谷 好通コラム

2007年01月13日(土曜日)

1553.15分前の土壇場

来週15日から「新春セミナー」の全国巡りが二週間がかりで始まる。
今日はその前々日、事務所では展示物の準備が佳境に入っていた。
どのような物を展示するのかはミーティングで決めた。
だから私も承知しているわけで、
展示物もセミナーの話の内容に合わせてあるはずなのだが、
私は、まだ、このセミナーでどんな風に話をするか決めきっていない。
「そんな無責任な。」と言われるかもしれないが、
話すべき要素は決まっている。
だから、展示物が何であるべきなのかも決まっている。

 

つまり、その要素をどんなストーリーで話すのかが決まっていないのだ。
私はいつもこんな風だ。

 

去年、400人の選ばれた人たちを前に1時間喋らせていただいた時も、
話すべきことは、とうに決まっていたので、
それをパワーポイントに落として準備は出来ていた。
しかし、結局それをどういうストーリーで話すのかが直前まで決まらず、
ほんの1時間前まで考えて考えて、
パワーポイントのページの順番を変えたりしていた。
「これで行こう」と、決めきったのわずか15分前であった。
こう書くとなおさら「無責任だ。」と、言われてしまうかもしれないが、
いつも私はこんな風で、
だから仕方ないと言うと、
やっぱり「無責任だ。」と言われそうだが、
これが私のペースになってしまっていて、それで、とりあえずうまく行っている。

 

この時も、同行していた畠中君が、
私が土壇場までパワーポイントの順番までいじっているところを見て、
「え~何やってんですか、まだ決まっていないんですか?」と、驚いていた。
「あ~そうだよ。いつもこうなんだ。」と言ったら、もっとびっくりしていた。

 

最後の最後まで怠けていて切羽詰らないと覚悟が決まらない、というわけではない。
のんびりしているように見えて、本人はかなり必死なのである。

 

話をさせていただく相手の人達、つまり聴衆となる人達に会って、
この人達に何をどう伝えれば、どう伝わって、どう役に立てるのか。
実際にお顔を見て、
話をしてその人たちから何が返って来るのか、
どんな反応が返って来るのか、
その会場がどのような感じになっているか、
自分の前のプログラムで、誰がどんなことを話したのか、
たくさんの要素を実感として感じることが出来ると、
一挙にその日のストーリーが決まることが少なくない。

 

場合によっては、
実際に演台に上がって話を始めてから、
その日のストーリーを決めることすらもあるくらいだ。

 

たくさんの人に集まっていただいた上に
私の話を聞いていただくのは、
私たちの考え方と理想を提示し、
それが皆さんの求めるものであるのではないだろうかと提案し、
それを実現するために造り上げた事や物や方法を紹介して、
具体的な手段を提案していく。

 

話をさせていただきたい要素は決まっているが、
それを、どう、相手に解りやすいストーリーとして作り上げるかどうかが問題である。
話には必ず相手があるから、
その相手にどう話せばうまく伝わるのか、
最後の最後まで迷ってしまうのだが、
下手をすると、演台に上がって話を始めて、皆さんの反応で
その日のストーリーを変えることすらあるということになる。

 

キチンと解りやすく話が伝われば
それが本当に皆さんの役に立つものであれば支持されるし、
そうでなければ支持されないという事実も納得できるのだが、
話が解りにくくて「よく解らない。」ことで支持されないのでは、なんとも悔しい。
だから、本当に一生懸命考えて、考えて、
でも、皆さんにお会いしてから直前に変えたりすることになる。

 

決して「土壇場になってから考えればいいや。」なんていう、
のんびりしたものではない。
正直言えば、こんな今の時期が一番苦しい。

 

何をどう話して行けばいいか。
ああでもない、こうでもないと悶々としていても、
その場になってみなければ解らないことがあって、どこまでもすっきりしない。

 

しかし、悶々として夜が眠れなくなるかと言うと、
幸いにも驚異的に寝つきのいい私は、
布団にさえ入れば寝られるという天然の習性が、その苦しみから救ってくれている。

 

万が一、興奮状態になって寝られなくなっても、
いっぱい焼酎の湯割りを飲みながら、カップラーメンを一つ食べると、
お腹がいっぱいになり幸せになって、百発百中熟睡の世界に入ることが出来る。

 

そろそろ寝ようかな。
それとも、もっと考えるかな。

 

もっと考えても、結論は出ないことは分かっているんだから、
やっぱりもう寝よう。
それに、寝る直前の焼酎とカップラーメンは肥満の最大の敵だし。

 

土曜日の事務所は、展示物の準備に忙しい。

 

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2007年01月13日(土曜日)

1552.でかすぎたテント

(この話は12日に書いたものです。)

 

