谷 好通コラム

2007年08月19日(日曜日)

1712.異常な飛行の経験

今、仙台行きの飛行機に乗っている。

 

月曜日の昼からの仕事が仙台であるのだが、
仙台行きはANAとJALの午前便が一本ずつあるのだから、
月曜日のそれに乗ればいいのだが、予約するのをサボっていて満席になってしまった。
だから、仕方なく日曜日の今日の夕方便で前日入りすることにしたのだ。

 

今回の飛行、
離陸直後からすごいことになっている。

 

飛び上がった直後から、上空の雲の中で雷が走って不気味な光を放っているのだ。
「空雷」という地面に落ちずに、雲の中で放電してしまう雷の一種だ。

 

遠い空雷は雲全体が一瞬、ボォっと光って、
近いのは雲の中を真横に稲妻が走るのがはっきりと見える。

 

飛行機は空雷を避けて、いつもの航路から大きく外れて迂回している。
北行きの飛行機なのに渥美半島から浜名湖上空を飛んでいるのだ。

 

高度も雷雲を避けるようにジワっとしか上げていかない。
こんなことは非常に珍しい。
窓の真横に、しかも結構近くに稲妻を見ながら、
ゆっくりした上昇で大きく迂回しながら、いつもと違うところを飛んでいるわけだ。
もっとも、飛行機に雷が落ちても、飛行機は機体に避雷針を備えているし、
機体自体の外殻が導電体で出来ているので、
機内にいる私たちは全く感電することもなく心配することはない。

 

それでも、パイロットは結構緊張しているはずだ。
先ほどから微妙に左右にコントロールしているし、
エンジンを絞ったり噴かしたりして、
高度も調整している。

 

巡航高度に達してからも
高度10,000mまでもの高さになる巨大積乱雲のてっぺんが、
先ほどから窓から真横に見えるのは不気味だ。
気体がガタゴトと揺れるのは、やはり気流が乱れているのだろう。

 

めったに見られぬ窓からの光景が何度かあったが、
しかし写真は撮っていない。

 

今日の席が、前から二番目であって、
機体がANAの中でも少数機になってしまったエアバスA320であり
スチュワーデスさんとの隔壁が透明であったので、
離陸中に写真を撮れば必ず注意される。
だから、どうせ、いい所では写真が撮れないだろうと思ってカメラを鞄から出さなかったのだ。

 

大変残念なことをした。
やはり、「どうせ」と思っては絶対にいけない、
どこでどんなチャンスがあるかもしれないのだから。

 

しかも残念ながら、この非常に珍しい状況に気がついているのは、
ひょっとしたら私だけかもしれない。
他にも誰か気が付いている人がいるのかもしれないが、確かめるすべはない。

 

解っているから、気が付くことがある。
私はすでに飛行機に千回以上は乗っている。
だから、この異変に気が付き、ドキドキしながら楽しんでいる。
普通の人は、これがどんな意味を持っていて
窓から見える光景がいかに異常であるか、
たぶん解らないであろう。
毎日飛行機に乗っているキャビンアテンダントも、
外の景色を見ることはほとんどないので、理解できないだろう。
こんなことってあるものだ。

 

と、ここまで書いて窓の外はもう真っ暗になってしまっている。日が暮れた。
そろそろ降りるころだ。

 

仙台では中さんが、
仙台駅で待ってくれていて一緒に飲もうという事になっている。
今までなら、空港まで迎えに来てくれていたのだが、
空港から仙台駅への直行の鉄道が開通しているので、それに乗ってみたかった。

 

着陸態勢に入ったと機内アナウンスが言っている。
もう、終わらなくてはならない。

 

 

写真は、無事に仙台に降り立ったANAのA320。
あの極めて稀な光景を見たにもかかわらず、
こんな写真しか上げられないのは、残念である。

 

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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