谷 好通コラム

2006年12月15日(金曜日)

1532.上海と札幌の間に

前話の結論。
「中国で製品を造って輸入する事は難しくはないが大変である。」
では、中国に自社製品を輸出して商品を売ることはどうか。
結論を先に言えば、
「簡単だが、継続は非常に困難である。」となる。

 

中国では新しい物に誰もがすぐに飛びつく。
だから、商品を紹介すれば売れることは売れるのだ。
特に、私たちの商品は「施工技術」「洗車技術」が必要なので、
その技術を教えると言えば、
熱心にそれを学び、習得する。
そして、ケミカルや道具などを買って、自分の店の商売に使う。

 

ここまでは難しくない。
しかし、頼さんいわく
「技術を憶えるために一回目は商品を買うんだけれど、
技術さえ身につけたら、すぐに似た様なニセの安物を適当に買っちゃうんだよね。
二回目の注文はまず無い。
だから、一生懸命教えても施工店が増えていかない。
中国はニセ物でも何でもいいんだから、困っちゃうよ。」

 

いくらキーパーの技術や洗車技術を教えこんでも、
その技術は、自分の身に付いた瞬間から自分のものであって、
それを使って何をしても自分の勝手である。
そのキーパーの施工技術を曲がりなりにも使えば、
材料が粗悪なニセ物であっても、
あるいは仕上がりがメチャクチャであっても、
キーパーはキーパーだと平気で主張する。
ニセ物と本物の区別などここにはないのかと、地団駄を踏む思い。

 

 

「快“潔”隊」という洗車屋チェーンが北京に出来たそうだ。
その「快“潔”隊」のフランチャイズ募集パンフレットを見ると、
「快“洗”隊」そっくりのサロペットのユニフォームが紹介され、
同じような道具と、キーパーのパンフレットからそのまま取り出したイラストが
いたるところに載っている。
完全なパクリである。
この洗車屋チェーンは、
上海の快洗隊において施工店としての技術研修を受け、
北京に帰ってから
それを元に、マネをしたりパクッたりして快潔隊なるニセ物を立ち上げたらしい。
あまりもの図々しさに、見ているだけでムカムカしてくる。

 

数件の店舗が載っているが、
よく見ると、店舗の色を変えたり、角度を変えたりして撮ってあるだけで、
どれを見ても同じ店であり、
一軒の店舗しかないのに多くの店があるように見せかけている。
いかにもインチキくさい。
教育スタッフとして紹介されている集合写真も、
白人とか黒人まで入っていて、中にはインド人らしき人間まで写っている。
何から何までインチキくさい。
こんな表っ面だけのパンフレットでフランチャイズチェーンをでっち上げてしまい、
それが通用してしまうとは、あきれた口が塞がらない。

 

中国ではニセ物との闘いであるとは、
中国で商売を始める最初の頃、中国をよく知っている人から教えられた。

 

ある有名な化学用品メーカーAが中国への進出を考え、
マーケット調査にスタッフを中国に送ったところ、
びっくり仰天の報告が帰って来た。

 

報告によると、
中国にはすでにAブラントの製品が普及しており、
それもディスカウントショップなどにはずいぶん安く出回っているというのである。
もちろん、メーカーAはいまだかつて中国に製品を輸出したことなどない。
つまり、
本物のAが進出を考えるはるか以前から
Aブランドのニセ物の製品が中国で造られ、
中国全土に普及してしまっているというのだ。

 

あきれたAは、中国進出をあきらめてしまった。
すでに出回っているものがニセ物で、あとから来た自分が本物なのだと、
いくら叫んでも誰も聞く耳を持たないであろうし、
無駄な労力であると考えたからだ。

 

このような所で、まっとうな商売が成り立つのか。
呆然としてしまうこともあった。

 

しかし、絶対に真似できない物を
拘束的な契約の元に、一軒一軒じっくりと積み上げるしかないと、
上海事務所の頼さんと確認しあった。

 

中国でのビジネスを不当に悪く行っているように思われるかもしれないが、
実際に「快潔隊」は存在するし、
キーパーとは似ても似つかぬ物で、
キーパーと称して施工している者もいる。

 

そんな中国のビジネス風土の中で
真面目な頼さんと兪、そして仲間たちが
しっかりと、まっとうなビジネスを立ち上げようと頑張っている。
前途多難ではあるが、
真面目な人間が、本物の商品で、
本物の技術を持って、
まっとうにビジネスを組み立てていけば、
インチキのニセ物なんかに負けるわけがない。

 

たった一日であったが、今回の上海出張はたくさんのことを考えさせられた。

 

 

上海から帰った午後、いくつかののスケジュールをこなしたあと、
東京から打ち合わせにやってきていた?見部長と名古屋駅の近くで飲んだ。
彼はどんなに遅くなっても東京の家に帰ると言って聞かないので、
名古屋駅近くで飲んだのだ。
名古屋駅は、クリスマスのシーズンになると
きれいなイルミネーションで飾られる。

 

 

そして、今は、何故か、札幌!である。

 

 

札幌営業所のボンゴ号で

 

 

朝5時に起きて、7時25分の飛行機で札幌にやってきている。
丸一日のあいさつ回りを終えて、
夜、合流したサコさんと飲みに出る。
金曜日で、ちょうど忘年会がピークである“ススキノ”は、
何年ぶりかで見るような賑わいであった。
また飲んだのは、すでにダイエットが崩壊している証でもある。
ダメな私なのだ。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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