谷 好通コラム

2008年11月22日(土曜日)

2071.ただ存在する真実

ここに政治的、倫理的なことを書くつもりはないが、
テロだけはどうしても許しがたいと思うので、少しだけ書く。

 

テロは自分を否定する力が欠如している人が起こす狂気だ。

 

自分が信ずるもののためには、何をしても良い。
それが殺人であろうと、破壊であろうと、自殺であろうと、何であろうと、
自分が信じているものがそうすべきだとすれば、
何をしてもすべて許され、むしろ祝福される。
そんなことがあるわけがない。
詭弁である。

 

人が思考の中で考え出したものは、
人の思考の中という限界を超えることはできず、
ある時代のある人がある状態で考え出した真実とは、
ある時代のある人がある状態であるから考え出し得たものであって、
違う時代で、違う人が、違う状態で考え出した真実と一致はしない。
人が考え出した真実とは相対的であって、
たとえ絶対的な真実というものがあったとしても、それは人が考え出し得るものではない。
あるとしたら、絶対的な真実とは、
人間をはるから超越したところに、ただ存在し続けるだけのものではないか。

 

絶対的な真実があるとしたらそれは存在し続けるだけで、
決して、人を使って、
人を殺し、あるいは自らを殺し、
破壊することを命ずることなどしないはずだ。

 

だから、人は、
人を殺し、自らを殺し、破壊しても許されるような、
そんな絶対的な真実を持つ方法もなければ、持ちようがない。
それでも自分が絶対的真実と信じてしまったものがあったとしても、
それを理由にして殺される他人にとっては真実ではないのだから、
その人を殺す理由にはならない。

 

人は人を殺す正当なる理由を持っていない。
だから、人が他人から殺・さ・れ・る理由もあり得ないので、
殺されることを防ぐ目的で殺すことだけはあり得るのかもしれないが。

 

だから、絶対的な真実を盾に、
一方的に人を殺し、自らを殺し、
破壊する「テロ」が正当化される理由が存在することは絶対にない。
テロは、その動機が自分が思い込んだ正義であれ、宗教的な理由であれ
ただ単に自分勝手かつ残忍な殺人でしかない。

 

相対的な真実しか持たない人が
持てるはずがない絶対的な真実を盾に、
それを持たない人とのコミュニケーションの拒絶から、テロの芽が始まる。

 

自分は、いつでも、どんな状態でも、何に対しても間違っている可能性がある。
絶対に間違っていない人などあり得ない。
だから、人は他人を自分の存在と同じだけの重さを持って尊重し、
お互いに間違っているかもしれない存在として、
社会的に共存していくにコミュニケーションを持つ必要がある。
そのコミュニケーションを通じて、時には自らの意見や価値観を否定することもある。
それがコミュニケーションの役割であるし、前提でもあるから。

 

絶対に自らを否定しないコミュニケーションは、
ただの我の張り合いだけであって、
自分だけが正しい絶対的な真実であると主張することに他ならず、
それはコミュニケーションとは言わない。
絶対的な真実を盾にしてコミュニケーションを拒絶することと同じである。
そういう意味ではテロの芽でもあり、
テロは自らを否定する力の欠如であるとも言える。

 

 

自分の考えが絶対的な真実であるはずがない。
たとえ信じている絶対的な真実があったとしても、
それを信じている自分はあらゆる意味で間違っている可能性があるのだから、
自分は真実ではない。
だから、テロも許されないし、
コミュニケーションの拒絶もそれと同様に許されない。

 

いかなる理由があろうと、
いかなる信条があろうと、
テロはただの残虐な殺人であり、無駄な自殺であり、破壊である。
決して許されるものではない。
そう思っている。

 

 

写真は谷専務が昨日、キーパーPROSHOPの巡回で御殿場に行った時に撮った富士山。
もらっちゃったのです。

 

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    代表取締役会長兼CEO

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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