2006年11月12日(日曜日)

1511.やめる決断の勇気

大仕事であった研修と検定の第一班が終わって、
土曜日はずっと役員会。
そして今日は久しぶりの休日とした。

 

本当は、今日はスーパー耐久の最終戦である“もてぎ戦”の決勝があったのだが、
今回は田中選手の決断によって出場を見合わせた。
だから、何の予定もなくなって休日になってしまったということ。

 

“もてぎ”は、過去、我がチームにとって幸運に恵まれてきたサーキットであって、
今年も是非出場したかったのだが、
結局、SUGOでブローしたエンジンの修理が間に合わず、出場しなかった。
中古のエンジンを載せて戦う方法もあったのだが、
どうなるか分からないエンジンで不安を抱えたまま出るよりも、
来年に向けての万全の体制を立て直すべきだと、田中選手が決断したのだ。
「しょうがない」としか言いようがない。
悔しい気持ちでいっぱいだが、
これまでのことを考えると、もう「しょうがない」としか言いようがない。
私も田中選手の選択を支持する。

 

事業においても似たようなことがあって、
万全の体制を作ったつもりでかかっても、どうしてもうまく行かない時、
どこかの時点で「やめる」決断をしなければならないことがある。
色々な状況において、
突破口がどうしても開けない時、
「やめる」「やめさせる」「止める」「辞める」「辞めさせる」と手段を持って
開けない状況に「断」を下すことがある。

 

「断」を下すのは、経営者の最も重要な仕事の一つである。

 

続けてきた一つの仕事に対して、
なかなか結果が出せない状況があった時、
「せっかく、ここまでやってきたのだから」と、
効果の出ないまま小手先の施策を出し続けても、
事態が打開されることは稀である。
仕事自体に可能性が無いと判断したら、
早く、すっぱりと「断」を下して、
マイナスが取り返しのつかないほど積もる前に、
その仕事をやめなければならないことがある。

 

それを、断を下せず、ズルズルと続けることで、
会社にとって致命的な状態にまで放置し、
会社を存続させることが出来なくなる事がある。ままある。
会社が倒産する時というのは、実際はそんなことがほとんどなのだ。

 

時代は速いスピードで進み、刻々とその姿を変えていき、
今までやってきたことが、明日もうまく行くとは限らない。
あの時、断を下して、それまでの事をやめて、新しい事に挑戦していれば、
間に合ったであろうに、
どうしようもなくなってから、後悔しても遅い。
「断」は、下すべき時点までに下さねば、断を下した事にならないのだ。

 

ある会社が破綻を目の前にしていることを知り、
その会社の社長が、なぜ決断を下せなかったかを考えた時、
今回のもてぎ出場を断念した決断が
まさに正しかったことを、今更ながら支持する思いを持った

 

中古エンジンを借りて出場したとしても、
そのエンジンがまたもやブローしたら、
レースがダメになっただけでなく、
その理由のいかんを問わず修理して返さなくてはならない。

 

ただでさえSUGOで壊れたエンジンの費用がかさんでいるところに、
もてぎ出場のための膨大な費用に加えて、また一台のエンジンを治す費用は、
来年のシリーズに参加する可能性をなくしてしまうことすら考えられる。

 

よしんば、エンジンがまともに動いてくれたとしても、
今年一年間まったく改善されなかったタイヤが劇的に良くなっているとは限らない。
勝てる可能性が決して高くないレースに無理して出るメリットと、
来年のレースの息の根を止めてしまうかもしれないリスクを計って考えた場合、
「やはり出るべきではない」という結論に達することが出来たということは、
このチームが、まだ勝つ可能性を十分に持っていることを証明している。
「やめる決断」が、リーダーの最も重要な仕事の一つなのである。

 

私も、レースから学ぶべきことは多い。

 

※SUGOでのこの一瞬が、もてぎ出場を断念させた。

 

 

※何を語るのか。

 

 

※それに比べると私のレースは平和であるが、
レースはレース、来年こそ絶対に自力で表彰台に上がることを目指す。
まだ、“やめる決断”をするには早過ぎる。
まだ、絶対にやめないのだ。

 

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