谷 好通コラム

2006年10月12日(木曜日)

1492.小さな我が闘争心

このところ大変忘れっぽくなった。
忘れ物は毎度のことで今更どうってことないが、
仕事のことでいいアイディアが思い浮かんだ時に、
その場で書くか、誰かに喋ってしまわないと直に忘れてしまう。

 

今日も先程、自分でも会心と思えるような思いつきがあったのだが、
名古屋へ帰る飛行機に乗ったら忘れてしまった。
思いついたことを全部憶えていたら、
仕事においてすごく素晴らしい事になっていたと思うのだが、
私の脳みそが絶対的な容量が小さく決まっているのか、
何かを憶えると、
憶えた分きっちり何かを捨ててしまうようだ。

 

私は携帯電話の操作について何も知らない。
ただの電話としか使っていないのだ。
電話番号の登録すら出来ないのだから
携帯については相当なアナログ人間である。
憶えれば出来るとは思うのだが、憶える気が全く無い。
昔、携帯電話を続けざまに紛失をしていたので、
(今は皆が注意をしてくれているので大丈夫。)
携帯電話に番号を登録しておいても無駄だったのだ。

 

だから、いつもよく掛ける電話番号は頭で憶えておいて、
毎度毎度ダイヤルをする。
30件くらいの番号は憶えているだろう。
ひょっとしたらもっとあるかもしれない。
しかし、一つ新しい番号を憶えると、一つ忘れてしまうようで、
いつまで経っても同じくらいの数の番号だけしか頭に残っていない。
それでも、いつもよく掛ける番号だけを憶えておけば、
90%以上は電話帳を見なくても済んでしまうのだから、あまり不便は感じていない。

 

 

もっとひどいのが、人の名前である。
一度会ったらこの人の名前を必ず憶えてしまうという人がいるが、
私はさっぱりダメだ。
私の脳みそには「名前の引き出し」が決まっていて、
その容量がもういっぱいに溢れていて、
隣の引き出しを使い始めたのだが、
その引き出しは、
最初の引き出しを開けてからでないと開けることが出来ない。
だから、毎日会っている人でも、
たまたまその人の名前が、隣の引き出しに入ってしまっていると、
その人の名前を呼ぶたびに、
ほんの少しの時間だが、前の引き出しを開けてから隣の引き出しを開けるので、
タイムラグが起きる。
自分でも不思議な現象なのだ。

 

例えば、酒部君。
彼の名前を呼ぼうとすると、いつも3秒くらい間か空いてしまう。
ほとんど毎日会っているのだから名前くらいすっと出てきそうなものだが、
ほんのちょっと間、考えないと名前が出てこないのだ。
そういう人が何人かいる。
意外と畠中君もそうなのだ。
H.オサムとはすっと出てくるのだが、
それが先に出てきて。
それにリンクする形で畠中君の名前が出てくる。
だからその間のタイムラグが出来る。
そういう人が他にも何人かいる。

 

私の脳みそのヘンなところに名前を憶える中枢が出来てしまっていて、
人の名前を呼ぶたびに、錆付いた機械のようにギコギコとゆっくりと動いて
名前を引っ張り出してきているのだろう。

 

全く中途半端な脳みそで、
自分の頭の悪さに苛立つことがある。
人間が炭素と水素と酸素で出来ていることの限界か。
我が身に限界を感じる一瞬である。

 

きっちりと限界を自分自身から突きつけられ、
何をやることが出来て、
何をやってはいけないのか、
何はやれない事なのか、次第に解ってくると
何をやっても何でもやれると思う若さをいつまでも持ち続ける事は、
かえって無謀であることを悟った気になることもある。

 

しかし、逆に
我が心の中にある闘争心。
「負けたくない。」
「どうしても負けたくない。絶対に負けないぞ。」と、
何かのきっかけで炎のように燃え上がる我が闘争心は、
大人びた悟りを吹っ飛ばしてしまうように、心の中を占拠することがある。

 

私はまだ、悟りを開くのは早すぎるようだ。
自分を突き動かす闘争心を、
まだ自分でコントロールする気にはならない。
やれるものならば、
やれる所までやった方がいい。
やれなくなったら、その時コントロールすることも考えよう。
その時になったら、ひとつ悟りでも開いてみよう。

 

いや、そうではない。
そんなことではない。
わが闘争心なんてたかが知れている。
そんなものより、
我が能力の限界を切り開いてくれるのは、
仲間たちの助けなのだろう。
一つの共通した目的を仲間たちと持った時、
たくさんの仲間たちがそれぞれの能力を惜しげもなく発揮してくれて、
自分ひとりの力とか能力とかたかが知れた我が闘争心などを遥かに超えた力として、
とんでもない大きな目標を達成させ、
共に持った目的を果たしていくのだろう。

 

仲間たちの力に比べれば
我ひとつの力なんて知れている。
わが闘争心などちゃちなものだ

 

 

 

実は昨日から少しずつ“喉”が痛くなってきている。
風邪の前兆であろうか。
何度も風邪を引きそうだと言ながら一度も熱も出たことがなく、
私は嘘つきであったが、今度こそ風邪をひいて発熱でもしそうである。
「またかっ」とお思いの皆さん、今度こそのようです。
やはり旭川、札幌は北海道の町、名古屋とはかなり温度差があったのです。

 

 

※ここから名古屋に帰ってから。

 

札幌から名古屋に飛行機が降りる30分ほど前、
左前方に富士山が見えてくる。
中部国際空港になってから飛行ルートが変わって、
ほとんど毎回富士山が見えるのだ。

 

 

やがて、富士山が左後方に去っていく頃には、飛行機の高度はかなり下がってきている。

 

 

空港に降りる直前、(本当はデジタルカメラを使ってはいけない。)
静かな海に、傾いた太陽が映り、
巨大なタンカーがマッチ舟のように見える。

 

 

名古屋に到着したら、
名古屋はポカポカと暖かかった。
そうしたら、喉の痛さが嘘のように無くなって、
やっぱり私は風邪を引かなかった。
自分で思っているより、やっぱり私は丈夫なようだ。

 

ちゃちな闘争心ではあるが、
それを持て余し、レースに興じる時、快感なのだ。
(7月“もてぎ”でのレースにて)

 

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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