谷 好通コラム

2005年10月29日(土曜日)

1276.700億円プラスα?

10月中旬に愛知県岡崎市にオープンした快洗隊・岡崎店は、
一つ先を見た快洗隊だ。
350万台×50%~70%×四万円=700億円プラスα。
このマーケットがターゲット。

 

350万台とは、
日本の乗用車の新車登録台数。
その内の50%~70%の車が何らかの超長寿命のコーティングを、
新車購入時に買っている。
その平均単価を四万円と仮定した。

 

今、カーディーラーで新車の見積もりを取ると、
最初から「コーティング」が見積もりに組み込んである。
もう5年位前からのことであろうか。
最初の頃、私たちはこの現象を大したことはないと思っていた。
使っていたコーティング剤も大したものではないのに
「5年間保証」を謳い、ユーザーとのトラブルの元にもなっていたぐらいだ。

 

日本のあるケミカルメーカーが、
この手のコーティングが、ノーワックスで5年間も艶が落ちないと宣伝しているのは、虚偽の宣伝であり、
これによってワックスユの売り上げが減ったとして訴訟を起こし、
一審で勝訴。一般の新聞にも取り上げられた。
しかし、二審において逆転敗訴。今現在、控訴審にて争われている。
その効能についてまだまだ問題が多い物だ。

 

カーディーラーの副業として始められたこの怪しげな超長寿命コーティング、
いずれは消え去っていく物と、
我々はタカをくくっていたのだが、
ここに至って認識を新たにしている。

 

何年も、新車の見積もりの中に当然のようにコーティングが入れられ、
それがどのディーラーの見積もりにも必ず入っていると、
既成事実の積み重ねというのだあろうか、
それが当たり前のようになってきて、
新車時のコーティングの実施率がかなり上がってきているようなのだ。
最近やたらと、
「NO WAX ○○Coating」などと書いたあるステッカーが目に付くようになって来た。
特に新車には、軽自動車までも含めてかなりの確率で貼ってある。

 

「みなさん、やっていますよ。」の言葉は、
素人ユーザーにとって殺し文句である。
みんながやっている事を、
「やらない理由が無い」自分がやらない理由がない。
ましてや、値引きの交渉の中で、
「この4万円のコーティングをやっていただければあと2万円値引きします。」
などとやられるとイチコロである。

 

かくして、カーディーラー発の新車時施工のコーティングが、
急速に市民権を得てきている。
これはもはや無視するべきではない状況に至っているのだ。

 

それが、350万台×50%~70%×四万円=700億円プラスαということである。

 

私たちは、これに対して
ガラス結晶を塗装上にメッキ状態で貼り付けていく「アクアキーパー」を世に出してきた。
これは、一度施工すれば1年ごとのメンテナンスで半永久的な寿命を持っており、
「汚れない」「洗い易い」など独特の特徴を持っていて、
施工ユーザーにも圧倒的な支持を受けている。
私自身も自分の車に施工し、1年経っても2年経っても、
“水洗い洗車だけで水垢がまったく着かない”「アクアキーパー」の威力に
驚いている一人である。
また、快洗隊直営店でも安定した施工台数があり運営に大きく寄与している。

 

しかし、私たちの努力が足りないのか、その普及のスピードは遅い。
まだまだとてもメジャーな存在になっているとは言い難い現状である。

 

アクアキーパーは一般のコーティングのように、
コーティング剤を手あるいはスプレーガンによって塗布していく物ではなく、
水の中にガラスの成分を溶け込ませ、
それを車のボディに吹き付けていく物で、
“コーティングをしているという実感があまりない”手法をとっている。
それが違和感を持たれるのか。
あるいは「水を弾かない、むしろ親水に近い状態になる」ことが、
水はじき大好きの日本人になかなか受け入れられないのか。
しかし、アクアキーパーの良さは素晴らしいもので、
特に白色車における「汚れない効果」はまさに圧倒的である。
それは使ったユーザーが一番よく知っている。

 

しかし、いずれにしても、コーティングは感性に訴える物であり、
アクアキーパーの良さを一方的に伝えているだけでは
独善的な落とし穴に落ち込んでいくばかりである。

 

「親水」が好きな人もいれば、「撥水」が好きな人もいる。
「自然な発色」が好きな人もいれば、「輝き」が好きな人もいる。
素直にユーザーの好みの多様性を受け入れるべきであろう。

 

そう考え、約1年前より、
アクアキーパーに対して
「塗るタイプ、しかも撥水型のボディガラスコーティング」の開発にも着手した。
ドイツ最大のカーケミカルメーカーSONAXの全面的協力を得て
開発は順調に進んだ。
順調と言っても、開発したケミカルサンプルは実に29種類にも及び、
テストに要した車の台数も数え切れないほどだ。
社有車、社員の車はもちろん知り合いの車まで動員してのテストである。
こうして出来上がったのが20種類目のケミカル「VP-20」。
これが結局、一番成績が良かった。
現在の日本における超長寿命タイプのどのケミカルに負けるものは無いと自負する性能だ。
名づけて「ダイヤモンドキーパー」。
SiO2ガラスの組成構造に、Fをたくみに組み込んだ最新の化学の成果である。
今年中にも正式に発表にこぎつける予定である。

