谷 好通コラム

2009年01月17日(土曜日)

2115.「裏技」、技術の改良か落とし穴か

快洗隊の連中は研究熱心と言うか、なんと言うか、
車をキレイにする作業について
色々と「裏技」と称する新技術、珍技術をあみ出すのが好きだ。

 

洗車やコーティングなど快洗隊での作業は
それぞれ厳密に作業マニュアルが決まっている。
12年前に快洗隊1号店が出来た当時に作られたマニュアルも、
あれから今までに何十万台も洗われてきた過程で、
ずいぶん変わった。
使用するケミカルも道具も機械も新しく開発されて、
それを使うことよる作業マニュアルも進化し変化していくのだ。
そのたびに何回も何回もテストが行われ、議論があって、
その上で実際の店舗で実践され、
改善点があればそれを修正しながらマニュアルが確定していく。

 

使用するケミカルや機械は、
ほとんどが自ら開発したものであって、
その内容と効力は自ら知り尽くしているので、
マニュアルの内容がなぜそうなっているのか、それぞれにきちんと根拠がある。
だから、快洗隊の作業マニュアルはかなり高い精度があり、
その作業マニュアルに支えられているアイ・タック製品が実践的である根拠でもある。

 

ケミカルも道具も機械も、
そのものとしての性能も非常に大切だが、
それを使う方法、技術が確立されていることも同様に重要であり、
その両方が相まって実際の作業に対して有効となる製品となる。
アイ・タック技研はケミカルの開発、販売がビジネスの中心になっているが、
機械作りや道具作りにも大きな労力を裂き、
年間1万人にも及ぶ技術研修を続けている理由である。

 

その上で、「裏技」とは。
ケミカルなど、当初想定していた性能だけでなく、
想定外の思わぬ性能を見つけ、作り出していく技。
あるいは、ケミカルと道具とその使用方法を想定外の組み合わせで使うことによって、
思わぬ効果を出すこと。
これは、実際の現場だからこそ出来る優れた技術になる場合が多い。
だから「裏技」が正式にマニュアルになることもある。

 

これが「良い場合」。

 

「悪い場合」も多くある。

 

裏技の多くは、現場で実際にケミカルや道具を使っていくうちに、
本来の性能とは別に、
何となくそのケミカルや道具の能力のイメージが出来上がって、
「こんなこともできるかな」でやってみたら、
一見、上手くできたとしても
そのケミカルや道具の本質上、
その裏技はマイナスの現象が出て、
実はやってはいけない方法であることもあり、
そんな時は「その裏技禁止令」を出すこともある。

 

もっと「悪い場合」がある。

 

「手抜き」のための裏技だ。
たいていの場合「こうやった方が楽でいい」と安易に考えられたことが多く、
これはほとんどの場合、作業の結果の品質を落とすことになるので、原則禁止である。
もともと作業自体は非常に合理的に、
高い品質と高い効率が両立する方法で考えられているので、
「楽にやる。」ためにだけに考えられた方法は、品質を落とす結果になる。
「高い品質」は、「効率よく」に優先することである。
「高い商品品質」を維持するのが前提で、
「高い“時間”品質=速い」をも作り出すために「高い効率」が考えられるので、
作業のする側の都合での「手抜き」は本末転倒であって、言語道断なのだ。

 

悲しい「裏技」もある。

 

マニュアルに従った作業では満足しないお客様がいて、
「もっと、これもしてくれ。」
「ここも、ちゃんとキレイにしてくれなきゃ」と、
言われるがまま、作業の箇所と量を増やして行って、
本来20分で出来上がる作業を、1時間かかる作業にしてしまっている場合がある。
車美容は感性の商品なので、ホスピタリティとして「気が利く」は大切であるが、
その範疇をはるかに越えた悲しい「裏技」がままある。

 

それぞれの作業には、商品としての守備範囲があって、
ある一定のお客様にそれを越えてサービスすることは、
逆に他のお客様を差別することになり、
「あの人にはやったことを、私の車にはしてくれない。」と、
他のお客様が不愉快になって、客離れする大きな原因となる。
顧客満足を思って良かれと思ってしたことが
返って大きな顧客不満足を作り出してしまうことがある。
繁盛していない店舗に多く見られる、悲しい「裏技」である。

 

お客様の要求が、お客様の選択された商品で実現しない場合は、
もう一つ上のクラスの商品をご案内、お勧めし、十分にご満足いただくべきなのだ。

 

「裏技」はケミカルや道具の想定した性能以上の効力を
発揮する有効な技術であることもある。
しかし、マイナスを引き出したりすることもある。
あるいは、「手抜き」は自分のためだけの場合が多く、もはや「技」ではない。

 

裏技は両刃の刃であるが、だから原則禁止なのです。

 

 

今日は、新しい技術の開発、研究活動。いわゆる「技研」だ。
なかなかすごい結果となった。
3時間以上かかっていた仕事量が半減し、安全に、しかも高品質で出来るようになる。
手抜きではなく、根拠を持った合理性をそなえ、効果的に、効率的に。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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