谷 好通コラム

2007年05月11日(金曜日)

1633.ビジネスを進める

ビジネスを進めていくのにコストを無視するわけにはいかない。
それどころか、そのビジネスが素晴らしいコンセプトを持っていても
コストを如何に節減して管理するかによって、
ビジネスが活きるかダメになるかの差が出来るものだ。
ビジネスは利益が出て初めて存続するのであって、
垂れ流しの赤字が出るビジネスなどは、世の中から容赦せずに切り捨てられる。

 

ビシネスを作り上げていく過程において、
そのビジネスそのものに採算性があるかどうかが、まず、最初の問題であり、
考えうる限りのシミュレーションを引いて、勝算があるかどうかを吟味する。
ここがいい加減では、どんな投資もしてはならない。
ビジネスはギャンブルでもなければ、趣味でもなく、ビジネスなのだから、

 

そして、初期投資は出来うる限り最小限にとどめる努力をするべきだ。
初期投資はその多くのものが償却資産やリース物件として後々まで残り、
毎月のコストとして、ひと月も抜けることなく重くかかってくる。
何百万、何千万円の機器なども、
何年かの減価償却やリースに分割すれば毎月数万、数十万円になり、
大したことはなさそうに思えてしまうが、
ビジネスそのものが一年単位、何年か単位での採算で考えるものであって、
毎月の支出も、それが連続するものならば
「○×12ヶ月」、「○×何年×12ヶ月」という単位で採算に対し確実に影響してくる。

 

そこで肝心な事は、
「必ずしも必要ではないが、あった方がいいように思えるもの。」
「必ずしも、最初からなくてはならないものではないもの。」
これらのものを、
最初の段階で取り揃える欲求を抑えられるかどうか。

 

何か新しいことを始めたり、造ったりする時、
あれも欲しい、これもあった方がいいと、普段の金銭感覚が狂ってしまう事がある。
私も家を建てた時、何もかも新調しなくてはならないような錯覚をおこして、
ずいぶん無駄な物を買ってしまった覚えがある。
ビジネスとは実際に動かし始めてみなければ
現実にどういう動きをするか誰もわからない。
誰もが絶対にイイとしたものが、さっぱりダメである事も多いし、
誰もがダメだろうと判断した事でも、やってみたら大繁盛する事もある。
ましてや、何が必要であって、何が不要であるのか、
やってみなければ分からない事の方が多い。

 

新しいビジネスを始める時、
「あれがなかったからすべてがダメになってしまった。」という事がないように
すべてに気を配り、よくよく検討しなければならないのも当然であるが、
そのために何でもかんでも揃えてしまうと、
初期投資が大きくなりすぎて、
成功するはずのビジネスが不採算になる可能性がある事も忘れてはならない。

 

ビジネスは、より大きな可能性を引き出す動きをすべきであると同時に、
ビジネスそのものの足かせにならないように、
最小のコストで運営する事も、同じくらい大切なことだ。

 

特に、金銭感覚が麻痺してしまう初期投資段階では、
より厳しいコスト意識を持つ事が必要であり、
毎月定期的に連続して発生するコストは、
ボディブローとして大きなダメージになってくることを忘れてはならない。

 

 

毎月、定期的に連続して発生という意味では、
人件費においても同じことが言える。
居れば居たで便利ではあるが、
よく考えれば、居なかったとしても居ないように済んでしまう。
そんな人間を無用に生み出してはならない。

 

一人で出来ることを二人でやるような場面を撲滅せねばならない。
やらなくてもいい仕事を、
たまたま余分な人間が居たばかりに、
無駄にやるようなことを場面を根絶しなければならない。

 

思い出すべきだ。
たとえば、洗車は一人でやるのが最善であり、
二人でやっても、二倍の効率が生まれるわけでもないし、
二倍の品質が出来上がるわけでもない。
むしろ二人でやった洗車は、一人が集中してやった洗車よりも遅いし、
いい加減な洗車になる事が多い。
これは、実際にやってみるとよく分かる。

 

無駄に人を使うと、作業効率が下がり、仕事の質までが低下する。

 

人件費ほど大きなコストはない。
人件費も減価償却やリース料などと同じように毎月に支払われるので、
大したことがないように思えるかもしれないが、
年単位で考えると莫大な支出である事に気が付く。

 

年商10億円の会社が経常利益として計上しているのは、
普通の水準の会社で1000万円~3000万円程度のものであろう。
今、日本の労働者の平均年収は400万円弱であることを考えると、
搾り出した滴のような1000万円の経常利益は、
2人半の無駄な人件費で霧散してしまう事になる。
年商10億円、粗利益率30%のごく一般的な会社の社員数が50人だとすれば、
2.5人/50人、つまり5%の無駄で利益ゼロの会社に陥ってしまう事になる。

 

おまけに、無駄な5%の存在で、
仕事の効率が落ち、質までが落ちてしまうことを考えると
利益ゼロでは済まないであろう。

 

反面、会社というものは人間によって作られているものであり、
会社に利益をもたらしてくれるのも人間である。
貢献してくれる人間が居てこそ、会社は成り立っている。
会社は人なり、人は企業の宝とは疑いのない正しい言葉である。

 

無駄な初期投資が後の継続的な重い荷物になるように、
無駄な人件費は経営にとって致命的な損失になる。
そのことを十分に承知の上で、
思い切った判断で初期投資をすることを恐れていては
新しいビジネスは始まらないし、
社会に貢献し、誇りを持って仕事が出来る人間が居なければ会社は発展しない。

 

肥大組織は論外だが、少数精鋭では限界がある。
より進化し、拡大しようと考えるならば“多数精鋭”を目指すべきだと思うのだ。

 

ビジネスは慎重でなければならない。
何につけても厳選しなければならない。
しかし、大胆な判断が出来る事も絶対に必要なのだろう。

 

アイ・タック技研は、大胆にスタッフを募集し、
多数精鋭を一段と進めることを決めた。

 

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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