谷 好通コラム

2006年08月28日(月曜日)

1462.二酸化炭素を食う

部屋の数に対して
1974年にはわずか30%であったエアコンが、
2005年には94%になっているとテレビが言っていた。
それだけ文化的になったと言えばそれまでだが、
地球規模の温暖化に、エアコンも相当な役割を果たしているはずだ。
エアコンとは熱交換器であって、
部屋の中を冷やした分、部屋の外を熱するわけだが、
冷やした分の熱量と、熱した分の熱量がイーブンだったら、
いずれはそれの両方が混じって、
エアコンが熱を放出するという事にならないはずだ。
しかし、熱交換器を動かすモーターとコンプレッサーが発する熱の分だけ、やはり、
大気を熱する事になる。

 

もちろん、地球温暖化の主犯は二酸化炭素。
石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料を燃やすことによって、
熱を放出するだけでなく、
大量の二酸化炭素が放出され、
それが温暖化ガスとなって地球を急速に暖めている主因となっている。

 

地球の温暖化とは、温暖化ガスとはどういう意味なのであろうか。

 

まず基礎知識から、
地球を暖めているエネルギーは、
主に、太陽からの光と、地球全体の重力によって内部から発生する熱。
つまり、地球は外部からと内部からの両方から熱せられている。
熱せられるだけならば、どこまでも温度が上がるはずなのだが、
地球の表面の温度はあるレベルの幅で一定している。
ならば、地球を冷やしている要因があるはずだ。

 

地球は、宇宙に向かって放射熱を発していている。
地球は外部と内部から熱せられていると同時に、地球自体がラジエターの役割もしているのだ。
ラジエターはそれが熱いほどたくさんの熱量を放出する。

 

 

だから、熱せられる分と冷やされる分がバランスしている温度が、
今の地球の温度と言う事になる。

 

そのバランスが狂ってきているのだ。

 

大気中に化石燃料を燃やした二酸化炭素が急速に増え続けている。
地球レベルの時間で言えば、
過去にも二酸化炭素が増えたり減ったりはしている。
しかし、何百万年、あるいは何千万年、ひょっとして何億年かかって、
増えたり減ったりしてきた大気中の二酸化炭素と同じだけの量が、
産業革命以後、ほんの何十年レベルの時間スピードで増えつつあるわけだから、
これは急速に増えているどころか、劇的に増えていると言っていい。

 

この二酸化炭素が、
熱を放出しにくい性質を持っていて、(ここが重要。温室効果と言われる)
地球が宇宙に向かって熱を放出する効率を落としているのだ。
地球をラジエターに例えるならば、
二酸化炭素が増えることによって、
ラジエターの性能がどんどん落ちてきているということになる。
あるいは、どんどんラジエターが小さくなってきていると言っていい。

 

その反面、
地球上で熱を発生する要因がどんどん増えている。
化石燃料を燃やすことによって出る熱。
原子力発電で発生する熱。
電気に変えられたエネルギーもいずれは熱となって地球を熱する。
最初に書いたエアコンもそうだし、
その電気が風力発電であろと、波力発電であろうと、太陽電池による発電であろうと、
すべての電化製品が最終的に電気のエネルギーを熱に変える訳で、
温室効果の二酸化炭素を出さないと言うだけである。
また、焼畑によって出る熱も凄い量だろう。

 

つまり、車を“たとえ”に使うならば、
エンジンをどんどんパワーアップして、発生する熱量をどんどん増やしているのに、
ラジエターの性能は返って落としている状態。
オーバーヒートへ一直線の最悪の状態なのだ。

 

化石燃料を燃やして、直接、二酸化炭素が増やしているだけではなく、
二酸化炭素を減らしていく要因を損ねている事すらある。
それは、
光合成によって二酸化炭素を食う植物が、
生息密度が濃い熱帯雨林が開発と焼畑によって加速的に減ってきている事で、
激減している。
また、二酸化炭素を炭酸カルシュウムなどの形で固定している珊瑚が、
その生息する場であるサンゴ礁がやはり開発によって減少していることで、
減ってきている。

 

加えて、悪い事に、
二酸化炭素よりも温室効果を何百倍も持っているフロンガスが、
エアコンの冷媒とか、コンピーューターの洗浄剤として、
大気中に大量に放出されている。
なお悪い事に、
温暖化が進んで気温が上がってきたことによって、
シベリアの凍土が溶け出し、
温室効果が二酸化炭素の数百倍である“メタンガス”が、急速に放出されつつある。

 

地球の熱量の発生はどんどん増えているのに、
地球のラジエターとしての性能がそれ以上のスピードで落ちてきているのだ。

 

事は深刻であって、
20年後に平均気温が何度上がるとか、
15年後に海面が何十センチ上がるとか、
そんな目先のことではなく、
これから何百年も、何千年も、何万年も繁栄すべき人類の歴史を考えると、
絶望的な未来なのである。
地球は数百年の内に、
南極北極などの極部を除いて生物が生きていけなくなるかもしれないと言う説すらある。

 

そんな絶望的な「地球の温暖化」に対して、
地球の政治家は「温暖化ガスの排出量の増加を減らす。」努力をするのが精一杯。
それすらも、全地球的な同意を取り付けられていない。

 

 

エンジンがパワーアップし続けているのに、
ラジエターの性能が悪くなっていくスピードが加速している事を抑えようとしているだけだ。
絶望的な状況に変わりはない。

 

エンジンをパワーアップさせたいなら、
ラジエターの性能を上げなければならない。
これは当たり前のことだ。

 

人間がエネルギーを使う文化的な生活を続けたいのなら、
地球のラジエター性能を上げるしかない。
ラジエターとしての性能を落としている二酸化炭素などの温室効果ガスを、
地球の大気から、絶対量を減らす事が必要なのだ。
増える速度を落とす程度では全く意味がない。

 

二酸化炭素を大気中から徹底的に減らして、(植物が困るか?)
地球のラジエターとしての性能を上げて温暖化を強力に止めて、
進んでしまった温暖化を、元に戻す事が必要に思う。

 

私は、最近、海水を淡水に変える技術があることを知った。
逆浸透膜というものを使って、
大量の海水から塩分を取り去って、淡水を作り出すのだそうだ。
昔は夢であった技術が、今は現実になっている事に驚いた。

 

そんな技術が現実になるくらいなら、
大気中から二酸化炭素を取り出し、
それを珊瑚虫がやるように、炭酸カルシュウムの形にして固定してしまうことも、
決して非現実的なことではないような気がするのだ。
珊瑚虫が出来ることぐらい、人間に出来ないわけがない。

 

珊瑚礁と言えば、石灰岩、
石灰岩と言えば、コンクリートの原料。

 

大気中の二酸化炭素を取り出して、コンクリートの材料にするのだ。
一石二鳥の大名案である。

 

「二酸化炭素を出すのをやめて、二酸化炭素を食う。」のである。

 

 

たまのお休み、仕事のことを、出来るだけ考えないようにしていたら、
こんなことを考えて、時間を過ごしてしまったのでした。

 

柄にもなくケーキ屋さんに行ったら、
美味しい事と、
いつも新作があって楽しいことで有名なケーキ屋さん“REGNIE(レニエ)”が、
若い男女で満員であった。
ここの繁盛ぶりは、ただ事ではない。
「うまいこと」と、「新鮮であること」。
その場で作る商品を扱っている商売の鉄則です。

 

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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