谷 好通コラム

2006年07月21日(金曜日)

1439.引越し裏のトンボ

新しいトレーニングセンターと倉庫、事務所に引っ越してから4日目。
昨日と今日、二日間トレセンと事務所でいっぱい仕事をした。
たまっていた仕事を思いっきりやった。
移動の時間なしでぶっ続けで働くと、
頭の中が明らかにくたびれてくるのが分かる。
心地良い疲れだ。

 

新しいトレーニングセンターで、昨日から初めての研修会が始まっている。
まだまだ設備の用意は整っていないのだが、
待ちきれないように、研修会が目白押しになっていて、
私も、つい、研修会に割り込んで話をしてしまった。

 

今日は私は元気である。

 

 

 

引っ越してから、私はしょぼくれていたかイライラしていたかどちらかのような気がする。

 

事務所とか、トレセンが広くなって、
みんなが広い空間を、
ゆったりと使っている様子に私は苛立ちを感じていた。
ゆったりとするために広くしたのではない。
その広さをギッシリと満杯にするために広くしたのだ。
そんなゆったりと使っていては、
いつまでも隙間だらけの疎の空間になってしまう。
そんなことをブツブツと口にしながら苛立ち、
「そんなことを言ったって、
そうすぐに広い空間が密にすることなんて無理だよな。
なんで、こんなスカスカの空間を作っちまったんだろう・・・・」と、こそっとしょぼくれた。

 

 

 

昨日の昼ご飯の時、前の倉庫と事務所に行ってみた。

 

引っ越した後の倉庫は、見事に空っぽになっている。
何年か前、
この倉庫を借りた時、
「こんな巨大な空間を借りて大丈夫なんだろうか。」
そんな風に思った事を思い出す。
そういえば、今の心境と似ている。

 

 

あの頃はとんでもなく広く感じた事務所の中も、今はずいぶん狭く感じ、
しかし、この狭さがたまらなく安心に感じるのは、
あの時とはずいぶん違う。

 

 

二階の会議室に昇る階段の踊り場に、穴があいた壁がある。
この事務所に引っ越した頃、何かに頭に来て、私が蹴飛ばして空けた穴だ。
何に対してどんな風に頭に来たのか、私はすっかり忘れてしまっている。

 

 

会議室は、今思うと、その狭さが人と人の距離を短くしていたような気がする。

 

 

あ~~~~っ、居心地のいいところだった。
狭い狭いと思っていた時が、一番居心地が良かったような気がする。

 

引っ越した先の、あの不自然な広さと間の抜けたような空間が、
ひどく居心地が悪い元凶のような気がして、
一瞬、引っ越したことを後悔する幻想に襲われる。

 

 

 

倉庫の裏に行ってみた。
倉庫の裏には、トンボの家がある。
大きな大きなアフリカケヅメ陸ガメ、体重約40kgの「トンボ」である。

 

トンボはまだここにいる。
新しい倉庫にトンボの家がまだ出来ていないので、
トンボだけまだ引越していなかったのだ。

 

トンボの家はそのままであった。
表の倉庫と事務所がすっかり引っ越して、
空っぽになった事に気が付いていないように、そのままであった。
トンボは元気にフィールドを闊歩し、友達の野良猫の「チビ」がトンボの家の上にいる。

 

 

トンボは元気であった。
コンクリートで擦れて皮膚が破れ血が出ていた後ろ足もすっかり治って、
すごいスピートで迫ってきて、私の足のスレスレを、シラーっと通り過ぎていく。
トンボが元気な時の御自慢のパフォーマンスである。
新しい家が出来たら、もうすぐ引越しである。

 

 

トンボの家の上で、もらったエサを夢中で食べていた猫のチビ。
猫の「チビ」は人になついていているが野良猫である。
トンボの所にちょくちょく来ていて、
エサをもらっている内に毎日通うようになった。
チビは野良猫なので自由であるし、
住み慣れた所から新しい所へは、連れて行かない方が幸せであろう。

 

「チビッ、ちゃんと生きていくんだよ。」と
チビが一番なついていた優しい人の言葉。

 

引越しを決めた張本人の私は、何かとても悪いことをしたような気がして、

 

 

しばし、白日夢のようなひととき。

 

 

・・・・
新しいトレセンと倉庫と事務所に戻ったら、
たくさんの人がトレーニングの真っ最中。
企業単位でダイヤモンドKeePreを導入してくれた人たちに対する導入研修だ。
朝、自分たちの前で熱っぽく話しをしたこの私が、
今さっき、いっときの白日夢を見ていたとは誰も気がつくまい。

 

一生懸命な彼らを見ていると、
これが、私達が自ら望んだ現実であり、進むべき現実であることを思い出す。

 

 

しかし、それにしても、広々とした八台分の空間の右の空間を空けて、左の方にわずか四台しか置いていない。
今までにない広い空間の使い方に慣れていないか、
広い空間を「ゆとり」と錯覚しているのかもしれない。
「解っていないなぁー」と、イライラっとする。

 

 

過去への郷愁にボォーっしている間はない。
一刻も早く、現実をフル回転させなくてはならないのだ。

 

2ヶ月前に入社した快洗Wingを中心としたメンテナンスを担当する5名のスタッフが、
18台の快洗Wingの設置の教育を経て、
初めて自分達だけで組み立てる快洗Wingを、中央トレセンの端に、
嬉々として組み立てていた。
新しい力が生まれつつある。

 

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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