谷 好通コラム

2006年11月19日(日曜日)

1515.調子に乗って回答

あるモータースポーツ紙の記者からメールで簡単なインタビューを受けた。
今年出場したゴルフGTIカップレースの出場者すべてに出されているものとは思うが、
ついはしゃいで、ずいぶんたくさんの文章を書いてしまった。
で、このコラム用にもう一つ文書を書くのがつらくなって、
回答の文章をそのままコラムとして載せてしまう事にしました。(叱られるかな?)

 

 

?レース歴と主な成績(概略でけっこうです)

 

7年前に、カートの全日本シリーズに参戦していた会社のアルバイトの子にスポンサーをしたのがきっかけで、自分もカートに乗り始め、その面白さにすっかりはまってしまいました。

 

約2年間カートに乗って、今度は5年ほど前にN1仕様のAE111レビンを手に入れました。
これは結婚のためにレースを断念した畠中修という若者(現在32歳)から買ったもので、その畠中君は非常に優秀な若者でした。それで私は彼を引き抜き、今彼は、我アイ・タック技研グループ(社員約150名)のナンバー3に当たる常務取締役をやっております。

 

AE111での戦歴は、MINEサーキットをホームにMINE主催の草レースに約10戦出ました。私一人が出場するスプリントではいつも真ん中ぐらいでパッとしませんでしたが、畠中君と組んで出たジュニア耐久レースでは、表彰台に3度ほど昇ったことがあります。もちろん彼が速かったからです。

 

同時に、3年ほど前からスーパー耐久のNプラスクラスに出場していた田中篤選手主催の?17インテグラをスポンサーしていましたが、見ているだけではやはり満たされず、一昨年の十勝24時間耐久に私もドライバーとして出場し、私が足を引っ張りながらも完走を果たしました。その後MINEで古くなったインテグラで2戦出場しましたが、2戦とも終盤にマシントラブルでリタイア。
これで自分のドライバーとしてレースは辞めたと決め、スーパー耐久での今度はクラス1でポルシェをスポンサーとして応援していました。

 

しかし、また「自分で走りたい!」の虫がうごめき始めて、その頃ちょうど知った「ゴルフGTIカッブシリーズ」に出ようと決心し、今年の途中から参戦し始めたものです。

 

?GTIカップへの参戦理由

 

私は、四歳の時に脊髄性小児麻痺にかかり左足に障害を持っています。それでもレースカーのクラッチも何とか踏めたので(自分でも驚きでした)、無謀にもレースに出場していたのですが、やはりクラッチを踏む事に神経の何割かを取られ、ハンドリング、ブレーキング、アクセルワーク等になかなか集中できないのが悩みでした。(自分が遅いことの言い訳です)
それは年を取って(現在54歳)体力・筋力が落ちてくると余計に深刻になってきて、ドライバーとしての出場を去年あきらめた原因です。しかし、前述のように「走りたいッ」の気持ちは募るばかりでした。そこにDSGで2ペダルのレースであるゴルフGTIカップのことを知り、これこそ私のためにあるようなレースだと勝手に思い、躊躇なく参加を決めたのです。COXに問い合わせたところ、ちょうど1台だけ残っているとのこと、私には持って生まれた幸運があるのです。

 

 

?消耗部品の交換頻度(ブレーキパッド、オイル類、タイヤその他)

 

・オイルは、練習とレースで2回交換。
・タイヤは、練習で前2本だけ。予選と決勝で1セット。
・ブレーキパッドは2回の決勝と4回の練習でやっと1セット交換しました。

 

?メンテナンスについて、特に注意しているところは。
またどのように行っていますか?(個人、ショップ)

 

元Fニッポンドライバーの石川朗選手が個人的にメンテナンスをやってくれています。
あと、私のレースでの師匠畠中君も着きっきりで面倒を見てくれています。全くのお任せ状態で、ですから、彼らが特にメンテナンスに注意している点は私は知りません。

 

?レース車両のゴルフを日常的にも使用していますか?
使用している
→どのように
→乗り心地は?(アシの硬さは気にならないか、ロールバーは邪魔ではないか?)
→ふだん使いするにあたりクルマに装備しているものなど(ナビ、チャイルドシートその他)

 

