谷 好通コラム

2008年06月06日(金曜日)

1936.ロスから帰りの飛行機

ロス アンジェルス空港を4日の午後3時前に飛び立って、
時差で8時間戻り、(ロスは1時間のサマータイム)
飛行で11時間進んで、
日付変更線を越したので1日分進んで、
5日の午後6時くらいに成田空港に到着する。

 

ロスに向かった飛行機が速い偏西風の追い風に乗って、
ずいぶん早い時刻にロスに到着したので
逆の帰りには偏西風が逆風になって到着遅れとなり、
国内便のアクセスが無理かもしれない。と書いたが、到着遅れはまったくなさそうだ。
2日にロスに飛んできたときの偏西風は、
4日の西向きに成田へ帰る時には、すっかり収まってしまったのか。
覚悟していたのでちょっと拍子抜けではあるが、正直言って嬉しい。
間違いなくANAの中部空港行きの便に乗れるだろう。

 

ところでロス⇔成田の飛行機の中でする事が
行きと帰りではまったく違うのをご存知だろうか。
(これは私だけなのかもしれないが、)
西に向かってロスへ行く時は、追い風なのでわずか8時間半程度の飛行時間。
なのに、飛行機は地球と逆回転の方向に飛ぶので、
夜の帯に突入していく形になる。
たった8時間半の中で、
晩御飯とデザートと、一晩分の睡眠をとって、朝ごはんを食べ、到着の用意をする
だから睡眠時間は、多くても4時間くらいしか取れない。
だから食事をしながら、とにかく酒を飲んで、寝ることだけに努力する。
飛行機に乗ったのは午後6時半から、ロスに到着は午前11時半。
同じ場所にいれば(12-6.5)+11.5=17時間の時間を。
たった8時間半でこなしてしまわなければならないわけだ。
大急ぎで食べ、眠り、また食べ、と忙しい。

 

反対にロスから帰って来る時は、
地球が回っている方向と同じ向きに飛ぶことになるので、
たとえば今回、午後3時くらいにロスから飛行機で飛ぶと、
ずっと外は昼のまま11時間(偏西風を逆風に)飛んで、午後6時に成田に到着する。
午後3時から飛んだのに外は昼のままで、太陽は沈まない。

 

成田⇒ロスは、すぐ夜に突入して超短い夜を経て、ロスでは昼に近い時間にまで進む。
ロス⇒成田では、午後から飛んで昼間をずっと追っかけて夜にならないまま夕方着く。

 

帰りは、日付変更線を日付が進む方向で越すので、
4日発の5日着と二日がかりで飛ぶような印象があるが、
実際は、昼のまま11時間も飛んで、
時刻としては3時間くらいしか進んでいないことになる。
3時間分を11時間かけてやればいいことになり、やることもゆっくりだ。
まず、帰りの便では必ず映画を見る。
前回の映画も良かったが、
今回の映画は、吉永小百合主演の渋い映画で最後はお決まりの涙である。
11時間で食事は2回。
ちょっと間が空きすぎるので、間食も用意されている。

 

寝る人もいるが、私は寝ない。
1日が8時間伸びるだけなのだ。
つまり、日本で今日は午後10時過ぎには寝る事になるだろうが、
ロス時間で考えても早朝の午前6時であるだけで、
いつも午前1時くらいに寝るのが、ちょっと伸びて徹夜をしてしまったと考えればいい。
それで、日本との時差を一挙に埋めることが出来るはずだ。
というわけで、ほとんどずっと起きていて、
映画を見たり、本を読んだり、PCを打ったり、ご飯を食べたりで11時間を過ごす。
時間がなかなか経たないのでイライラすることもあるが、
帰りは一生懸命寝る仕事もないので、のんびりである。

 

特に今回のロス行きは、
たくさんの仕事を抱えてロスに行ったわけではないので、
夜昼となく、時間があったらとにかく寝た。
ロスに到着の当日、午後、夕方まで2時間。
夜11時から翌朝8時まで9時間。
その日午後から時間が余って夕方まで3時間。
その夜11時くらいから翌朝(今日)8時までの9時間。
2泊と2日で23時間!も寝てしまったことになる。
ヘタをすると私の5日間分の睡眠時間だ。
こんなに長い時間寝たのに頭が痛くなるわけでもないし、
妙にスッキリしている。
今まで生活の睡眠不足を、
時差を利用して一挙に取り戻したということかもしれない。
だから、一晩くらいの仮の徹夜なんて平気なのである。(多分)

 

ホテルのインターネットのワイヤレスLANの電波が微弱で、
苦労してあげたブログが2つ。
ホテルから上げられなかったブログが2つ、
時間たっぷりの飛行機の中でもう2つ、
この三日間で6の話を書いたのは、いかにも今回は時間がたっぷりであった証拠だ。

 

