谷 好通コラム

2006年08月14日(月曜日)

1451.魂を迎え、送る火

私に前世の記憶はない。
私に前世があったのかどうかも解らない。

 

人に前世とあるという考え方は“魂”の問題であるのだろうから、
もし前世があるとしたら、
私の魂は、前世では別の人間の魂であったわけだ。

 

魂は不滅であって、人が死んだ時、魂はその人から出て、
いつか生まれ変わる人に宿って、
次から次の人へと移り変わっていく輪廻転生があるとしたら、
その最初はいつであって、何であったのだろうか。
私達が住んでいるこの宇宙は、
145億年前のビックバンで突如出現したと科学は言っている。
しかも「真空のエネルギー」から生まれたとサイエンス本に書いてあった。
魂もその時に生まれたのだろうか。

 

魂が永遠のものだとしたら、
いつかあるであろう人類の絶滅の時は、魂は肉体を持たない魂ばかりとなって、
宇宙をさまようのだろうか。

 

魂が質量を持たないエネルギー体であるという話があったが、
そのエネルギーの塊という不安定な存在ならば、
雷などの巨大なエネルギー体の中で、
破壊されずに、あるいは乱されずに存在できるのだろうか。

 

質量がないのならば、
魂は加速するためのエネルギーを必要としないし光速で移動できるはずだ。
そして魂に意志があるのならば、
魂は1秒に地球を7周半(?)回るスピードで、自由にほぼ瞬間移動できる事になる。
これはすごいことだ。

 

お盆は、
祖先の魂が子孫の所に帰ってくる日だと言う。
祖先と子孫とは、肉体の系譜のことだろう。
魂とは永遠不滅のものであって、
肉体の系譜とは別の転生を持つはずだ。
だとすれば、肉体と魂は別のものであって、
永遠の魂にとって、肉体の系譜とは関係のないことではないのだろうか。

 

輪廻転生の魂の変遷の軌跡と、肉体の系譜と関係がないのならば、
祖先、子孫の関係は魂の問題とは遊離してしまう。
それどころか、親子の関係まで魂とは関係なく肉体の遺伝子だけの関係となる。

 

お盆に祖先の魂を迎えたつもりでも、
祖先の魂はとっくに他所の誰かに宿り、他人になってしまっていて、
魂は帰って来ていないこともありうる。
はるか昔の祖先ならば、その確率もより高い。

 

しかし、
いつか私が死んで魂が残ったとするならば、
私は、お盆の日に、迎え火を目印に子孫の所に帰るだろうか。
きっと帰ると思う。
子孫の所だけにでなく、私が愛した人たちすべての所に行きたいと思うだろう。

 

13日の夜から15日の夜までのたった二日間だけの短い時間でも、
魂は光速で瞬間移動できるのだから簡単だ。
世界中を自由に、会いたい人すべての所に嬉々として会いに巡り回る。

 

魂が輪廻転生するものならば、
生まれ変わるたびに前世の事をすべて忘れるのだから、
魂は前世を巡るわけではないだろう。
前世の人はもう死んでしまっているのだから、巡ることなど出来るわけもないし。

 

また魂が、肉体の変遷と直接関係がないのならば、
ひょっとしたら、
魂とは、
人を想う気持ちのエネルギーのカタマリのことではないだろうか。
それは多くの場合、
それは愛する気持ちであり、
一番近しく愛する肉親がその対象であり、妻であり夫である。
また、生死を共にした戦友であり、恩人である。
あるいは、意を共にした人であり、
あらゆる意味で愛情を共にした人である。
愛する気持ちとは相手の幸せを願う気持ちであり優しさであると言う。
血の繋がりに縛られることなく、
愛する気持ちそのもののエネルギーが魂であるとするならば、
私には理解しやすい。

 

ならば、
魂の根源とは、
人の進化において、その精神に中に愛する気持ちが目覚めたときという事になる。
魂の根源は145億年も前のビックバンとは関係なく、
100万年前に人が類人猿から“ヒト”に進化して、
愛する気持ちを持った時からヒトに魂が芽生えたのかもしれない。

 

 

いや、ちょっと待って、
愛する気持ちはヒトだけのものでない。
動物だって、我が子を愛する気持ちを持っている。
動物の中にも魂がある事になる。
そうかもしれない。
しかし、その深さと多様さはヒト独特のものであり、
魂もはっきりとしているのではないか。

 

人は、元々、魂という優しさと愛する気持ちを持ち合わせていて、
その源が魂なのではないだろうか。

 

 

魂とは、愛する気持ちと優しさのエネルギーだとするならば、
お盆の迎え火は、
愛した人の魂を呼ぶ儀式であり、
愛された人の魂を迎える儀式である。
そして、愛する人を想う儀式でもある。
送り火は、愛した人への想いを深くし、感謝の気持ちと共に送り出す儀式。

 

なんと素敵で優しい儀式なんだろう。

 

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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