谷 好通コラム

2008年05月22日(木曜日)

1922.人の命にまさるような面子があるのか

あまり政治的なことは書かないようにしているが、
今日だけ、あえてその禁を破る。

 

絶望的なのは「ミャンマーのサイクロン災害。」
史上稀な巨大サイクロンに襲われたミャンマーでは一説に15万人近い死者があると言う。
災害に巻き込まれ苦しんでいる人は数百万人とも。
ミャンマーの軍事政権は
このような未曾有の大災害時にも、
外国からの援助に対して、非協力という手段で事実上拒んでいると言う。
外国人がたくさん入ることによってミャンマーの内情の事実を知られたくないとか、
自らの政権を揺るがすような動きを封じ込めておきたいというのが理由らしい。
災害現場の映像が極端に少ないのも、そのせいなのだろう。

 

数百万人もの自国民が悲惨な状況に置かれているのに、
それでも、一部の人が権力に固執し、
苦しみ死につつある膨大な国民を助けてくれるという国際的な救援と援助をも拒むのは、
あまりに醜い人間の仕業と思える。

 

四川省では大地震が起きて、
数百人の子供を閉じ込めたまま校舎がつぶれた悲惨な現場が、
一つや二つではないと言う。
校舎がいくつも潰れたのは、手抜き工事が原因ではないかと
ニュースで子供の親が言っているのを映していた。
死者はすでに5万人を越え、
まだ増えるであろうとも。
それでも北京オリンピックを控える中国はこの惨状を、
出来れば、出来るだけ小さく見せたい傾向があるとニュースで言っていた。
世界にデビューしている中国は、
もちろんミャンマーのように極端な愚かな仕業は侵さないが、
その意思に同じようなベクトルを感じるのは恐ろしい気がする。

 

そうは言っても、
私自身にとっては、ここにいれば他人ごとでしかなく、
いつものように夢中になって仕事をしていれば、
ミャンマーと四川省での一千万人を越える人たちの苦しみなどまるで忘れてしまう。
実際にその場にいないと、
いくらテレビで悲惨な映像を見ていても、
涙が出てくるわけでもなければ、痛みを感じるわけではない。
そういう意味では、私の中にも、非情な権力者達の愚かさの一部があるのかもしれない。

 

離れている人の心の痛みをなかなか感じとることが出来ないのは、
仕方ないと言えば、仕方ないのかもしれないが、
自分の無力さに唖然とする瞬間がある。

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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