しかし、一つだけ気になるのは、
会社から持って入った宿題がほとんど出来ていないのだ。
仕事の宿題もやらずに、バカみたいに睡眠を長くとって、ブログを6つも書いてしまった。
皆に会わせる顔がない。

 

そろそろ成田まで2時間くらいのところまで飛んできた。

 

※ロス空港には日本では飛んでいない飛行機がいっぱい飛んでいる。

 

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2008年06月06日(金曜日)

1935.ほんの少しの可能性が

今ホテルの部屋の中でトニーが迎えに来てくれるのを待っている。
午前11時に来てくれる約束だが、
しかし、今日がチェックアウトなので、
10時ぐらいには部屋を出なければならないかもしれない。
それを忘れていて、11時の約束にしてしまった。
部屋の外でほかの部屋を掃除している音がしていて、
いつ、「部屋を早く出てくれ」と言いに来るかもしれない。
これがけっこう不安なもので落ち着かないのだ。
これが日本ならば、「何時がチェックアウトの最終時間ですか?」と聞けばいいだけだが、
何せ、私はほとんど英語が出来ないので、
たどたどしく聞くのもいいが、何か言われたらさっぱり解らないので、
とりあえず、じっと部屋でいて、これを書いている。

 

言葉が通じないことはほんとに不自由だ。
自分の意志を相手に伝えられないことほど不安なことはない。
また、相手の意思が理解できないことほど不安なこともない。
こんな些細なことからも、意志の疎通が出来ない不安をつくづく思うのだ。

 

 

自分が大きな病気になって、
人工呼吸器をはめられて口が利けなくなり、
手足も何も麻痺して動かなくなって、まったく自分の意志を相手に伝えられなくなった時、
それがどんなに恐怖であるか容易に想像できる。
英語が出来ないでびくびくしている私なんかとはまったく比べものにならない。

 

多くの人が、「自分が病気で倒れたら延命処置だけはしないで欲しい。」
と、家族に言っている。
私もそう言っているし、連れ合いも、私の母も、父もそうだった。
しかし、いざ、自分の家族が病気で倒れ、
今、人工心肺装置を着けなければ死んでしまうと宣言され、
しかし直る保証も出来ないが、
しかし治療を続ければ回復する可能性はゼロではないと言われたら、
私はどうするだろう。

 

その病人が、
結果的に助からなければ人工心肺は延命処置の意味でしかなくなって、
その人の意志を背くことになる。

 

しかし、結果的に助かって、
何らかの回復があったとしたら、
「生きていて良かった」と価値のある幸せがそこにあるかもしれないし、
その処置はその人を助けたことになる。その人を幸せにしたことになる。

 

 

犬を例に出すのは不謹慎であるが、
前話のミーちゃんは、
獣医さんから助からないことを宣言されたにもかかわらず、
自らの食欲でまさかの回復をした。
今では、旺盛な食欲で毎日を楽しんでいるように見える。
あの時「食べさせる」などという無茶をしなければ死んでいた。

 

命は、科学的な判断だけでは分からない部分があって、
奇跡と思えるようなこともいっぱいあって、
その確率が非常に低いものであっても、ゼロではないとするならば、
その人が回復してくれた時のその人の幸せを考えると、
その希望をゼロにすることを意味する人工心肺の装着拒否を私はできるだろうか。
しかし、それが本人の苦しみを増すだけだとしたら・・
救われない葛藤にもだえ、苦しむだろう。
その判断を冷静に出来る人は絶対にいまい。

 

自分の意志を伝えることが出来なくなった本人にとってはどうだろうか。
苦しみの真っ只中にいる時は、
あれほど頼んでおいたのに、
なぜ、私にこんな苦しみを与えるようなことをするのか。
と思うだろうし、
しかし、徐々に回復してきて、楽になってきたとしたら、
生きることに希望を持てるようになって、
私を助けてくれてありがとう。生きていて良かった。と思うだろう、

 

「愛することとは相手の幸せを願う気持ち」という言葉があるが、
だとしたら、少しでも回復の可能性があるならば、
相手が「幸せだ」と感じてくれるようになる可能性に賭ける事になるか。
多分そうだと思う。
相手の苦しみを自分の苦しみとして受け入れなくてはならない一番苦しい決断を、
相手のわずかな幸せの可能性に賭けて、一緒に苦しむことを選ぶかもしれない。

 

それがたとえば連れ合いだとすれば、子供だとしても、
人生の中で一番苦しい場面であろう。

 

そんな最も残酷な苦しみは、
自分の意志が伝えられない苦しみと、
相手の意思が解らない苦しみからつくられるもので、
愛するが故に、救いのない戦いかもしれない苦しみを耐えるしかないこともある。

 

生きるってこと。
もうすでに人生の半分以上を生きてしまったが、
いまだに難し過ぎて、思うことがあり過ぎて、混乱することがある。

 

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
    読めば読むほど元気になること間違いなし。・・・の、はず。

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