 

この「ダイヤモンドキーパー」と
「アクアキーパー」を軸とした店造りを考えたのが快洗隊・岡崎店である。

 

快洗隊・岡崎店は真っ白に内部を統一した大きなピットを6台分備えている。
店舗の各部について、品質の高さを強調した店作りだ。
そして「極上の手洗い洗車」を入り口とし、
4万円台から8万円台の「ダイヤモンドキーパー」と「アクアキーパー」を
終着商品として、
高度な研磨技術を身に付けた村藤マネージャーを中心に、
2名の社員と3名のアルバイトで10月中旬オープンしている。

 

出足は極めて順調であり、
ダイヤモンドキーパー・アクアキーパー共に予約が順調に入り、
毎日施工に追われている。

 

カーディーラーが副業で始めた超長寿命コーティングを、
本物の域にまで成長させた上で
この快洗隊・岡崎店では、本業のひとつとしてスタートしたわけだ。
ここでのノウハウを蓄積し、世に「ダイヤモンドキーパー」をご紹介する日は近い。

 

7万5千軒の洗車事業が繰り広げられているアメリカ。
そこで得られている巨大な洗車ビジネススケールの約半分のスケールの日本において、
日本の「自分で洗う人たち」を、
高い洗車技術で「洗ってもらう人たち」に変える。
そんな意味を持っているのが極上の手洗い洗車、快洗隊、キーパーであり、
その普及が私たちに課せられた使命と考えている。
それに加えて、
日本独特の嗜好である超長寿命コーティングという商品を、
不完全なまま、カーディーラーの副業に独り占めにさせてはいけないと考えた。

 

カーディラーは新車に対する施工だけであり、
経年車に対する施工はしない。
また、2回目、3回目の施工もしない。
また、コーティングの施工をほとんど外注任せにしている現在のカーディラーでは、
サポートの面において非常に不安である。
この新しい洗車文化を、
SSをはじめとする我々が担わないわけには行かないのだ。

 

「ダイヤモンドキーパー」とアクアキーパーを、
新たな洗車ビジネスの柱として、
SSをはじめとする我々の世界で育て上げて行きたい。
それが新しいコンセプトで作り上げられた快洗隊・岡崎店と
「ダイヤモンドキーパー」の使命なのであると考えている。

 

オープン前、真剣に過酷な磨きの研修に励む村藤マネージャー達。
経年車に対する「ダイヤモンドキーパー」の施工には、
この技術が必要なのだ。

 

 

快洗隊・岡崎店の真っ白な大きなピット

 

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2005年10月29日(土曜日)

リターン・トゥ・フォーエバー

昨日書いたコラムの中で、
映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のことを
「リターン・トゥ・フォーエバー」と書いてしまった。
もちろん、これは間違いである。
訂正させていただきたい。

 

しかし、それにしても「リターン・トゥ・フォーエバー」とは、
何と懐かしい名前を書いてしまったのだろう。
これはジャズのアルバムの名前である。

 

もう何年前であろうか、
多分、私が高校生のころであったと思う。
友達の鈴木貫立君から、
ジョン・コルトレーンの「マイ・フェバリット・シングス」というジャズの曲を聞かされて、
それがきっかけで、
私は、すっかりジャズに狂ってしまっていた。

 

それから何年かは、ジョン・コルトレーンは私の神様であった。
ありとあらゆるコルトレーンを聴き、
特に「OLE」というアルバムは、何百回となく聴いた。
通ったジャズ喫茶では、
マスターが私の顔を見ると、かならず「OLE」をかけてくれたものだ。

 

ああ、懐かしい。
久しぶりにそんなことを思い出した。

 

そんな私が、
たしか、これも鈴木貫立君が教えてくれたものであったが、
エレクトリックピアノで何とも新鮮な曲を演奏していたチック・コリアの
「リターン・トゥ・フォーエバー」と出会ったのは、
私にとって大きなカルチァーショック。
その軽やかなメロディーと、爽やかさは、
わけの分からぬ哲学者にように神妙な顔をして、
ジョン・コルトレーンに閉じこもっていた私を、爽やかな高原にひきづり出してくれたのだ。

 

これを演奏したチック・コリア率いる「サークル」というグループは、
わずか一年で解散してしまい。
私にとっても、チック・コリア=「リターン・トゥ・フォーエバー」で、
それ以外ではなく、それだけであった。

 

20年前に独立してから、
特にここ何年かは忙しさにかまけて、音楽などほとんど聴かなくなった私だが、
「バック・トゥー・ザ・フューチャー」と書こうとしたら、
何気なく、
「リターン・トゥ・フォーエバー」が出てきてしまったとは、
柴田さんが指摘して下さるまで、まったく気が着かなかった。

 

懐かしい「リターン・トゥ・フォーエバー」

 

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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