谷 好通コラム

2008年05月07日(水曜日)

1909.自己防衛的「いや、それは・・」

私は会社のトップなので、
社員、役員たちに仕事についての指示をすることが多い。
仕事を円滑に進めるための指示とか、
仕事の進行に修正を加えるための指示があるが、
いずれの場合も、
指示を与えた人に対して、
今後その仕事の与えていく為の教育的な意味合いが伴っている。

 

自分が主導で仕事を進めていく過程において、
発生する事柄をすべて一緒にやりながら、
その仕事のやり方、見方、考え方をその人に伝えていくということだ。

 

そうすることによって、
自分しか出来なかった仕事と、その質を、他の人に伝え、
他の人が出来る仕事の種類と量を重ねていく。
またそのつどの新しい判断も伝えることによって、
時代の変化に一緒について行こうという意味もある。

 

社長の仕事は一人何役でもあり、
その役割一つ一つについて、
いつも最も先鋭的かつ創造的でなければならず、
時代の最先端を行こうとするならば、
今の自分を、いつでも自在に否定する力も持っていなければならない。
自分を否定する力を持っていないと、新しい時代、事態、状況を正しく判断できず、
新しさを吸収することが出来なく、
吸収出来なければ、そこからまた新しさを創り出すということも出来ない。
つまり、創造的ではいられなくなる。
社長が創造的でなくなると、会社全体が時間と共に古びて行って、
つまり時代遅れになって、沈滞していく。
創造性とは、実に、自己を否定し、
新しいもの、新しい考え方、新しい見方を自己の中に受け入れていく力なのだ。

 

自己を否定する力とは、
今までやっていた事を新しい視点から見た時に、
それが間違っていたと気付く力とも言える。
その新しい視点とは、自分が持ち得た違う視点でもあり、
あるいは、多くの場合は、他人の意見である。

 

しかし、
人に何かを教えようと意見を言った時、
「いやっ、それは・・・」と必ず言う人がいる。
まず、自分に与えられた意見とか、見方、考え方、判断を、
自らを守ろうとするばかりに、
まず、言われたことを否定しようとするのである。
あるいは、与えられた自分と違った意見から自分を守ろうとせんばかりに、
言われたことを「いやーっ、それは・・・と」否定し、自己防衛するかのようだ。
まず、「いや、・・」と、こちらが言ったことを否定し、
なぜ自分が正しいかを主張する。

 

こちらが言った意見が正しいとは限らない。
むしろ、正しいことの方が少ないだろう。
正しいこととはその人の立場によって変わることもあるし、
私なんか、とてもとても、正しいことを言えるような見識を持っている訳ではない。
私は正しいをことを言っているのにという意味ではなく、
その人が持っている意見や見方とは違う、別の意見を言っているのだ。
まず、何を言っているか、
なぜそう言われているかをまず理解しようとすべきだと思うのだ。
その前に、「いやっ・・」と受けた意見を否定し、自己主張を始める。

 

あるいはもっとたちの悪いのは、
人の意見をもっともらしく聴いている振りはするが、
腹の中では「イヤ。それは違う。でも反論するとうるさいから・・」と、
納得したような振りだけをする場合だ。

 

受けた意見をまず否定した上で聴く人は、
自分に学ぶことが全く出来なくなっていることに気が付いていない。
人の意見を聴く能力が全くなくなっていることに気付いていない。
この問題は深刻だ。

 

自分が知らないことには、非常に興味を持って、
理解し、自分に吸収する力は持っているのに、
あるいは、吸収力が大きいからこそ、
ある程度知って、理解してしまうと、今度は自分で勝手に解釈を始めて、
自分なりの意見を持つと、
それ以上深く理解することをやめ、
それを否定されることに抵抗するようになるのだ。

 

その事に対する知識とか理解が浅いものであっても、
あるいは経験が少ないものであっても、
一度知ってしまうと、人から違う意見をされる時に、
事故防衛本能が働くように、「いやっ、それは・・」と、
自分と違う意見、見方、考え方を否定しなければ聞けなくなってしまうことがある。

 

こうなると、
その人は、その時点から、
そのことに関しては「学ぶ」ことがまったく出来なくなる。

 

その人の理解力を持ってすれば、
もっともっと深く、レベルの高い理解が得られるはずなのに、
浅い理解の時点で、「いや、それは・・」と、
自分の持っているものを否定し、修正することを拒否してしまうので、
その時点で留まり続けるしかなくなる。
時代が変わろうと、状況が変わろうと、以前に学習した知識と見方に留まり、
全く成長しなくなってしまうのだ。
本当は能力が高いのに、
自己を否定する力がないばかりに、
浅く、遅れた知識と、見方、考え方にとどまり浅く、低い能力に止まってしまう。

 

むしろ、理解力という意味での能力が高いばかりに、
かえってその罠にはまり込んでしまう人もいる。

 

勿体ないと思うのだ。
実に勿体ないと思うのだ。
せっかく理解する能力が高いのに、
浅い所で、自己を否定する力がないばかりに
それ以上の吸収と、進歩がなくなってしまう。
本当に勿体ないと思うのだ。

 

 

一ヶ月だけの暫定税率撤廃というガソリンスタンドの災難であったこの四月、
かなりの損を出したにもかかわらず、見事に予算を達成した各務原石油の春岡SS。
その達成会に図々しくも同席させていただき、
飲んで食って、散々好きなことを言ってしまった。
どうも、申し訳ありませんでした。
たまたまだと言うことだが、SS内がベンツとBMWだけになった瞬間を撮った。

 

 

今日から神奈川県で2軒目の快洗隊・上溝店の建設が始まった。
閉鎖SSを利用した店舗で、1,200万円の予算で、1ヶ月の工期で出来上がる。
朝五時半に起きて、打ち合わせに出かける。

 

 

相模原店に寄ってみんなと話をしてから、
午後2時の新幹線に乗って名古屋に帰る。
帰りの列車の中から「富士山」が見える。
何度見ても何度見ても飽きない富士山。

 

 

帰ってから、鳴海店、刈谷店、東海店、
そして、夜9時半から知立店と甚目寺店の四月の予算達成会だ。
終わったのが夜11時過ぎ。長い長い一日でした。

 

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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