谷 好通コラム

2007年12月14日(金曜日)

1797.女性の偽造は可愛いが

昨日の講演のテーマは
「プロの洗車屋における人材育成」というものであった。
このようなテーマは私にとって初めてであり、
講演依頼を受けてからの約2ヶ月、
こんなに多くの時間を人材育成について考えたことはなかった。、
この機会に深く考えられたことは、私にとっても大きな収穫であった。

 

この講演で話すべきことを考えているうちに、
今よく言われている「ESなくしてCSなし。」
あるいは「CSとはイコールESだ。」ということについて考え
このコラムでも何度も書いた。

 

講演では、初めての話なので緊張もしたが、
最後に、自分がこのことについて出来ていないことを白状し、
失敗例として話したことは、
お聞きいただいた方たちにどのように聞こえたろうか。
「成功の話だけでなく、失敗の話こそ聞きたかったので共感した。」という声は聞いた。
しかし、ひょっとしたら
「講演なのだから、失敗談は興ざめだ。」という声もあったのではないだろうか。
終わってからとても心配であった。

 

今回のように、いつもの話ばかりではなく、
新しい角度からの話をさせていただく機会を持たせてもらって、本当に良かった。
いずれにしても、飾った話でもなく、自分に都合の悪い話を隠して話したわけではなく、
正直な話をさせていただいたことに悔いが残らなかったのは確かである。

 

 

そもそも、事業というものは、あらゆる意味で「成功」を目指して始められたものだ。
事業における成功とは利益を出し、成長し、拡大することにある。
これは宿命だ。
そして、その成功の意味と目的が、
事業を始めた人の動機によって違うのは当然であるが、
それが個人的「金儲け」であろうと、志の高いものであろうと、
事業そのものの持っている社会的効果が社会(一般消費者)にとって有益ならば、
その事業は成長し拡大する可能性を持っているであろうし、
成功する可能性は大きいと言える。
逆に、
その社会的効果が社会にとって害悪をもたらすものならば、
社会がその事業を排除する方向に向かうので、遅かれ早かれ消える運命にある。
または、その社会的効果が社会・消費者にとって”どうでもいいもの”ならば、
あえて抹殺されることもないが、成長することもないだろう。
つまり、成功することはない。

 

事業の成功とは、その事業を推進するに当たって、
社会的効果が社会あるいは消費者にとって有益であることが条件となってくる。

 

ならば、事業として成功する鍵とは
社会および消費者(買ってくれる人、お客様)にとって有益であることとなる。
となると事業を起こして成長拡大して成功したいならば、
たぶん、お客様と社会にとって有益であることをすればいい。簡単なことである。

 

お客様にとって有益なこととは、
事業が提供する物・サービスに対して、
お客様が満足するということでもある。
つまり、結局、事業の成功=顧客満足(CS)ということとなる。
顧客満足とは接客の良さだけを指すものではなく、
商品の必要性、お客様の欲求に与える満足度、商品の質、その提供方法、
提供方法の中における店舗側(会社側)の接点の質、あるいは接客、
そのすべてを包括したものだ。
そのすべてが満たされた時、
すなわち多くの人が買い、買い続けて(リピート)くれた時、
大きな成功が、その事業に対してもたらされる。
だから、事業の成功度合いとは、お客様の満足度そのものであると言ってもいい。

 

そして、社会に有益なこととは、
会社が接している最も近い社会である社員、アルバイトさん、パートさんなど
事業を形成し、動かしているスタッフの満足がまず条件なのだろう。
そして、その両方の満足が、社会全体にとって有益なことであるかどうか。

 

 

事業の動機が、自分の金儲け、自分の満足のためだけにあり、
お客様に有益とかお客様に満足を与えるなどということはどうでもいいとして、
一見、お客様受けのいいことをやっていても、
賞味期限をごまかしたり
悪い材料を使ったりしていると、いつかボロが出て、
事業そのものが社会から抹殺されることになる。
ボロが出た後でもまだ嘘の芝居を演じ続け、
醜態の極みをさらけ出し続けた船場吉兆などの一連の偽装事件は、
人間の醜い部分と愚かさを見せ付けられた典型である。
私はああまでして事業を続けたいとは思わない。
いやな事件が続く今の世の中でも、久しぶりに見たもっともいやな光景であった。

 

女性が何歳かでも若く見せようとする偽造は、
とてもかわいいが、(*^_^*)

 

事業者の我が身の目先の利益のための製品偽造は、
もっとも醜いものだ。

 

 

仕事は自分自身の魂に対して尊厳を持って本気でやらなくてはならない。
だから、失敗もある。
失敗こそが学ぶ原点であり、進化の動力である。
救われないのは、その失敗を認める事が出来ない自分があった時であろう。

 

 

 

今日は、
一昨日の愛知での記者会見に続いて東京営業所での記者会見。
同席のスタッフたちは「分かりやすかったですよ。」と言ってくれるが、
彼らが知っているから分かりやすかっただけであって、
知らない人が、今日の私の話で何をどこまでご理解いただけたのか、
正直言って、自信がない。
(いけないとは思いながら発してしまったギャグが見事に外れたのは当然であった。)

 

年も暮れになって、新しいことが続いていて少々くたびれ気味になっている。

 

 

明日は役員会のあと、夕方から札幌に飛ぶ。
多分、真っ白になっているはずの北海道の景色を見るのが楽しみでしょうがない。
楽しみでしょうがない。

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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