本日、東京での朝はゆっくりであった。
朝一番の仕事が新小岩にある東京営業所で、
泊まったのが錦糸町のホテル。
すぐ近くなので、久しぶりにゆっくりと寝せてもらった。
東京での仕事はいくつかあり、
どれもとても大切な仕事ばかりであったのだが、
その中でもとりわけ心配であったのが快洗Wingに取り付けた「屋根」であった。

 

洗車をする場所でもある快洗Wingにはぜひ日陰が欲しかったし、
ユーザーさんからの要望も大きかったのだが、
なかなか思うような屋根が造れなかった。

 

最初、快洗Wingの3本の支柱に、
そのまま、テント地か何かで屋根をつけてしまおうと考えたのだが、
快洗Wingの設計者が、
「静止状態ではまったく問題はないのだけれど、テントが大風にあおられた時に
支柱が揺れ、Wingのレールとシャトルの動きに問題が出るのではないでしょうか。」
と、頑として試作すらさせてくれない。

 

安全を第一に考えるべき設計者としては当然のことではあるが、
「手洗いの場所は日陰であるべき」と普段言っているにもかかわらず、
快洗Wingを取り付けた場合、別に大きな屋根を構築物として作らなければならない。
これは建築屋さんの仕事なので、
それぞれの運営店さんがご自分で手配するしかなかった。
早く、快洗Wingにぴったりの屋根を、と言うより、洗車とか仕上げ、
あるいはコーティングの作業にぴったりの屋根を、
自前のものとして作り上げたかった。

 

屋根を考えるならば、やはり軽いテントで作りたかった。
素材を軽くすることによって構造物の一つ一つが軽くなって
すべてのものが軽くなり、コストの面でも有利であるはずと考えた。
それに、洗車に軽快感を出すためにもテントの軽さがちょうど合っていると思った。

 

いつも快洗隊のテントを作ってくれているテント屋さんに、
まず設計を依頼して色々と考えてもらったのだが、
建物のテントとは勝手が違ってなかなかうまく行かない。
あまりしつこくお願いをしていっても、
かえって申し訳ないと思い、また、時間が経ちすぎるのも良くないと考え
インターネットで色々な業者さんを探した。
それでやっと引き受けてくれるところを見つけ、やっと今回の試作となったわけだ。

 

快洗Wing実物を見ながら屋根の設計図を描いてもらって、
何度も打合せをして、
試作品を作ろうかという段階で「これはちょっと大きすぎるかもしれないな。」と、
一回り小さくした物を実際に造ってみた。

 

取り付ける場所は、
当初、すでに快洗Wingを設置してあるユーザーの店舗にしようと考えたが、
ちょっとした予感があって、
急遽、とりあえず自前の東京営業所の快洗Wingに取り付ける事にした。

 

どんなに完璧と思って造ったものでも、
実際に使ってみると思いも寄らぬ不具合が出てしまうものだ。
そんなことを思い、自前の場所に取り付けて見たのは正解であった。

 

本当に、
お客様の所に
ぶっつけ本番で取り付けなくて良かった。

 

でか過ぎたのである。
あまりにもでか過ぎた。

 

図面上で考えたものと実際は、
やはり、かなり違っていて、
造ってみて取り付けてみたら、かなり、でか過ぎて、
大風が吹いた時にはやっぱりやばそうに見える。
静的な強度計算的ではまったく問題ないのだが、
新たに建てた2本の支柱では、
思いも寄らぬ大風が吹いた時にはテントがあおられて、
持たないかもしれないと、見た目に感じたのだ。

 

それに、こんな大きなテント面積でなくても必要な日陰は十分に得られる。
やっぱり実際に造ってみないと何も分からないものだ。
実際に造ってみて何をどうすれば良いのか、
よ~~~く解った。

 

出来るだけ早く、日陰を恩恵を持っていただきたいと思って、
初めて作ったテントをお客様の店舗に付けようと考えたのだが、
うっかりそんなことをしたら、ひょっとして返ってご迷惑をおかけしたかもしれない。

 

東京トレセンの快洗Wingは屋内にある。
風の影響は全く受けない。
だから、
これから何年間も、
東京トレーニングセンターには
このデカ過ぎるテントの屋根が置かれ続けるだろう。

 

「物事は慎重にも慎重を期してせねば、とんでもない間違いを起こすこともある。」
そんな教訓の証として、
赤いデカテントは、あり続けるのだろう。

 

ちなみに以下の写真のテントには、
肝心な屋根がない。
でか過ぎて、屋根になるテント部材を人力ではとても上げられなかったからだ。
ホント、やってみなければ分からないものだ。

 

 

すべての仕事が終わって名古屋に帰ったのは日付が変わっていた。
いつものことながら、無茶な日程であった。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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