やはりステッカーを貼っているのが派手なので、たまにしか普段使いはしていません。
しかし、たまに乗るとき感じるのは、この車は一般路を走っても全くレースカーであることを感じさせないことです。特に乗り心地は最高で、正にちょうどいい固さが最高です。
過去一度ビッツレースの車を持っていたことがありますが、あれは全く実用性がありませんでしたので、今度のゴルフの日常での実用性の高さについてはびっくりしています。
シーズンが終わったので、来年は新しいカラーにしようと思い、今貼ってあるステッカーをはがす事になっています。そうしたら、本当にゴルフを普段の足で使うつもりです。
今はETCだけ付いていますが、NAVIはつけます。チャイルドシートは孫のために取り付けてもいいのですが、多分乗ってくれないでしょう。

 

?DSGのレースについて
シフトチェンジのないDSGでのレースに違和感はありませんでしたか?
DSGでレースをする魅力は。
またDSGでよかった!と思った瞬間などがあればぜひ教えてください。

 

違和感はまったくありません。
ヒールアンドトゥをしなくてもいいのは、ちょっと寂しい気もしますが、レースにおいてはシフトは目的ではなくただの手段である訳なので、特に私のようなクラッチが苦手である理由のある人間には、ありがたいだけです。
これで、「私はクラッチが踏みにくいので・・・」などというみっともない言い訳を自分の中でしなくてもいいのは最高ですが、そんな言い訳がなくても「やっぱり遅い」のはやっぱり実力なのでしょう。

 

 

?これまでレースにおいてDSGにトラブルはありましたか?

 

SUGOサーキットでレース一週間前に練習した時、エンジンをブローさせてしまいました。コンロッドがブロックから飛び出すほどの重症だったのですが、そのブローは突然で、しかも加速中だったのです。
何年か前にシビックに乗って(ほんの一時期シビックにも乗ったことがあります。)MINEで練習中に、ストレートで加速中4速⇒5速にシフトアップするところを4速⇒3速へのシフトミスし一瞬にオーバーレブ、真っ白なオイルの煙と共に全損のエンジンブローをやったことがあります。あの時の感覚にSUGOでのゴルフのエンジンブローした時の感覚が非常に似ていたのです。ひょっとしてDSGがシフトミスしたのではないかと疑問を出したのですが、ほとんど相手にされなかったのは残念でした。
大変楽しいレースのシーズンであっただけに、ただ一つの心残りとなっています。しかし、修理に大変御苦労されて丁寧な作業をしてくれたCOXの吉永さんはじめメカニックに感謝する意味で不問いとする事にしています。

 

?GTIカップ特有の楽しさ、魅力をオートスポーツ読者に伝えてください!

 

2ペダルのGTIカップレースをオートマチック車のレースととして軽く見ている人がいるとしたら、それはとんでもないことです。その車が持っている極限の高速で走る車のコントロールの難しさは、2ペダルであっても全く同じであって、大変高度な技術とセンスが必要です。特に超フロントヘビーであるゴルフGTIはナメテかかって雑な運転をするとちっとも前に進んでくれません。あくまでも繊細なスムーズな走りが求められます。レースの楽しさは以前乗っていたインテグラに比べても全く遜色ないと思います。
とにかく良い意味でCOXがうるさくて不当な改造をする余地がまったくなく、限りなくイコールコンディションでレースが出来るのでストレスのもとである不公平感がありません。
それもあって、コストはナンバー無しの純レースカーはもちろん、ナンバー付きのワンメイクレースとしてもはるかに安く、レースに出場しながらその車を足として使える実用性も今までのナンバー付きレースカーとは桁違いです。乗り心地も“我慢できるレベル”ではなく、最も快適な乗り心地と言って間違いありません。ロールバーも全く気になりません。
その上、リセールバリューも高く、新車での価格はある程度高くても手放す時の値段の高さが差し引きの車両コストはかなり安く済みそうです。

 

乗用車として乗っている車のほとんどがATである現代、シフトとクラッチワーク、そしてヒールアンドトゥが、若い人たちのレースに参加するための大きな抵抗になっていることは事実です。シフトもクラッチも、ヒールアンドトゥも実際のレースの中ではほんの少しの要素であって、こんなものが若い人のレースに対する抵抗になっているのは無意味です。2ペダルで十分にレースは出来ます。
レースは見るだけより参加した方が30倍くらいは楽しいし、ものすごくたくさんの勉強にもなります。レースは走って何ぼのものです。車検すら通らないような違法なナンバー付き車で擬似レースをするより、完璧にコントロールされたイコールコンディションのナンバー付きの正真正銘のレースカーで、正真正銘の「レース」をやりましょう。びっくりするくらい楽しいですよ。

 

 

今日はお休み。
今月二度目の休日である。
のんびりと、こんなことを書いていました。

 

町にも紅葉がやってきました。
秋はきれいでいいですね。

 

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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