谷 好通コラム

2006年08月18日(金曜日)

1455.台風の真中を行く

朝一番の羽田発福岡行きの飛行機に乗った。

 

空港内のホテルに泊まったので、
朝六時の起床で、朝食も取って、トイレにもゆっくりと行って、
それでも十分に間に合ったのは楽ちんで良かったが、
ホテルをチェックアウトする際、台風が九州を直撃しているので、
ひょっとしたら欠航が出ているのではと、
ホテルのスタッフの方に聞いたら、
にこやかに
「晴れているので、欠航はないと思いますよ。」
と、あっけらかんとボケて見せてくれた。
この可愛いおねぇちゃん、九州に台風が来ているのを知らないのであった。

 

 

過去、飛行機には随分たくさん乗っていて、
ひょっとしたら千回以上も乗っているかもしれない。
これだけ乗っていると、怖い目にも何度か合っているのではないかと思われるが、
意外とそうでもない。
というより、一度も「怖いっ!」という目には合った事がない。

 

何年か前に、霧が出ていた高松空港で、
一度着陸をアプローチしたフォッカー50が視界不良のために着陸できず、
もう一度上昇して着陸をやり直したことがある。
富山空港でも同じフォッカー50で同じような着陸のやり直しがあった。
でもこれは怖くも何ともない。
もう着陸かなと思ったら、急に上昇して、
上空で旋回しながら天候回復を待ち、もう一度トライしたら着陸できた。
ただそれだけである。
何の危機感もない。
飛行機が同じフォッカー50であったのは、ただ単に“たまたま”である。

 

同じようなことが沖縄の那覇空港でもあり、
その時は鹿児島まで引き返して燃料補給後再び沖縄に向かったので、
飛行機に何時間も乗りっぱなしで、
それが辛かっただけであった。

 

あの中国でも、飛行場の待合室で案内もなく延々と待たされたりはしたが、
飛行機に乗った上で、危ない、怖いと思ったこと一度もない。

 

それよりも、もう十年以上も前、私がまだ飛行機に乗り慣れていない頃、
札幌で、飛行機が飛び立つ前に何か故障が発見されて、
乗客が乗ったままそれを直し、
1時間後、それが直ったから、さぁ飛ぶぞ、と言われた時には、
何かすごく怖く感じて、その飛行機を降りてしまったことがある。

 

飛行機が飛んでしまった後は、
本当に怖いと思うようなことはない。
少なくとも今は、全くないと言っていい。

 

 

今回のように、
「台風の影響で、福岡空港に着陸できない場合、
羽田空港に引き返すことが予想されます。
皆様には、条件付運行を御承知置きの上・・・・」
というような、
引き返し条件つきの飛行になった場合でも、
今までの経験では、本当に引き返したことはまだ一度もない。

 

たまたま私の運が良かっただけかもしれないが、
飛行機って意外と丈夫な物で、
よほどのことがない限り、運行してしまうのである。

 

今乗っている飛行機は、
ボーイング777-200、
最新鋭の頑丈な飛行機です。

 

先程から機長が、
機内放送でしきりに言っている。
「台風の影響で、福岡空港への降下中は大きく揺れることが予想されます。
シートベルトをキツメに締めておいて下さい。
大きく揺れましても、飛行の安全にはまったく影響ありません。
繰り返しますが、
飛行機が大きく揺れても、飛行の安全にはまったく影響ありません。
ご安心下さい。」

 

繰り返されるとかえって心配になってくることもある。

 

降下が始まって、
先程から大きく揺れ始めている。
でも、
私は怖くない。
私は怖くないのだ。

 

・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・

 

と、ここから、
夜の8時半過ぎ、熊本空港のレストランで書き始めた。
理由はあとで書く。

 

朝の羽田空港から福岡への飛行機は、
一度、定刻どおりの時間で着陸へのアプローチをしたのだが、
気流が強くて一旦着陸を断念し、
急上昇をして一度上空に上がり、
再度のアプローチでようやく着陸を果たした。
結構ヒヤヒヤものであった。
人生で3度目の着陸のやり直しを経験したわけだ。

 

上空で雲の中を旋回中の飛行機

 

 

福岡到着後、二箇所を訪問して、
午後から熊本に向かった。
熊本はアイビー石油さんの馬場社長に会いに行くためだ。

 

福岡のアイビー石油さん、快洗隊那珂川店の倉岡店長と大原主任。

 

 

福岡から熊本への九州自動車道は、
雨が強く、事故のために大渋滞が起こっているとの情報が前もってあったが、
倉岡さんがパソコンで調べ、渋滞の距離が徐々に短くなるのを見つけて、
そのまま行く事にする。
結果的には、何の渋滞も無く、思ったより早く熊本について、
「今日はついているなぁ~」と独り言。

