSブランドの車とは、北米ではどのような車であったのか。
それはベンツであり、
BMWであり、アウディのような存在ではなかったのだろうか。
欧州車のように、車のサイズの割に大きな馬力のエンジンを積み、
高速に耐えられる高い精度の、つまり剛性の高いボディに
高速安定性に優れる締まった足回りを持ち、
比較的タイトで、品質感の高い室内を持った車。

 

そして、トヨタのその世界トップレベルの生産管理で、
高品質のままコストダウンに成功しているがために、
ベンツより、BMWより、アウディより安い車。

 

それがLEXUSであったような気がする。

 

これで売れないわけがない。
北米は、ドイツのアウトバーンのように200km以上で走るような道はないが、
それでも広い国土を持ったアメリカでは長距離高速クルージングは、
日常茶飯事。
アメリカ車の元々の良さはあっても、
欧州車の走りの良さは、アメリカでは日本以上に受けたのだろうと思う。

 

あとはブランド力である。
ベンツ、BMW、アウディなどが持つプレミアム性は、
安い大衆車メーカーであったトヨタにはない。
しかし更なるシェア拡大を目指すトヨタが、
利益率の高い高級車の世界で負けるわけには行かないのだ。
すでに高いプレミアム性を持った欧州メーカーに立ち向かっていくためには、
安い大衆車メーカーのイメージをすでに持っている「トヨタ」ブランドを、
大衆車を持ったまま、一からイメージを上げていくのは効率が悪いと考え、
トヨタとはまったく切り離したブランドとして「LEXUS」を立ち上げたのではないか。

 

ディーラーの店舗から、営業マン、サービスにまで、
トヨタとはまったく違った次元でプレミアム性を持たせるものを構築して、
トヨタとは別のLEXUSブランドを作り上げたのだ。
これは、大成功であった。
高品質の車が、高品質のディーラーで、高品質のサービスを受け、
高いブランド性を確保しつつ、
ベンツ、BMW・・などよりも安かったのである。
成功しないわけがない。

 

その後、ベンツはLEXUSに対抗すべく大幅なコストダウンを図ったが、
これはストレートに、深刻な品質の低下を産み、
ドイツ本国においても、ユーザーの信頼性を大きく落としてしまった。
それが日本ではあまり問題にならなかったのは、
時速100km制限で、
200kmどころか120km以上で走る機会もほとんど無いからである。

 

では、アメリカの「LEXUS LS430」は、日本の「セルシオ」と違う車であったのか、
もちろん同じである。
日本で売られていたセルシオも、アリストも、ソアラも、
LEXUS ○○とまったく同じ高品質を持った車である。

 

最高の品質と、最高のサービスをもったLEXUSが、
欧州のプレミアムカーより安くも買えることで、北米では大成功をした。

 

一方、日本においては、
かの昔には日本車の同クラスの車より2倍も3倍もの値段の
ベンツなどの欧州のプレミアムカーが、
自動車輸入に関わる関税の撤廃などによって、
日本車のそれにかなり近い値段になってきた。

 

元々、日本人はブランド志向が異常なほど強く、
ブランドの定番であるルイ・ヴィトンなどは
日本人が世界中の半分ほどを買っているという話を聞いたことがあるくらいだ。
そんなブランド大好きな日本で、
世界のプレミアムカー、ベンツ、BMW、アウディなどが、
国産車に比して、それほどかけ離れた値段ではなくなってきたのだから、
売れないわけがない。

 

年々輸入車の販売台数が増えてきた。
それも、最も利益率の高い高級車クラスでそれが顕著であった。

 

それに危機感を覚えたトヨタがとった対抗手段が「LEXUS」である。
と思う。

 

車自体の品質では、トヨタは世界一と言ってもいいだろう。
あとは店舗、営業マン、サービスである。
これを一挙にレベルアップして、
LEXUSで世界のプレミアムブランドを圧倒しようというのだ。

 

しかし日本では、プレミアム性の高いブランド作りにおいて、
もう大事なことがある。
“高いこと”だ。

 

ルイ・ヴィトンにしても、カバンとしてはトップの品質を持っているわけではない。
時計のトップブランド、ローレックスでも、
時計という機械としてみれば断然トップの品質を持っているとは言いがたい。
これらのブランドとしての最も高い価値は“値段が高い”ことである。
そして、それを誰でもが知っていることである。

 

車の世界においても、
世界中がトヨタの品質がベンツとかの品質を凌駕していることを知っている。
それでも日本においては、
ベンツとかのブランド性がトヨタを上回っているのは、
“高いから”なのではないだろうか。

 

LEXUSが、セルシオをフルモデルチェンジしてLS430とした時、
値段が20~30%上がると聞いた。
その時、
アメリカにおいての新LS430も20~30%値上げするのだろうか。
したならば、
車自体が、値上げの分、性能とか品質が上がったという意味であり、
しなければ、
車は同じだが、値上げ分は新しいLEXUS店舗分であり、
営業マンの再教育分、サービスの向上分、
そして、“高いから高級品”のブランド分である。

 

LEXUSは本当にいい車だと思う。
しかし私は車としていい車に乗りたいとは思うが、
高いからいい車、威張りたい車には乗りたいとは思わない。
残念ながら、私にはプレミアム分を余分に払ってまで、
この日本のLEXUSに乗りたいとは思えなかった。

 

日本において、北米でのような成功をレスサスは勝ち得ることが出来るだろうか。
LEXUSは、北米では、
最高級のプレミアムブランドであり、より安い車であった。
日本では、
最高級のプレミアムブランドになって今までより高くなった。
日本人の高いもの好き心理が、どの程度なのか、
それが日本でのLEXUSの成功の鍵を握っているような気がした。

 

新車納車のためだけの特別なブースです。

 

 

素晴らしくきれいで美しいサービスピット。

 

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