谷 好通コラム

2007年04月28日(土曜日)

1626.何の勘違いか?

何日か前の快洗隊日記に、
「軍隊では『上官の言う事は絶対』であり、
例えどっからどう見ても真っ黒な物でも上官が白だ!と言えば
下の人間は白だと認識しなければならない事です。
昔から快洗隊はこの仕組みをそっくりそのまま実践しています。
というよりもほとんどの組織が縦社会であり、序列を重んじてこそ規律が成り立ちますが
とりわけ快洗隊はその色が濃いようです。」
とあった。

 

え~っ? 快洗隊は昔から軍隊式であった?
私には寝耳に水であり、
快洗隊を軍隊式に育ててきた覚えはまったくない。
快洗隊の組織は
軍隊のように上意下達の一方通行のコミュニケーションで
成り立っているわけでもないし、
スタッフ一人一人の意見が、快洗隊の運営に反映されていると思ってきた。
4年間?快洗隊の社長をやってきた畠中君も、
決して軍隊式でもなければ、
体育会系の価値観を持っているわけでもなく、
むしろ、快洗隊を作り上げていく過程で、
彼は私に対して決して服従するタイプではなく、しっかりと議論をして、
納得をしないと動かないタイプであった。
言ってみれば、軍隊式とは正反対の社長であったし、
部下に対してもそうであったと信じている。

 

「快洗隊は昔から軍隊の仕組みを取り入れていた。」と来たから、
一体どうした事か、
快洗隊の中で何が起こっていたのか、
スタッフからの意見が経営当事者にまで上がってこない組織としての欠陥があって、
それに対する批判であるのか、
内部告発なのか。

 

 

これを書いたスタッフにメールを送った、
「軍隊とは、戦争のために作られている組織であって、
人と人が殺しあう戦場という非人間的な現場においては、
上位下達の一方的な伝達で組織全体が動かねばならない必要があるので、
軍隊独特の序列上下間の特殊な関係が作り上げられているものであって、
決して快洗隊には当てはまらない。
そういう意味で、万が一、快洗隊が軍隊式であるとするならば、
快洗隊は非民主的な組織であり、
一人一人の人間性を踏みにじるような運営がされている。ということになり、
私自身、大変不本意な会社を作り上げて知った事になり、
多くの人の失望を買う事になる。
快洗隊では、
誰が誰に、何を言ってきても、それを封殺することなく、
キチンと議論がされているはずだ。
絶対に快洗隊は軍隊式ではないと思いますよ。
もし、そういう空気があるとしたら、私にとっても大問題です。」

 

こんな内容を、
かなりの文章量で書いた。

 

その返事が、正直言ってピンと来ないものであったので、
私自身、もう一度言い方を変えて、長い文章を書き、
その何時間後、ちょっと解りにくかったかな?と思ったので、
また、言い方を変え、違う角度で長い文章を送った。

 

今度はしばらく返事が来ない。

 

どうしたのかな? と思っていたら、
ひょんなことで、すべての意味が解った。

 

これを書いた彼は、「軍隊が好き」だったのだ。
戦争が好きというわけではないとしながらも、
「興味がある。」という部分がそうだったのだろう。
軍隊という一方通行の上意下達のコミュニケーションで成り立った
規律正しい社会を形成している軍隊という組織と、
その中での人間関係が作り出している文化が、彼は好きであったのだ。
だから、
「快洗隊は、軍隊式の上下関係を昔から取り入れていた。」
とは、
快洗隊を“否定的”に言っているのではなく、
むしろ、“肯定的”に、美徳として言っていたのであろう。
むしろ、誇りを持って、
「軍隊式を快洗隊では実践している。」としたらしい。

 

その上で、
「快洗隊は軍隊ではないのだから、
チーフ以下はもっとマネージャーに意見を言った方がいいよ。」
という意見だったらしいのだ。

 

多くの場合、
「どっからどう見ても真っ黒な物でも上官が白だ!と言えば
下の人間は白だと認識しなければならない。」
という軍隊式の関係は、
非民主的であり、非人間的な関係として否定的に捉えられるのが普通だ。
しかし、
そのような人間関係の中で造られる独特な文化もあり、
戦争中という特殊な状況においては、
この関係が非常に有効でなのであろうし、
戦争映画の中では、その文化が独特の物語を作り出していることがある。
そして、それを自分の感性に写した時、彼はそれが好きだったのだろう。

 

それでも多くの人は、軍隊式と言えば、
それだけで、悪しきものとして否定的な感覚で言う場合が多く、
軍隊の持つ独特の文化を、
「肯定的」な意味で使うことは稀である。

 

だから、「快洗隊は昔から軍隊式だった。」と言われれば、
それは批判であると感じ、快洗隊の在り方を否定する言葉と感じるのが普通だ。
まさか、「軍隊」が好きで、
「軍隊では『上官の言う事は絶対』であり、
例えどっからどう見ても真っ黒な物でも上官が白だ!と言えば
下の人間は白だと認識しなければならない事です。
昔から快洗隊はこの仕組みをそっくりそのまま実践しています。
というよりもほとんどの組織が縦社会であり、序列を重んじてこそ規律が成り立ちますが
とりわけ快洗隊はその色が濃いようです。」
と言えば、批判であると取るのが普通で
これを肯定的にと言っているとは、私自身も考え付かなかった。

 

この中で快洗隊が軍隊式のようだ。としているのは、
多分、初期の研修で、
とりあえず技術を憶えるのか先決だから、
「議論をする前に、
とりあえず一度、技術と快洗隊のマニュアルを受け入れてしまって欲しい。」
として、一方的に色々な技術と、接客などのマニュアルを
身につけてもらう時期がある。
ここの部分を言っているのか、
普通の会社の上下関係をも、
それが上下関係であるならば、それ自体を軍隊式としてしまっているのか。
何を勘違いしているのかよく解らないが、

 

いずれにしても、本人としては
彼にとっては軍隊が持っている良い面を、快洗隊が持っているという
肯定的な意味で書いた文章だったのに、
軍隊の仕組みは民主的でないとか、
非人間的であるとして、
「快洗隊は軍隊とは全く違う。」と書いて来られても、
何をそんなに力んでいるのかと、不思議であったのかもしれない。

 

人はそれぞれ色々な経験を持っており、
好んで読む文章だったり、話であったり、DVDなどが、
標準的である価値観とは少々違ったものになるのは自然な事である。
それを個性と呼んでもいい。

 

多くの人が否定的に感じる事柄を、
むしろ肯定的に感じる個性があってもいい。
それを受け入れる事が出来るのが、文化であり、民主主義なのだろう。

 

そうだとしても、快洗隊は軍隊式だと、
快洗隊の人間が書いたことにはびっくりした。

 

軍隊好きの誰かが何かを勘違いをしたのであるとしても、
誤解を招くといけないので大きな声で言いたいが、
快洗隊は、客観的に見れば決して軍隊式ではありません。
決してありません。

 

 

 

大好きな横山さんが、
二日間にわたる難産の末に赤ちゃんを産んだそうだ。
私はまた何十人か目の子供のお父さんになったような気がする。

 

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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