 

白藤SSに到着。
ここの快洗Wingは特製の屋根が取り付けられている。

 

 

馬場社長と話しをしていると時間があっという間に経つ。
3時から話し始めてあっという間に5時が過ぎ、
熊本空港を午後6時40分発のANAに乗るためには、もう出なくてはならない。
でも、話が尽きない。

 

そこで、午後6時40分発のANAをキャンセルして、
午後7時55分発のJALを予約して、もう少しだけ話を続ける事にした。
楽しい時間はまたあっという間に過ぎ、
午後6時を過ぎ、これを逃すと、もう名古屋に帰る術がなくなる。
日帰りの鬼である私としては、なんとしても帰らなくてはならない。
後ろ髪を引かれながらも、アイビー石油のスタッフの皆さんと別れを告げた。

 

同行の中西所長に熊本空港に送ってもらい、
霧が出ているのでちょっとだけ心配ではあったが、
「飛行機がちゃんと飛ぶかどうか確かめるまで待ってましょうか?」
という中西君の好意を、
「大丈夫、大丈夫ッ、大丈夫だよ。」と軽く辞退して空港に入る。

 

チェックインの時、
直前の飛行機までが無事に運航されていることを確認して、
今度は自分に「大丈夫っ」と言い聞かせる。

 

ところが、待合室で待っていると、
場内アナウンスが、
私たちの飛行機の前に来るはずの大阪からのANA機が、
熊本空港の天候不良のため着陸できず、
天候の回復を待って“上空で旋回をしている”ことを言っている。
このANAの機体は、
私たちのJALEX(JALエキスプレス)の機体と同じB(ボーイング)737であり、
ANAがB737-500に対してJALEXがB737-400の違いがあっても、
同じ年代の機体であって、
天候不良に際しての着陸能力は、
まったく一緒であると言って差し支えない。

 

その大阪便が降りられないとすれば、
折り返しの名古屋便になるべく名古屋から飛んでくるはずのJALEX便も、
同じように降りられず、上空を旋回する羽目になるだろう。

 

「やばいな。」
そう直感して思った。

 

天候の回復と言っても、風はもうほとんど吹いていない。
問題は霧だ。
霧は停滞しているものであって、
そんな短時間で晴れるものではないのだ。
一昨年、中国の大連でまるまる15時間空港で待たされた挙句に
欠航となった時の原因も霧であった。

 

こりゃダメかなと思ったが、
一応、待つ事にした。
ANA大阪便が降りられずに大阪に引き返すようであれば、
十中八九、名古屋からやってくるJALEX便も同じ事になると考えるべきだ。
名古屋からやってきた飛行機が、名古屋行きの便になるはずなので、
私たちの飛行機は欠航となる。

 

大阪便がどうなるか確かめてから、
どうするのか考えようと思っていたら、
あっさりと、大阪から飛んできた飛行機が大阪に帰ったとアナウンスが入った。
つまり、大阪行きの便は欠航となった。
こうなったら99%名古屋便も同じ運命となる。

 

急いでパソコンを開けて、明日の飛行機の空き席状態を見たら、
熊本から名古屋への便はANAもJALも全便全席が埋まっている。
最後のUターンラッシュのせいなのか、それとも欠航を見越した客が早々と予約を入れたのか。
仕方なしに福岡からの名古屋便を調べると、
これもほとんどの便が満席となっている。
やはり、Uターンラッシュの影響らしい。
その中でも、午前9時20分発のJAL便があと一席残っていると出ているではないか、
大急ぎで、携帯からJALの予約センターに電話をしてその席を確保する。

 

ここ熊本から今夜中に福岡に行き、
明日、この9時20分のJAL便に乗るため
かなり福岡に帰りつつあるはずの中西君に空港まで戻ってきてくれるように頼み、
福岡のホテルを予約する。
いつものデュークスホテル博多だ。
今日は金曜日、やはり満室であったが、
常連客であることを確認した上で、キャンセルを優先的に回してくれる事になった。

 

そんな手配をしているうちに案の定、名古屋便が欠航になったとアナウンスされた。
待合室で一斉の失望の声が上がる。

 

 

これで、日本国内便で始めての欠航の経験となった。
これは、不運であったのかもしれない。
それでも、何とかリカバリーで来たのは、
今日の最高の幸運であったという他はない。ラッキーであった。

 

この話の途中からは、欠航が決まってから空港の中のレストランで、中西君が迎えに来てくれるのを待っている間に書いたものです。

 

私の幸運の女神、富士山。
朝、羽田から飛んでくる時、
雪を被っていない夏の富士山がオールヌードで見られた。
最高である。

 

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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